SBASのシステム仕様をオーストラリアと共同開発へ

(ニュージーランド、オーストラリア)

オークランド発

2019年06月27日

ユージェニー・セージ国土地理情報担当相は6月23日、ニュージーランド国土情報局(LINZ)が、オーストラリア政府機関のオーストラリア地球科学機構(ジオサイエンス・オーストラリア:GA)と共同で、GPSの精度向上を図る衛星航法補強システム(SBAS)の入札に向けた研究と仕様の開発を7月から行うことを発表した。

両国は、研究開発費用を分担することでコスト削減を図る。ニュージーランド政府は新予算として、約200万ニュージーランド・ドル(約1億4,400万円、NZドル、1NZドル=約72円)を計上する。両国は、2017年から共同で実証実験を行っていた。今回、仕様とともに入札プロセスが確立されることで、開発助成金の活用やさらなる技術発展も期待できる。

SBASの技術は、米国、欧州、日本、インドなどで実用化されており、GPSの位置情報の誤差が1メートル以下となり、また特定の装置では10センチ以下の精度も期待できる。ニュージーランドは、イノベーションを通じたデジタル社会の発展を目指しており、この技術が実用化されれば、14億7,000万NZドルの経済効果があるとする。

具体的な用途の例として、GPSの精度が向上することで、救難ヘリコプターでの人命救助活動に大きく貢献するほか、家畜にGPS対応の首輪を装着して、想定外の場所に移動しないようにする仮想フェンス技術の導入、これまでGPSを受信しづらかった森林での労働者の安全向上などに応用が可能だ。

(奥貴史)

(ニュージーランド、オーストラリア)

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