国産のオーガニック食品などの付加価値税率を5%に引き下げ

(ルーマニア)

ブカレスト発

2019年06月17日

ルーマニアで6月1日、税制改正に関する緊急政令2019年第31号が発効し、農業・農村開発省が承認する「高品質な食品」に係る付加価値税(VAT)税率が5%に引き下げられた。これは、原材料が主にルーマニアの山間部で生産されている食品(乳製品、蜂蜜、パンなど)、オーガニック食品およびルーマニアの伝統食品などが対象となり、これまでの税率9%から4ポイント引き下げられた。

ルーマニアでは、2017年1月からVATの標準税率は19%とされている。そのうち、税制に関する法律2015年第227号により、9%の軽減税率が飲食料品、医療品、パン・小麦などに、5%の軽減税率が書籍、ケータリングサービス、スポーツ関連施設や宿泊施設の利用料などに設定されている。そうした中、今回の緊急政令の発効に伴い、これまで9%の軽減税率に分類されていた「高品質な食品」が5%に引き下げられるかたちとなった。

オーガニック食品などに対する税率の引き下げには、ルーマニア政府の健康志向食品推進の狙いがある。欧州委員会およびOECDのレポートによると、2018年の死亡率は、EU平均では10万人当たり1,036人なのに対し、ルーマニアは同1,530人と、EUで2番目に高い死亡率だった。最も多い死因は循環器系の疾患で、主に心血管および脳血管の疾患だ。また、ルーマニアでは肥満率が上昇傾向にある。

オーガニック食品の原材料費や加工費は、普通の製品よりも高く、負担は最終消費者に転嫁される。同食品に対する税率の引き下げによって、販売価格が低下すれば、ルーマニアでもオーガニック食品や健康食品の普及促進が期待される。また、スーパーなどでは安価な外国産食品が多く販売されていることから、今回の税率引き下げを契機に、ルーマニア産の高品質食品の競争力強化が期待される。

(ミンドル・ユニアナ)

(ルーマニア)

ビジネス短信 78d95cc9720bc798