台湾の上半期の輸出で米国向け、日本向けが過去最高に

(台湾、中国、米国)

中国北アジア課

2019年07月16日

台湾財政部が7月8日に発表した貿易統計速報によると、台湾の2019年上半期の貿易額は、輸出が前年同期比3.4%減の1,582億3,377万ドル、輸入が0.1%増の1,382億8,778万ドルとなった。貿易黒字は22.0%減の199億4,599万ドルだった。

ICと情報通信機器などの輸出増で6月の輸出がプラスに

月別にみると、6月の輸出額は前年同月比0.5%増の283億8,557万ドルとなり、6月としては過去最高を記録した。2018年11月以降、伸び率はマイナスで推移していたが、8カ月ぶりにプラスに転じた。輸入額は6.6%増の245億1,418万ドルだった。

財政部は、米中貿易摩擦による世界経済の不確実性の高まり、国際原材料価格の低下などの影響を受けつつも、一部メーカーによる台湾での生産増大、台湾への受注移転や、集積回路(IC)と鉱産品の需要増により、輸出が増加したと分析している。

国・地域別にみると、上半期は、米国、日本向けの輸出がそれぞれ前年同期比17.4%増、1.7%増と増加し、いずれも上半期としては過去最高を更新した。一方、中国、ASEAN、香港、欧州向けが軒並み減少した(添付資料の表1参照)。6月単月では主要国・地域のなかで唯一、米国向け輸出が前年同月比18.5%増の39億22万ドルと増加した。

輸出を品目別にみると、IC、台湾への生産回帰が進むコンピュータ関連の情報通信機器が輸出の増加に寄与した。特に、電子部品、情報通信機器は6月としては過去最高を記録した。上半期でみると、情報通信機器は19.3%増と好調だった一方、プラスチック、ゴムおよび同製品や、卑金属および同製品がそれぞれ10.0%減、12.1%減と弱い動きを見せている(添付資料の表2参照)。

下半期は米中貿易摩擦の影響で依然リスクが存在

財政部は今後の見通しについて、米中貿易摩擦の協議は今のところ進展が見られず、依然不確実性が存在しており、企業投資やグローバルサプライチェーンに影響を及ぼしかねないとしている。加えて、ハイエンドスマートフォン市場が飽和状態にあり、そのライフサイクルも長期化しており、いずれも輸出の勢いをそぐものだという。ただし、一部メーカーの台湾回帰により生産が増大していること、新興産業〔第5世代移動通信システム(5G)、人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)など〕のビジネスチャンスが持続的に拡大していることが一部のマイナスの影響を相殺するとの見方を示した。

(嶋亜弥子)

(台湾、中国、米国)

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