2026年冬季五輪、経済効果予測は40億ユーロ以上

(イタリア)

ミラノ発

2019年07月08日

2026年冬季オリンピック・パラリンピックの開催地が6月24日、イタリアのミラノおよび北東部のコルティーナ・ダンペッツオに決定した。開催地名として冠されているのは「ミラノ」と「コルティーナ」となるが、この2都市に加えて、ロンバルディア州、ベネト州、トレンティーノ・アルトアディジェ自治州の各都市で競技や式典が開催される予定。開催に伴う開発や投資、消費が見込まれ、経済効果の試算などが行われている。

ミラノのボッコーニ大学の試算によると、ミラノを州都とするロンバルディア州への経済効果(生産誘発額)は28億5,000万ユーロ、フルタイム換算で2万2,000人の雇用が創出されるとしている。ベネチアのカ・フォスカリ大学の試算では、ベネト州とトレンティーノ・アルトアディジェ自治州への経済効果(生産誘発額)として14億6,000万ユーロ、1万4,000人の雇用創出を見込む。

山岳地域でジャンプやクロスカントリーなどの屋外型競技、カーリングなどの一部の屋内型競技が実施され、ミラノ市内では開会式や、アイスホッケー、フィギュアスケートなどアイススケートリンクを利用する屋内型競技の多くが実施される。新規の施設の建設も予定されている。例えば、アイスホッケーのリンクはミラノ市内で再開発中のサンタ・ジュリア地区に建設され、終了後は多目的施設に改装される計画だ。一方で、五輪開催に当たっては既存施設の活用が求められていることから、ミラノのサッカースタジアムであるサンシーロスタジアムを開会式会場、ベネト州ベローナにある野外オペラの開催で著名なアレーナ・ディ・ベローナを閉会式会場とするなど、財政支出を抑制する計画となっている。

プレスセンターはミラノ市の北西近隣地区のロー・フィエラ展示場に設置される予定で、大会会期となる2026年2~3月とその前後に同展示場で例年開催される展示会は、別会場での開催が検討されると予想される。

実施計画書には、大会開催後を見据えたミラノの都市開発計画にも触れている。例えばミラノ市については、現在建設中の地下鉄4号線(ミラノ市中心部~ミラノ・リナーテ空港)の整備計画に加え、他の地下鉄線の延長計画や鉄道路線の環状化構想、近郊鉄道線と都市間高速鉄道線の連携の促進などに言及している。

(山内正史)

(イタリア)

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