熱帯低気圧の影響で、メキシコ湾の原油生産は最大72.82%が一時中断

(米国)

ヒューストン発

2019年07月16日

米国の海洋石油ガス開発の安全環境規制の執行機関である内務省安全環境執行局(BSEE)の7月14日のプレスリリースによれば、先週メキシコ湾で発達した熱帯低気圧「バリー」に備え、メキシコ湾内の掘削リグ10基、生産プラットフォーム283基が一時的に操業を中断し、人員を避難させた(表参照)。

また、操業者の報告を基にBSEEが推計したところ、原油については、メキシコ湾内の総生産量の72.82%に相当する日量137万6,265バレルの生産が停止している。天然ガスについては、メキシコ湾内における総生産量の61.68%に相当する日量17億1,459万立方フィート(約4,852立方メートル)の生産が停止している。

既に、熱帯低気圧は陸上(アーカーンソー州付近)を北上中で、洋上の施設は安全点検の完了後、損傷していない施設は直ちに生産を再開する予定とのこと。

7月15日午後1時にBSEEは新たに発表を行ったが、同発表の時点では人員が避難した生産プラットフォームのうち16基が生産を開始し、原油生産量で日量7万707バレル、メキシコ湾内の総生産量の3.74%分の生産が再開した。天然ガスの生産再開は日量3,039万立方フィート、メキシコ湾内の総生産量の1.1%分にとどまっている。

原油価格は先週、イラン船が英国タンカーの拿捕(だほ)を試みたと報じられた7月10日にWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)が1バレル60ドルを超え、続いて、本熱帯低気圧に備えての操業の一時中断が報じられたことから、11日には一時60.79ドルまで上昇した。しかし、15日午後の時点で、本熱帯低気圧による石油ガス関連施設への大きな被害は報じられていないことから、WTIは59ドル台半ばを下回る価格で推移している。

表 熱帯低気圧バリーに伴うメキシコ湾内の生産プラットフォーム、掘削リグの避難数および生産の一時中断の状況(比率はメキシコ湾内の操業数、生産量に対する避難、生産中断の比率)

(中川直人)

(米国)

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