相生ユニビオ株式会社
貿易相談アドバイザーの助言を発端として海外販路拡大に成功

農林水産物・食品

愛知県内では珍しく多彩な酒類製造免許を持つ総合酒類メーカー。母体は創業140年以上のみりんメーカーで、蒸留酒・清酒の各メーカーと合併して現在に至る。業務用みりん等については、国内に強い販路を持ち、和食専門の料理人に広く使われている。家庭用となる純米みりんも高付加価値商品として関東方面を中心とする都市部で浸透している。

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主力商品の古式本みりん(左)と輸出が好調なKINUURAウイスキー(右)

輸出専門部門を立ち上げるも、苦労の連続

相生ユニビオは、1872年に愛知県碧南市で創業以降、主に国内市場で販路を拡大してきた老舗の総合酒類メーカーです。地元原産の材料を採用した商品が多いのが特徴です。2000年代前半に香港等への間接貿易を開始しましたが、全売上に占める海外輸出のシェアは年商の1%程度にとどまっていました。

しかしながら、将来的な日本市場の縮小と世界における日本食の認知度が向上していることを踏まえ、経営の新しい主軸に輸出事業を加えることを決定し、2016年には社内に輸出専門部門を発足させました。

輸出専門部門の立ち上げ当初は苦労の連続で、同部門に配置した社員は輸出に関する知識やノウハウがないため、何から手をつけてよいか分からず、右往左往することに。せっかく海外バイヤーとの商談に漕ぎ着けても、現地の業界事情や商習慣の違いなどを背景にその都度問題が発生し、なかなかスムーズな取引に結びつきませんでした。

輸出事業をどのように展開すべきかと悩んでいたころ、取引先メイン銀行が主催したビジネス商談会でジェトロに出会いました。輸出する上で必要なアドバイスを受けることができ、各種支援を提供するジェトロに魅力を感じ、サービスを利用することに決めました。

ジェトロサービスを通じて輸出への道筋を明確化

まず初めに利用したのは貿易相談でした。従来は、国内市場向けに展開していた商品をそのまま海外でも売れないか、と考えていましたが、ジェトロの貿易相談アドバイザーと協議し、海外市場に提案できる商品は何かを見極めるよう発想を転換しました。

海外市場を狙う戦略を立てるため、ジェトロのアドバイザーから提供された輸出想定国の情報や現地法律上の規制等を踏まえ、社内で協議を重ねました。

また、ジェトロの海外ミニ調査サービスも活用して海外市場の状況を把握し、相生ユニビオとして提案できる商品ラインアップや新商品の開発などの検討に生かしました。

さらに、2016年からは新輸出大国コンソーシアム事業も活用し、ジェトロ専門家のハンズオン支援による、よりきめ細かいサポートで、刻々と変わりゆく生の現地情報を知ることができました。

また、初歩から手取り足取り指導を受けることで、販路拡大のために最低限押さえるべきポイントを明確化することもできました。

各種サービスを活用することで、海外バイヤーとの交渉を優位に運べる体制を整えることができ、2017年12月末には、相生ユニビオの新規輸出実績は合計7カ国・地域にまで拡大。中国、台湾、ベトナム、シンガポール、インド、オーストラリア、スイス向けの輸出実績は約440万円に上っています。

最近は欧州向けウイスキーの輸出交渉が本格化し、成約すれば継続的な取引が期待できる案件です。さらに、カナダの複数バイヤーからもウイスキーの引き合いがあり、ジェトロのサービスを活用しながら交渉中で、手応えは日に日に増しているところです。

輸出に成功した要因としては、相生ユニビオがビール・ブランデーを除く全てのアルコール類製造免許を持つ唯一の愛知県内企業であることから、自社だけで多種多様な商品を海外バイヤーにアピールできたことが大きく、その下地を作ることができたのは、取引メイン銀行がジェトロに繋いでくれたことがきっかけでした。輸出が成功した経緯は異なるものの、全ての案件でジェトロが何らかの関与しています。特にジェトロ名古屋のアドバイザーには、初歩的な質問でも親身になって的確なアドバイスや支援を受けることができたことが大きく、当社担当も感謝しています。

近年、海外の一部の地域で和食はブームになっていますが、国によってレベルは異なり、海外の和食と日本の和食の間には開きがあると見ています。今後は、実績を上げているリキュールやウイスキーの輸出を強化していくのと同時に、輸出拡大を通して現地のニーズを正確に把握し、「MADE IN JAPAN」さらには「MADE IN AICHI」の良さを広め、世界に和食の文化を浸透させたいと考えています。海外市場での1億円の売上を当面目指しつつ、将来的には海外売上の比率を10~15%にまで拡大することを長期的な目標としています。

ジェトロ活用のメリット

ジェトロサービス(商談会、補助金、セミナー)についての情報をピンポイントかつタイムリーに連絡をもらい、利用することで、輸出拡大につなげることができました。アクションを考える上での良い指針となったと思います。

ジェトロ名古屋 原田貴文/アドバイザー 近藤覚から

ジェトロのサービスを上手く利用していただいた企業。今後もジェトロ所内の連携を通じて、同社の販路拡大に貢献できるよう尽力したい。

写真 アドバイザー 近藤覚
写真 ジェトロ名古屋 原田貴文

相生ユニビオ株式会社 代表取締役社長 村松浩一郎

ご利用いただいたジェトロのサービス

  • 貿易投資相談
    本部(東京)、大阪本部、国内各地の貿易情報センターなどでは、お客様から電話、Fax、E-mailで寄せられるご相談にお答えします。
  • 海外ミニ調査サービス
    海外取引の足がかりとなる情報をジェトロの海外事務所がお調べします。(有料/ジェトロ・メンバーズ会員割引料金あり)。

相生ユニビオ株式会社

愛知県西尾市下町丸山5番地
Tel:0569-20-0355
URL:http://www.unibio.jp/外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
代表者:代表取締役 村松 浩一郎

従業員:76名
資本金:8,800万円
事業内容:みりん、清酒、蒸留焼酎、リキュール、果実酒等の開発、製造販売等
目的 :輸出
対象国・地域:アジア・オセアニア・欧州

2018年7月

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