「2019成都全球創新創業交易会」、加速する成都市のニューエコノミー

(中国)

成都発

2019年07月10日

成都市人民政府は6月10~12日、成都世紀城新国際会展中心で「2019成都全球創新創業交易会」(以下:創交会)を開催した。「新経済(ニューエコノミー)・新生態(ニューエコロジー)・新場景(ニューシーン)」をテーマに、約250社が出展した。

成都市は、(1)デジタル経済、(2)スマート経済、(3)シェアリング経済、(4)グリーン経済、(5)プラットフォーム経済、(6)イノベーション経済の6つをニューエコノミーの構成要素として掲げ、関連産業の発展を通じ、成都市の高水準の発展、効率の良い統治、質の高い生活を実現すべく取り組んでいる。

その一環として開催している創交会は今回で5回目を迎え、スマート生活館、グローバルスタートアップ館、未来商業館など12のテーマ館が設置された。商談の成約額は、第1回の50億元(約800億円、1元=約16円)から年々増加し、今回は333億元を記録した。

成都市がニューエコノミー活力指数で3位にランクイン

こうした取り組みを通じ、成都市は「2018中国ニューエコノミー活力指数ランキング」(注1)で、深セン市、北京市に次いで全国3位にランクインした。成都市の強みは、一定の人口を有する高成長都市であり、開発した製品や技術を地元社会からスムーズに応用、展開できること。また、金融や教育、医療に関連する人工知能(AI)、電子情報の分野に優位性を有すること。さらに、家賃や生活コストが低く抑えられるため、生活しやすく、優秀な人材が集まりやすいことなどが挙げられる。

ニューエコノミー関連産業の発展に伴い、同分野を担う人材のニーズも高まっている。「成都ニューエコノミー人材動向報告」(注2)によると、ニューエコノミーに関連する電子・半導体・集積回路、コンピュータサービス、文化・体育・娯楽小売り、船舶・航空・宇宙、医療などの分野の1~5月の求人は、前年同期比で50%以上増加した。月額平均給与も、成都市民の7,400元に対し、ニューエコノミー関連企業は8,800元と19%高い。

成都市は6月にニューエコノミー分野の技術・サービスについて、政府部門や企業のニーズをリスト化した「都市機会リスト第2弾外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を公表。ニューエコノミー分野への日本企業の参入や日中企業の連携にも期待を示している。

写真 斬新なデザインの展示ブース(ジェトロ撮影)

斬新なデザインの展示ブース(ジェトロ撮影)

写真 注文を受けてロボットが調理する自動ドリンクスタンド(ジェトロ撮影)

注文を受けてロボットが調理する自動ドリンクスタンド(ジェトロ撮影)

(注1)インキュベーション企業である創業黒馬科学技術の研究部門が公開した、各都市の産業、資本、イノベーション、人材などの競争力を比較したランキング(「成都晩報」2018年10月12日)。

(注2)就職支援機関であるBOSS直聘研究所が封面新聞社と行った共同調査の報告書(「華西都市報」6月17日)。

(寺田俊作)

(中国)

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