みなみ信州農業協同組合
伝統の「市田柿」 台湾・香港の旧正月需要を商機に輸出拡大

農林水産物・食品

みなみ信州農業協同組合(JAみなみ信州)は、長野県の南部・飯田下伊那地域を管轄するJA。 「市田柿」「南水(梨)」「りんご」「きゅうり」「南信州牛・信州ポーク」など「安心・安全・健康・高品質」にこだわった農畜産物は全国的に高い評価を受けている。

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ジャパニーズスーパーフード : 市田柿

台湾・香港の旧正月を商機に

長野県・南信州地域で生産されている高級ブランド干し柿「市田柿」。その歴史は500年以上前にもさかのぼります。

表面は美しい白い粉(柿霜)に覆われ、断面は鮮やかなあめ色、もちもちとした食感と上品な甘さが特徴です。

2006年には地域団体商標の取得、2016年には地理的表示(GI)も取得し、地域をあげて国内外における更なるブランドの確立に取り組んでいます。

国内での市田柿の市場は年末年始がピークで、年が明けると少しずつ国内需要は減少します。一方、台湾・香港など旧正月(春節)を祝う習慣のある中華系マーケットでは、1~2月は日本産のフルーツ、菓子などの食品が高級ギフトとして重宝されています。そこで、JAみなみ信州では、この旧正月商戦に焦点をあて、国内の需要が減少する時期に市田柿の海外輸出を重点的に進めることで、シーズンを通じた安定出荷と販売価格維持を図りたいと考えました。


ジャパニーズスーパーフード : 市田柿

市田柿の輸出は台湾向けを中心に15年ほど前から始まりました。輸出を開始した当初は国内市場を経由した間接輸出の形態であり、自らが海外マーケットの現状を把握していないという課題を持っていました。また、海外での販売拡大のためには市田柿の知名度を上げることが必要という認識もありました。

このような背景もあって、2016-2017年度にジェトロ地域団体商標海外展開支援事業を活用し、海外向け販売戦略の検討、ブランド構築に乗り出すこととなりました。

ジャパニーズスーパーフードを海外へ

地域団体商標海外展開支援事業においては、アジア(台湾・香港)と欧州(ドイツ・フランス・英国)の市場調査を実施し、海外販売戦略づくりのための情報収集を行いました。
これにより、(1)海外における知名度の低さ (2)日本国内他産地の干し柿との競合 (3)賞味期限の短さ (4)輸送や販売時の温度管理 などの具体的な課題が浮き彫りになりました。

その課題のもと、事業2年目である2017年度は、旧正月向けギフト需要の拡大を目指して台湾・香港におけるプロモーション活動実施を実施しました。活動にあたり、それまで整備されていなかった英語と中国語(繁体字)のリーフレットを作成し、市田柿の特徴を分かりやすく現地の消費者に届けるように工夫しました。

2019年度には、ベトナム・ホーチミンで開催されたジェトロ食品輸出商談会に参加。直後にコロナ禍になってしまいましたが、そこで商談した現地インポーターと商流が確立、ベトナム正月(テト)に合わせたギフト用市田柿の販売なども行っています。今後、ベトナム市場への本格参入も目指しています。


台湾でのプロモーション活動

市田柿は食物繊維、β-カロテン、ビタミンA、カリウムといった栄養素が豊富なスーパーフードです。生活習慣病の増加により海外でも健康を気にする消費者が増えている中、市田柿が持つこのような特徴も海外の消費者にアピールしていきたいと考えています。
今後も輸出を継続するためには、賞味期限や販売時の温度管理、若年購入層の開拓なども重要な課題ととらえており、引き続き検討が必要です。ジェトロ事業を活用し、今後の輸出戦略や解決すべき課題を見いだせたことは、とても役に立ったと感じています。

今後も輸出を継続するためには、賞味期限や販売時の温度管理、若年購入層の開拓なども重要な課題ととらえており、引き続き検討が必要です。ジェトロ事業を活用し、今後の輸出戦略や解決すべき課題を見いだせたことは、とても役に立ったと感じています。
2019年には組織内に市田柿海外輸出事業プロジェクトを設け、国内主要卸売市場関係者や、ジェトロ長野にも参画してもらい、コロナ禍で海外出張が叶わなかった時期も現地インポーターと連携して販売促進活動を実施したり、輸出戦略を検討することを継続してきました。結果、2022年度の輸出先は9カ国・地域に拡大し、ジェトロ事業を活用しはじめた2016年度と比較すると、輸出量は約3倍の83トン、輸出額は2億円を突破しました。
アジアのみならず、欧米市場の新規開拓も非常に重要と考えています。
JAみなみ信州としては、さらに輸出を拡大していくことで、地域の市田柿産業に関わる生産者、販売者の方々にしっかりと利益を還元できる取り組みに発展させたいと考えています。

ジェトロ活用のメリット

地域団体商標海外展開支援事業を通じ、自ら海外市場を知ることで、具体的な海外輸出の課題の洗い出し、戦略作りに臨むことができました。その一環として、プロモーション活動に使用する海外市場向けの英語・中国語(繁体字)のリーフレットも作成することができました。

ジェトロ長野 所長代理 石川由香から

海外においても「健康・美容」は誰もが気にする重要なキーワード。長野県南信州発の伝統食品が世界のスーパーフードになる日を想像して今後も一緒に取り組んでいきます。

写真 ジェトロ長野 所長代理 石川由香

みなみ信州農業協同組合 代表理事組合長
寺沢 寿男

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みなみ信州農業協同組合 (営農部販売課)

長野県飯田市鼎東鼎281
Tel:0265-52-6644
URL:http://www.ja-mis.iijan.or.jp/ 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
代表者:代表理事組合長 寺沢 寿男

職員:531名(正職員数)
事業内容:営農事業、経済事業、信用事業、共済事業
目的 :輸出
対象国・地域:台湾、香港、ベトナム、タイ、マレーシア

2023年9月

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