モーリタニア大統領選、元防衛相のエルガズアニ氏が当選

(モーリタニア)

パリ発

2019年07月16日

モーリタニアで6月22日、アブデル・アジズ大統領の2期にわたる任期満了に伴う、大統領選挙が行われた。与野党6人の候補者の中から、アブデル・アジズ大統領の後継者で与党の元防衛相モハメド・ウルド・エルガズアニ将軍(62歳)が、第1次投票で52%の過半数を獲得して当選した。7月1日には、憲法評議会が同氏の当選を正式に承認した。

そのほかの主な候補者の得票状況は、国連の人権賞を2013年に受賞した奴隷廃止運動家で国会議員のビラム・ウルド・ダー・ウルド・アベイド氏が18.58%、元首相のシディ・モハメッド・ウルド・ブバカール氏が17.87%、ジャーナリストのババ・ハミドゥー・ナンヌが8.71%。野党、反政府派の5候補は、エルガズアニ将軍の選挙違反を主張したが、憲法評議会は同氏の当選を承認した。第1次投票で過半数を制し、当選したエルガズアニ新大統領だが、投票した国民の半数近くが与党に対する不満を表し、確固とした反政府派が形成されたことで、新大統領は反対派との対話に基づく政治を余儀なくされる、と予想される。

軍の中枢で指揮を執ってきたエルガズアニ大統領は、選挙戦以前はアジズ前大統領の影の存在として、公式の場での発言はまれで、政治経験も浅い。新大統領は基本的に前任者の政策の継続路線を取るとみられるが、選挙戦では、前大統領が残した負の遺産といわれる、GDP比92.3%に達する公的債務を抱える経済構造の立て直しと、社会的格差の是正を優先課題として、民族対立の根深い中で国民的統一を訴えた。

セネガルとの海域にまたがる油田の発掘、内陸部での金・レアアースの採掘などが注目を浴び、経済成長率は2018年に3.6%となり、2019年にはIMFの予測によると6.4%に上昇するとみられるモーリタニアで、今後の政治の民主化の進行が待たれている。

(渡辺智子)

(モーリタニア)

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