化学、機械、医薬などで幅広い協力に期待、第15回日本ウズベキスタン経済合同会議

(ウズベキスタン、日本)

欧州ロシアCIS課

2019年07月12日

東京で7月10日、第15回日本ウズベキスタン経済合同会議が開催された。ウズベキスタンからエリヨル・ガニエフ副首相を筆頭に、政府関係者や国有企業幹部らが来日した。

佐々木幹夫・日本ウズベキスタン経済委員会会長(三菱商事特別顧問)は開会あいさつの中で、「両国間の貿易はこの10年間、2億ドル前後で推移していたが、2018年は過去最高の6億3,200万ドルに達した」として、ウズベキスタンの貿易環境が改善したことで両国経済関係の急速な拡大を指摘した。

ガニエフ副首相(ウズベキスタン日本経済委員会会長)は、ウズベキスタンのミルジヨエフ大統領の訪日に向け調整が進められていることを明らかにした。同大統領の初来日が実現した場合、「日本とウズベキスタン両国の戦略的意義を確認し、中期的な展望を見据える機会となる」と強調。大統領の来日が両国経済関係の新たなページを開くと位置付けた。また、副首相は「貿易だけでなく、金融面での協力、技術分野での交流拡大が長期的な視点で両国経済関係の発展のために必要」と指摘し、より広範な経済・ビジネス関係の構築を訴えた。

副首相は、ウズベキスタンが取り組む経済分野をはじめとする諸改革(行政管理、経済管理、通貨管理、徴税・通関システム、金融システム、自由経済区の設置、短期滞在査証の免除など)についても現状を説明し、「これら改革の進展によって、少しずつ経済発展が進んでいる」「国際的格付け会社のソブリン格付け見通しは安定的」(注)として、これまでの取り組みに対する自信を示した。

今後の協力について副首相は、石油化学製品、化学品、機械、自動車、医薬品などの製造業、また電力、情報通信、観光など、これまでのODAや資源開発関連にとどまらない幅広い協力への期待を示した。また、農産物とそれを基盤とした食品産業が盛んであることから、物流の改善を含むウズベキスタンからの農産品・食品の輸出に関し、日本との協力を考えたいとも述べた。

磯崎仁彦経済産業副大臣は、ウズベキスタンでの各種改革に関連し、「(査証免除により)ウズベキスタンを訪問する人が増えている」と述べ、改革の進展が今後の両国経済交流の拡大につながるとの期待を示した。また、ガニエフ副首相との会談の際に50に上る新規プロジェクトの提案を受けたことを明かし、今後、エネルギーやIT、自動車、繊維原料などの分野での協力が進展することへの期待感を示した。

(注)2018年12月、フィッチ・レーティングスとスタンダード&プアーズはそれぞれ史上初となるウズベキスタンの信用格付けを発表(2019年1月17日記事参照)。それらの発行体デフォルト格付け(IDR)やソブリン格付け(短期・中期)はいずれも「投機的」とされている。

(梅津哲也)

(ウズベキスタン、日本)

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