電気自動車のフォーミュラカーレース、ベルンで開催

(スイス)

ジュネーブ発

2019年06月27日

スイスのベルン旧市街で6月22日、電気自動車(EV)によるフォーミュラEレース「スイスEプリ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が開催された。

1955年のル・マン24時間耐久レースでの大事故を契機に、スイスでは自動車レースの開催が禁じられていた。しかし、EVのレースに限って開催を認める法改正外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが2015年12月に行われ、2016年から解禁された。これを受け、スイスEプリを運営する会社が設立され、2018年にチューリヒでフォーミュラEのカーレースが開催された。今回、チューリヒは7月に3年に1度の大規模な夏祭りを控えて開催の余裕がないことから、ベルンでの開催となった。

国際自動車連盟(FIA)は、ガソリン車に比べてスピードが遅く、バッテリーがもたないというEVのイメージを向上させるため、EVによる国際大会のフォーミュラEを創設、2014年に初のレースを北京で開催した。スイスがEVのレースを解禁したのも、研究開発や一般国民の理解促進を通じたEV普及への貢献を期待したものと思われ、FIAの狙いと一致する。自動車業界団体オートスイスも、EV普及に向けたプロジェクト「10/20」を進めており(2019年2月7日記事参照)、2月のスイスとリヒテンシュタインにおける乗用車の新車登録台数に占める100%電気駆動の車の割合が3.3%と過去最高外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに達し、目標達成に向け順調な進捗が見られることを発表している。なお、3月にはテスラのEV「モデル3」がスイスとリヒテンシュタインにおける乗用車の車種別新車登録台数で首位(1,094台)となった。

しかし、排ガスは出さなくても走行エネルギーを消費し、世界12都市を回るフォーミュラEの資材輸送には多くの化石燃料を消費せざるを得ない。そのため、スイスEプリ開催に反対もあり、開催に先立つ週にはコースを自転車で走るなどの抗議活動が行われた。2020年以降のフォーミュラEのスイスでの開催は未定で、スイスEプリを定着させるなら、今後スイス内で開催都市の調整も進めていく必要がある。

ベルンでのレースは、フランスのジャン=エリック・ベルネが勝利し、10万人の観客を集めたと報道されている。

(和田恭)

(スイス)

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