上半期の米新車販売台数、前年同期比割れの844万台

(米国)

ニューヨーク発

2019年07月16日

モーターインテリジェンスの発表(7月2日)によると、米国の2019年上半期(1~6月)の新車販売台数は前年同期比2.0%減の843万8,518台に減少した(添付資料参照)。上半期の販売台数としては、最近5年間で最少となった。また、第2四半期(4~6月)の販売台数も、前年同期比1.5%減の443万1,851台に減少した。なお、上半期平均のインセンティブ(メーカーが消費者に提供する割引額)は、前年同期より2.9%減の3,612ドル(ALG調べ)となった。データが確認できる2012年以降で前年同期を初めて下回り、割引額を増やして販売する傾向は一服したことを示した。

クロスオーバーSUVの伸びが鈍化

上半期の結果を部門別にみると、乗用車が前年同期比8.9%減の259万3,836台に減少し、全体を押し下げた。小型トラックは1.4%増の584万4,682台と伸びたものの、伸び率は2009年上半期(34.2%減)の後では最も低い水準となった。中でも、小型トラックの5割強を占めるクロスオーバーSUV(CUV)は1.4%増にとどまり、2017年上半期の8.5%増、2018年上半期の17.4%増などに比べて緩やかな伸びにとどまった。「ウォールストリート・ジャーナル」紙(7月7日)は、CUVを含むスポーツ用多目的車(SUV)の在庫日数が伸びている現状を紹介し、メーカーの過剰生産による価格の下落が企業利益を減少させる可能性がある、と報じている。

上半期の販売減に関し、自動車専門調査会社コックス・オートモーティブのアナリストのミッシェル・クレブ氏は「販売台数は減少傾向にあるものの、壊滅的な状況というわけでない」(「ウォールストリート・ジャーナル」紙7月2日)と述べ、ピークを越えたものの、新車市場は好調との見方を示した。また、2019年の年間新車販売台数について、エドマンズ・ドット・コムは1,690万台、全米自動車ディーラー協会(NADA)は1,680万台と予測している。一方で、NADAのシニアエコノミストのパトリック・マンジ氏は、貿易問題をめぐる各国との交渉の行方などが下押し要因になると指摘している(「デトロイト・フリープレス」7月3日)。

(大原典子)

(米国)

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