香港の銀行、口座維持手数料を8月に廃止へ

(香港)

香港発

2019年07月16日

香港の主要銀行は、個人顧客向けの主要口座の維持手数料(注)などを8月に廃止する。6月19日に香港最大手のHSBCが維持手数料などを8月1日に廃止すると発表したのを皮切りに、英国系大手のスタンダード・チャータード銀行および中国銀行(香港)もそれぞれ6月21日と25日に、維持手数料などを8月1日に廃止する方針を明らかにした。

上記銀行のHSBC、スタンダード・チャータード銀行および中国銀行(香港)の対応状況をみると、各行によって手数料廃止の対象とする口座は異なる(添付資料参照)。

HSBCは、個人顧客向けの主要口座のうち、過去3カ月の預入残高の平均額が5,000香港ドル(約7万円、1香港ドル=約14円)未満となった際に、1カ月ごとに60香港ドルの口座維持手数料を徴収する「パーソナル総合口座」と、過去3カ月の預入残高の平均額が20万香港ドル未満となった際に、1カ月ごとに120香港ドルの口座維持手数料を徴収する「アドバンス総合口座」の維持手数料をそれぞれ廃止する。同時に、一部口座のサービスを利用する際に必要な窓口手数料や一部口座の年間手数料なども廃止する。一方で、過去3カ月の預入残高の平均額が100万香港ドル未満となった際に、1カ月ごとに380香港ドルの口座維持手数料を徴収する「プレミア口座」については、現状の維持手数料の体系を維持する。

スタンダード・チャータード銀行も、「イージーバンキング」顧客と「プレミアム・バンキング」顧客については、維持手数料をそれぞれ廃止する。一方で、過去3カ月の預入残高の平均額が100万香港ドル未満となった際に、四半期ごとに900香港ドルの口座維持手数料を徴収する「プライオリティバンキング」顧客については、現状の手数料体系を維持する。

さらに、中国銀行(香港)は、「アイフリー・バンキング」顧客、「エンリッチ・バンキング」顧客および「ウェルス・マネジメント」顧客と、主要個人顧客の口座維持手数料を廃止する。

このほか、恒生銀行、東亜銀行、大新銀行、華僑永亨銀行および中国工商銀行アジアも、維持手数料などを8月に廃止する(7月8日時点)。香港では、早ければ2019年内に実店舗を持たない仮想銀行がサービスを開始するとしており、今後、香港の銀行間の競争がさらに激化する可能性もある(2019年4月2日記事参照)。

(注)一般的に、香港の銀行は、口座ごとに最低預入金額を設定しており、顧客の預入残高が最低預入金額を下回った場合、顧客から一定の口座維持手数料を徴収している。

(吉田和仁)

(香港)

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