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佐藤薬品工業株式会社

海外の市場調査をすることで日本製品の需要と供給が合っていないことが分かった

医薬品などの受託製造を行う製薬会社。長年培ってきた内服固形剤の製剤技術と豊富な生産設備と品質管理で、多様な医療ニーズに応える医薬品を提供している。近年は事業拡大のため海外進出も展開

奈良県橿原市ウェブサイト

展開国・地域：: 2016年ベトナム
事業内容：: 医薬品、健康食品の製造販売

取締役特販部長佐藤智寛氏

ベトナムへ赴き感じた勢い

会社の永続を考えると、国内市場だけでなく海外への挑戦は必要になる。そう考え、2016年ごろから海外進出の検討を開始しました。数年前、弊社のある橿原市と姉妹都市提携を結んでいるベトナムのベッチ市との交流の一環として、両市を代表する企業同士で意見交換をしたことがあり、まずはベトナムでのビジネスに関し調査をすることにしました。最初は海外展開をしている弊社のメインバンクに相談し、現地駐在員の方とどういった商品が売れているのか、売られているのかを一週間ほど調査しました。実際にベトナムへ行くことで現地の勢いを肌で感じることができました。人口も増えていて、平均年齢も約30歳と国が若い。当時はTPPのこともあり、世間的にはこれからはベトナムだろうという風潮もありました。また、メード・イン・ジャパンの安全神話もあり、現地では日本製品を欲しがる声がとても多い。しかし、市場には日本製品がほとんどない。これは需要があるなと感じました。

ベトナムで行われたパートナー企業との販売委託契約の基本合意書調印式

営業を重ね現地に合ったスタイルを確立

海外事業に関しては全く知識がなかったため、自発的に勉強を開始。その流れでジェトロが開催しているセミナーにも通いました。ベトナムの市場状況など、1年近くは情報収集に費やしましたね。その後、ベトナムにある日系のコンサルタント会社の協力をいただき、現地販売会社へ営業を始めました。ベトナムでは日本と違い、医薬品や健康食品に対しての規制や制度など未整備なところが多く、戸惑うこともありました。しかし、営業を重ねていくうちに現地にあった営業スタイルにたどり着くことができました。現在はOEMの営業スタイルがメインで、既存の商品を売るのではなく、お客様の要望を聞いて成分やパッケージデザインなどを独自にカスタマイズして提案しています。また販売する際は基本的に独占販売契約を結んでいます。相手も売りやすいし、弊社もさまざまなところに販売したりサポートしなくて済むというメリットがある。この点が現地の方に支持を受けているところだと思います。

市場調査風景。進出国のドラッグストアやショッピングモールを周り、販売されている製品の特徴などを確認

ベトナムの駐在員事務所

考える前に現地へ行くことが重要

2017年には駐在員事務所をベトナムのホーチミンに設立しました。営業で使う資料などを用意するにしても、全て日本から持って行かなくてはならず荷物が多く、飛行機なので荷物の量も種類も制限されます。さらに商談中にサンプルが欲しいと言われてもすぐに対応できないケースも出てきました。そのため物置でもいいし、ちょっとした机があればデスクワークもできるなと考え駐在員事務所を設立することにしました。営業面では、ジェトロの「新輸出大国コンソーシアム」のハンズオン支援を受け、専門家を派遣してもらい一緒に各国へ商談に回っています。専門家の方に一気通貫で面倒を見てもらえて、しかも無料。非常に助かっています。海外進出は、まず行動してみるのが重要と考えます。調べれば調べるほど、やらない方がいいのかという結論に陥りがちです。でも、現地に行けば感じるものがあるはずで、あれこれ考え過ぎる前に行ってみるのも重要ではないでしょうか。

専門家からのポイント

日本での本業である薬品販売よりも進出の障壁が低い、サプリメント販売で事業を開始しました。ゼロからの挑戦であり、しっかりと粘り強く商談をされたのが印象的でした。すぐに結果が出なくても、実直に交渉を続けることでしっかりと成果が出たのだと思います。輸出型の展開でうまくいかないのは成果を焦ってしまうことだったりしますので。ベトナムでは金額ありきの商談が多いですが、面談先から情報を引き出すよう商談や営業を粘り強く行ったことが成功要因の一つではないかと思います。