マクロン大統領、G20大阪サミットの結果に遺憾の意

(フランス)

パリ発

2019年07月09日

G20大阪サミット(首脳会議)の結果について、フランスの主要メディアは、環境問題と通商分野における参加国間の分裂や、トランプ米大統領と中国の習近平国家主席、トランプ大統領とプーチン・ロシア大統領などとの2国間首脳会談を重点的に伝えた。参加国間の分裂ではとりわけ、パリ協定からの離脱を一部の国(トルコ、ブラジル、サウジアラビア、オーストラリア)に求めたとされるトランプ大統領と、パリ協定の実施の合意について参加国に確認を求めるフランスのマクロン大統領との対立を中心に報道した。

一方で、デジタル経済や男女平等促進などの合意については、6月29日付「ル・モンド」紙が「通商、環境問題や、トランプ大統領によるロシア、トルコ、サウジアラビアなどとの2国間首脳会談によって隠されてしまった」と伝えたにとどまるなど、主要メディアは詳細を取り上げなかった。

マクロン大統領は6月29日のサミット閉幕後、「イラン問題について、また通商問題についても、G20サミットで最悪の事態は避けられたが、これは十分ではない」と遺憾の意を表明した。これに呼応するように、メディアも「瀬戸際で破綻回避にこぎ着けたG20大阪サミット」(「レゼコー」紙6月29日)、「トランプ大統領を前に被害を最小限に食い止めたG20サミット」(同日「ル・モンド」紙)など、成果については悲観的な見方が目立った。

「ル・フィガロ」紙の国際問題担当論説委員であるルノー・ジラール氏は7月2日付の論説で、「G20サミットで具体的な成果は何だったのか? ほんの少しだ。大阪サミットでは、環境面でも通商問題でも目立った進展は見られなかった」とした。「G20の本質が多国間主義でなくなって久しい。G20以外では実現しないような2国間会談を行う場所になってしまった」と指摘。その上で、米中首脳会談(2019年7月1日記事参照)についてジラール氏は、習近平国家主席にとり「極めて有利なものだった」と分析した。同会談で中国は、大統領再選を目指すトランプ大統領から、対中追加関税賦課の当面の延期と華為技術(ファーウェイ)への輸出規制の緩和を引き出した。

(山崎あき)

(フランス)

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