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株式会社SOL JAPAN

島根の魚を世界に届ける近道はジェトロが教えてくれました

2017年にシンガポールへ「ノドグロ」真空パックを輸出し、現在も継続して輸出中。2018年8月に台北、9月に香港のバイヤーとも契約締結。今後は「ノドグロ」以外の魚も輸出予定

島根県松江市ウェブサイト

展開国・地域：: 2018年シンガポール、台湾、香港
事業内容：: 鮮魚および水産加工品製造・販売、水産冷凍加工品製造・販売、飲食店卸

代表取締役田中真一氏

地元愛から始まった町の魚屋が海外市場へ挑戦

もともと弊社は、漁師だった私の祖父がトラック1台から始めた魚屋で、1963年に「田中屋鮮魚店」という屋号で店舗を構えました。一時は飲食店も3店舗経営していたのですが、父から私に世代交代をするタイミングで、飲食業から撤退しました。少子高齢化が進み、市場も狭くなっていく中で、地元でマーケットを奪い合うのはナンセンスと感じたからです。そこで、島根の宝物である魚を県外、さらには海外に発信していけば他地域の人たちの喜びにもつながると考え、「魚を売る」という原点に立ち返り、2017年に鮮魚店一本に絞って再スタートを切りました。県外への販路は順調に開拓できましたが、海外輸出となると何から手を付けていいのか、誰に相談すればいいのかもまったく見当が付かず、ひとまずインターネットで情報収集を始めました。そこで初めてジェトロの存在を知り、2017年にジェトロ松江を訪れました。

田中真一社長と従業員のみなさん。海外に島根のおいしい魚を届けるため、社員一丸となって安全性を重視した商品作りに取り組む

ジェトロの細やかなサポートで契約が成立

正直、ジェトロを訪問するまでは「町の小さな魚屋のことなんて相手にしてくれるのだろうか？」と半信半疑でした。しかし、実際にジェトロ松江を訪問して相談をすると、「一から一緒にやって行きましょう」という言葉をもらい、とても心強かったのを覚えています。同時に、「新輸出大国コンソーシアム」の支援サービスを提案され、活用することにしました。その流れで専門家を紹介してもらい、ディスカッションを重ねる中、ジェトロの国内商談会への参加を勧められ、2017年に東京と大阪で開催された商談会に参加しました。国内にいながら複数のバイヤーと一度に商談できることにメリットを感じました。商談会に参加した後も、ジェトロと専門家の方と密に連絡を取り、商談したバイヤーに送るメールの指導から、輸出用の管理シートやスケジュール表の作成まで、手取り足取り指導をしてくれました。そのお陰で、シンガポール、台湾、香港に販路を開拓することができました。

2018年、シンガポールの商談会に出展した際の様子

島根の魚をデザインしたロゴ。「田中屋鮮魚店」のロゴだった飛脚も

社名を一新して世界に羽ばたく企業を目指す

海外でも通用する企業を志し、2018年8月に社名を「SOL JAPAN」に変更しました。S＝島根、O＝お魚、L＝ラボという風に、「田中屋鮮魚店」の歴史や思いも込められています。現在、輸出している商品は島根を代表する「ノドグロ」をメインにしています。特に浜田産の「ノドグロ」は脂質が25%以上あって味も格別なので、弊社ではこの浜田産にこだわり、三枚に下ろした商品と、一匹丸ごとの商品を真空パックで冷凍出荷しています。どちらも丁寧に下処理し、お刺身で食べられる品質で出荷しているので、解凍して切る、煮る、焼くだけで立派な料理になります。これは飲食店経営の経験から生まれた商品です。簡単においしく調理できて、ゴミも少なく、管理しやすい点を評価していただいています。社員が英語を話せない中、海外輸出の夢が叶ったのはジェトロの支援のお陰です。この先の展開にも希望を感じています。

専門家からのポイント

田中社長の商品に対する思いと行動が、先代から続くSOL JAPANの魚への目利きを海外に結び付けた好例です。積極的にジェトロ国内商談会に参加し、参加するごとに準備資料、プレゼンテーション手法を着実に改善したこと、素早いリアクションが、短期間で複数の優良輸出業者と出会い、評価され、アジア複数国への初成約に結び付いたと思います。輸出対象商品を国内商売で同社が得意とする島根の鮮魚および「ノドグロ」に当初絞ったことも、同社およびバイヤーにとり取り組みやすかったと思います。輸出余力はあるため、今後さらなる輸出拡大を期待できます。