ケニア財務省が2019/2020年度予算教書と関連法改正案を発表、財政赤字は拡大

(ケニア)

ナイロビ発

2019年06月19日

ケニア財務省のヘンリー・ロティチ長官は6月13日、2019/2020年度(2019年7月~2020年6月)の予算教書を国会に提出したと発表した。テーマに「雇用の創出と生活の変革、ビッグフォーのさらなる活用」を掲げ、ウフル・ケニヤッタ大統領が提唱する4つの主要政策「ビッグフォー」〔製造業の推進、食糧と栄養の保障、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)、住宅の確保〕を推進する内容だ。予算案は前年度比1.0%増の3兆1,000億ケニア・シリング(約3兆4,100億円、Ksh、1Ksh=約1.1円)で過去最大となり、予算案の内訳は今後、公表される見込みだ。財政赤字は前年度より8.1%拡大し、約6,078億Kshに上る見通しだ。ただ政府は、財政赤字のGDP比率を前年度の6.8%から5.6%に引き下げることを目標に掲げる。

また、財務省の声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによれば、予算教書には関連の法改正案が含まれており、主な改正は以下のとおり。

  1. キャピタルゲイン税率を5%から25%に増税
  2. プラスチック・リサイクル関連企業に対する法人税率を設立後5年間は30%から15%に減税、関連サービスの付加価値税(VAT)を免税
  3. 源泉徴収の対象となる「専門職」に「セキュリティーサービス」や「清掃」など5職種を追加
  4. くじなどの賭け事に10%、酒類とたばこに15%の物品税率を新たに付与
  5. 電気自動車への物品税率を25%から10%に減税
  6. 金融機関に対する貸出金利の上限を規定した銀行法33項Bの撤廃

所得税法の改正案は、上記1.~3.などで企業活動にも影響が見込まれるが、現地弁護士事務所の関係者は「今回の変更は最小限の範囲だ」と評価している。上記6.の金利上限撤廃は2018年度にも提案されたが、国会で否決された。

予算教書は今後、国会で審議され、通過した改正法案は7月1日以降に施行される見込みだ。

(久保唯香)

(ケニア)

ビジネス短信 5cf42eb1f01d45ac