株式会社ササヤマ

米国は法人設立に関して、日本よりハードルが低いと思います

自動車や家電のプレス部品向け金型を設計、製作。2000年に米国の会社と業務提携後、提携先の撤退により、2017年に100%出資の現地法人を設立。プレス金型業界唯一の米国進出であり、売上もグループ全体の4分の1を占める

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展開国・地域:
2000年・2017年 米国
事業内容:
精密プレス金型設計・製作、プレス部品試作・量産、精密部品機械加工、各種治具製作、大物部品加工、3Dプリント、3Dスキャン、3Dデータ作成サービス

代表取締役社長 笹山 勝 氏

業務提携から現地法人設立へ

1999年、米国テネシー州にある現地企業に、日系メーカー製冷蔵庫のコンプレッサー用金型を納品しました。その時に先方の社長様から米国で一緒にやらないかという話をいただきました。先方にとっては金型のメンテナンスサポートが必要でしたし、弊社にとっては営業ができるということで前社長が即決しました。2000年2月に日本人技術者1人を同社に転籍させて、業務提携を開始しました。進出当時は家電メーカーからの仕事を請け負う目的で行ったのですが、中国が台頭してきて日系家電メーカーは撤退、製造部門を中国に移管してしまったので、2002年からは日系メーカーの自動車部品のみになりました。その後、2015年に現地企業が手を引きたいというので、弊社で現地法人を立ち上げる必要が発生しました。2017年7月末、前述の現地企業との業務提携を解消し、同年8月1日からは、弊社100%出資の現地法人Sasayama USA Corp.が稼働しました。

ワイヤーカット放電加工機

SASAYAMA USA事務所入口

ジェトロの専門家から法人設立のノウハウを提供

現地法人の設立に当たって、もともと米国でやっていたので、米国がどういうところかはある程度分かっていました。工場の立地も今ある工場の近くという選択肢しかなかったので、あまり迷うことはありませんでした。心配だったのは資金面や今の人材がそのまま新会社に来てくれるのか、人件費の高い米国で事業が成り立つのかということでした。最初に相談したのは一番身近なジェトロです。「新輸出大国コンソーシアム」の専門家の支援を受け、現地アドバイザーのサポートなどもあり、法人設立ノウハウの提供や、弁護士や会計事務所も紹介してもらいました。現在、日本のプレス金型業界で米国に進出しているのは数社しかいないので、情報的にも優位になりますし、お客さんである日系の自動車メーカーにとっては、メンテナンス、あるいは営業拠点としての位置付けが大きいと思います。売上でも米国での実績はグループ全体の4分の1を占めています。

SASAYAMA USA工場内観

SASAYAMA USA従業員(クリスマス会)

良いパートナーを見つけられるかどうか

米国に進出していくに当たり、弊社は最初に住友商事様という大きな会社と組むことができ、10年掛けてノウハウの蓄積や人材育成などができたので運が良かったと思います。なかなか同じようにはいかないとは思いますが、一つは、そういうパートナーを見つけられるかどうかが重要と考えます。もう一つは経営者の決断だと思います。弊社の場合は、2000年当時、前社長が米国へ出るといった決断がありました。今までもさまざまな会社から米国に出たいのだがという相談を受けますが、結局は最終的に経営者が判断するかどうかによります。大体判断できなくて、相談をしてきた会社で進出できた会社はありません。また、進出を決めたらきちんとした事業計画を立て、何かあったときに元の計画はどうだったのかと立ち返るのが大事だと思います。米国は日本企業の進出の歴史が長いので、現地の事情を良く知っている日本人が多いのもメリットです。法人設立に関しては、日本よりハードルが低い面もあると思います。

専門家からのポイント

現地不動産事情が加熱していることを察知して、自社工場からレンタル工場建設への方針変更を迷うことなく行う迅速な経営判断が良かったと思います。現地には既に駐在員がいましたから、現地の情報収集、工場建設に関する手続きなどはスムースに行えました。その分、支援は意識して、日本側の進捗管理を行う責任者に寄り添い一人で問題を抱えることがないように努めました。当時のジェトロ鳥取所長は米国駐在の経験があり、米国の福利厚生に詳しかったので、協力して日本側責任者の細かい問い合わせにも対応できました。

ご利用いただいたジェトロのサービス

  • 新輸出大国コンソーシアム
    日本企業の海外展開を支援する全国のあらゆる支援機関が結集し、海外展開にご関心をお持ちの中堅・中小企業の皆様へワンストップの支援サービスを提供します。

株式会社ササヤマ

代表者:
笹山 勝
設立年:
1972年8月
従業員:
70名
事業内容:
精密プレス金型設計・製作、プレス部品試作・量産、精密部品機械加工、各種治具製作、大物部品加工、3Dプリント、3Dスキャン、3Dデータ作成サービス

2019年3月

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