中国の上半期の貿易統計発表、対米国は14%減

(中国、米国)

北京発

2019年07月17日

中国海関(税関)総署の7月12日の発表によると、2019年上半期の貿易総額は前年同期比2.0%減の2兆1,612億ドルとなった。うち輸出は0.1%増の1兆1,712億ドル、輸入は4.3%減の9,900億ドルで、1,812億ドルの黒字(前年同期比29.7%増)だった。米国との貿易総額は14.2%減少した。なお、元建てでは、総額が3.9%増、輸出が6.1%増、輸入が1.4%増といずれも増加した。

主要国・地域別の貿易をみると、輸出では、米国、香港、日本向けが減少し、EU、ASEAN向けは増加した。輸入では、2019年第1四半期(1~3月)に引き続き、EU以外の主要国・地域がいずれも減少した。米国からの輸入は29.9%減(第1四半期は31.8%減)となった(表参照、2019年4月19日記事参照)。

表 中国の主要国・地域との貿易額

税関総署による分類に基づく品目ごとに第1四半期の貿易額をみると、輸出では、携帯電話、鋼材、自動車部品、液晶ディスプレー、レアアースなどが減少した一方、集積回路、精油、プラスチック製品などは増加した。輸入では、集積回路が6.9%減となったほか、大豆、銅材、自動車部品、半導体部品、鋼材、廃プラスチックなどの固体廃棄物、金属加工機械などが減少した。大豆は数量、金額ともに2桁減となった。自動車、天然ガス、医薬品などの輸入は増加した。

税関総署の李魁文報道官は2019年上半期の貿易について、全体として安定していたと評価した。米中貿易摩擦の影響については、一定の影響はあるが全体的にはコントールされているとの見方を示した。下半期については、税関総署などの政府部門が6月に発表した「通関円滑化水準の引き上げ加速に関する通知」などに基づき、輸出入時に必要な書類の簡素化、通関時間の短縮、税関徴収費用の引き下げなどに取り組み、貿易の安定化と質の向上を図るとした。その上で、世界貿易の伸びが鈍化し、外部の不確実性が高まる中でも、中国の貿易は引き続き安定的な発展を続けることができると見通した。

上半期の輸出が大きく減少しなかった点について、交通銀行金融研究センターの劉健研究員は、米国による3,000億ドル分の追加関税賦課を見越した駆け込み輸出の効果が一定程度あったとの見方を示した(注、「21世紀経済報道」7月15日)。また、商務部国際貿易経済合作研究院国際市場研究所の白明副所長は、輸入が減速した要因について、中国経済の減速、中国が米国に対して関税引き上げなどの対抗措置を取ったこと、人民元のドルに対する下落などを挙げた(「21世紀経済報道」7月15日)。

(注)6月29日の米中首脳会談を受けて、3,000億ドル相当分の品目への追加関税賦課は当面延期されている(2019年7月1日記事参照)。

(小宮昇平)

(中国、米国)

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