神野織物株式会社

日本が誇る伝統工芸品をなんとかして、世に残していきたい

日本の伝統工芸品である手ぬぐい、タオルの企画・制作、印刷・プリントなどの2次加工、製造卸、販売を手掛ける。海外にはフランスへ剣道用面手ぬぐいとして輸出。剣道クラブ向けの別注品も扱っている

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展開国・地域:
2018年 フランス
事業内容:
手ぬぐい、タオルの企画、制作、デザイン、印刷、プリント等の2次加工、製造卸、販売

代表取締役 神野 哲郎 氏

日本市場に対する危機感を感じた

ウェブサイトでも購入できる人気の伝統柄手ぬぐいは種類も豊富

手ぬぐいは約600年の歴史があり、江戸や明治時代はお風呂で使う必需品でした。しかし、1945~55年ごろから急速にタオルが取って代わってしまいました。昔は数百、数千もあった工場も、職人の方たちの高齢化が進み、どんどん疲弊していき、今では全国で30軒ほどしか残っていません。明治時代に創業し、古典柄、伝統柄の手ぬぐいに拘り、私で5代目になる歴史を持つ弊社としては、この日本が誇る伝統工芸品を何とか世に残していきたい。現在は越境ECというアプローチも生まれ、世の中的にもどんどん海外市場へと出ていきましょうという風潮になりました。そこで、日本市場に対する危機感もあったことから、輸出に向けて動き始めました。

ジェトロを通じて海外への扉が開いた

2015年ごろにホームページを作成した際、海外へ向けて越境ECに取り組みたいと思いジェトロに相談しました。手ぬぐいを何に使ったらよいか分からない海外の方に、どうやって売ったらいいのか?吹田市にも協力していただいて海外留学生を集めてアンケートを採ると、ランチョンマットとかテーブルクロスと答え、汗を拭うという認識がない。その中に、剣道をやっている方がいて「みんな面手ぬぐいとして手ぬぐいを使っている」との声が出ました。するとジェトロの専門家から、実際に使っていて良さを理解している剣士に的を絞ってアピールしてみようとアドバイスをもらい、たまたま知り合ったフランス剣道連盟の広報部長にアプローチしたところ、紹介の輪が次々と広がり世界大会役員などとの商談機会も増えています。

2018年剣道フランスオープン大会でのブース販売の様子

世界中の剣道愛好者へ品質と伝統を届けることが目標

海外へ出掛けて行くと、新たなヒントを得られることも

とにかくまずはやってみることですね。もちろん言葉の壁などはありますが、ジェトロ「新輸出大国コンソーシアム」の専門家によるハンズオン支援もあり、うまく進めることができました。日本では剣道人口が150万人いるのに対し、EU全体では1万人しかいない。しかし、欧州は防具も価格も高く、アッパークラスのスポーツとなっている。手ぬぐいが日本で1,000円のところ、欧州では15ユーロでも売れます。手ぬぐいを持って行って話をすると、今度はタオルができないかとか、現地から要望をもらえるようになりました。今、海外では日本文化がブームとなっていますので、ロウソクなどといった日本の伝統的なものほど海外市場に向いているのではないでしょうか。実際に海外へ出掛けて行くと、みんなが栓抜きを携帯しているのを見て、栓抜きを作って売ったらええんちゃうか?とか、新たなヒントも得られます。どんどん視野も広がっていき、興味深い体験がたくさんできます。海外ビジネスはそんなに難しいことではないので、一度やってみるべきだと思います。

専門家からのポイント

先取の気性に富んだ社長のイニシアティブで既に海外向けECサイトを作成していたので、誰をターゲットに何を売るかSWOT分析の手法などを用いて一緒に考えるところからのスタートでした。狙いを定めてからのアクションが早かったことが良かったと思います。注意した点は、地に足の着いた進め方で確実に成果を積み重ねることでした。寄り添いながら支援をしたことが今後企業様ご自身で海外ビジネスを進める際の一助になれば幸いです。

ご利用いただいたジェトロのサービス

  • 新輸出大国コンソーシアム
    日本企業の海外展開を支援する全国のあらゆる支援機関が結集し、海外展開にご関心をお持ちの中堅・中小企業の皆様へワンストップの支援サービスを提供します。

神野織物株式会社

大阪府吹田市
http://www.e-kanno.com外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
代表者:神野 哲郎
設立年:1958年9月
従業員:9名
事業内容:手ぬぐい、タオルの企画、制作、デザイン、印刷、プリント等の2次加工、製造卸、販売

2019年3月

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