中ロ国境のアムール州にも10月めどに自由港制度導入

(ロシア、中国)

欧州ロシアCIS課

2019年07月17日

ロシアのユーリ・トルトネフ副首相兼極東連邦管区大統領全権代表は7月5日、中ロ国境に位置するアムール州の州都ブラゴベシチェンスク市で開催された同州の社会経済発展に関する会議で、遅くとも10月までに同市に自由港制度を導入する方向で調整が進んでいることを明らかにした。

自由港制度は、ウラジオストク港などに対して2015年10月に適用された(2015年7月31日記事参照)のを皮切りに、2018年までに極東連邦管区の5つの連邦構成体に導入された(表参照)。1,000社以上が入居、6万人以上の雇用を生み出している。企業利潤税(法人税)や資産税が最初の5年間免除されるなどの優遇措置を受けられるが、入居の条件として、3年以内に最低500万ルーブル(約850万円、1ルーブル=約1.7円)〔優先的社会経済発展区域(TOR)では50万ルーブル〕の投資が義務付けられている。

表 自由港制度の適用地域

自由港制度のブラゴベシチェンスクへの導入に向け、アムール州政府は極東・北極圏発展省に対して3月に申請していた。アムール州政府は制度適用に伴い、総額30億ルーブルを超える3つのプロジェクトを計画している。その1つが、ブラゴベシチェンスクと中国の黒龍江省黒河市間をつなぐ越境ロープウエーだ。このプロジェクトは2021年に竣工(しゅんこう)する予定。旅客ターミナルと免税店の設置も含まれており、オランダの建築設計事務所UNスタジオは、1時間当たり457人の収容能力を持つターミナルの設計案を作成している。

ブラゴベシチェンスク~黒河間では5月末、国境のアムール川に架かる自動車橋の建設が完了した。2020年夏から秋ごろにかけての供用開始を目指しており、年間約300万人の旅行客と約600万トンの貨物輸送が想定されている。トルトネフ副首相はアムール州を「極東地域を含むロシア国内への投資誘致を牽引するリーダーの1つ」と評価しており(「アムール州政府」ウェブサイト7月5日)、橋建設と自由港制度導入によりさらなる投資受け入れ拡大が見込まれている。

(加峯あゆみ)

(ロシア、中国)

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