第2次モディ政権、2019年度予算案を発表

(インド)

ニューデリー発

2019年07月11日

インドのニルマラ・シタラマン財務相は7月5日、2019年度(2019年4月~2020年3月)のインド国家予算案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを国会に提出した。財務相は、インドの経済規模はこの5年間で1兆8,500億ドルから2兆7,000億ドルに成長したとした上で、「この数年で5兆ドル経済に成長する能力がある」とした。また、第1次モディ政権が2019年度暫定予算案で発表していた今後10年の方針を再確認した(表参照)。

表 2019年度予算案で発表された今後10年に向けた10のビジョン

2019年度の歳出総額は、2018年度(改訂値)比で13.4%増の27兆8,634億9,000万ルピー(約44兆5,816億円、1ルピー=約1.6円)。歳入の中心となる税収は、11.1%増の16兆4,958億2,000万ルピーを見込む。予算上の単年度財政赤字は7兆376億ルピーで、GDP比3.3%となる。

政府は、社会福祉面では、年間売り上げ1,500万ルピー未満の小規模小売商に対する年金制度の導入や、2022年までに全ての農村家庭に電気と衛生的な調理設備を普及させることを約束した。労働法については、現在多数存在する労働関連法制を4つにまとめることを提案、手続きの簡素化を図るとしているが、詳細は発表されていない。

外資規制では、(1)航空、メディア(アニメーションなど)、保険分野のさらなる規制緩和の検討、(2)保険仲介業の100%外資出資認可、(3)単一ブランド小売りにおける地場調達要件の緩和が発表された。

また、金融セクター健全化のため、公営銀行の資本増強に7,000億ルピーの投入、信用不安が広がるノンバンクセクターなどに対するインド準備銀行(RBI)の監督権限の強化などを提案した。

税制では、現在年間所得25億ルピー以下の企業向けとなっている25%の低減法人税率の適用を、年間所得40億ルピー以下の企業に拡大することを提案した。これにより、インド内国法人の99.3%がカバーされるという。個人向けでは、高所得者に対する課徴金の増加、電気自動車(EV)振興のため一定条件下のEV購入者向けローンの一部利子控除などが発表された。間接税では、インドで製造していない防衛設備、EV関連部品、電子機器製造向け資本財などの基本関税の無税化が発表された一方、特定の電子機器や自動車部品の基本関税が引き上げられた。

(古屋礼子)

(インド)

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