小型農業機械の潜在ニーズを見極める

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サンエイ工業株式会社

北海道の農業機械メーカーが、海外における小型農業機械の潜在ニーズを見越し、欧州を中心に販路を拡大。継続的輸出を目指すと同時に、新興国への販路拡大を狙う。

北海道斜里郡斜里町 <輸出> 対象国・地域:欧州、韓国、インド、ブラジル他

世界一小さなジャガイモ収穫機

知床半島の北海道斜里町で鉄工所として1961年に創業したサンエイ工業は、地元の農作物であるジャガイモを収穫するための機械を開発して以来、農業機械の製造販売及び研究開発に取り組み、畑作業用の農業機械メーカーとしての道を歩んできた。

同社は、国内市場の縮小で伸び悩んでいた時期に輸入に取り組み、海外との取り引きを始めた。その後、国内商社から打診を受け、海外に自社製品を販売すべく輸出に取り組んだものの、成約には至らなかった。この経験を踏まえ、同社は09年11月に世界最大の農業機械展示会「Agritechnica 2009」(ドイツ・ハノーバー)に単独で出展。大型の農業機械製品が主流の中で、「世界市場にも小さな農業機械のニーズはある」との見解から、“世界一小さなジャガイモ収穫機”として自社製品「ポテトハーベスター」をPR すべく、初めて海外の展示会に出展した。これを機に、同社は本格的に海外市場開拓に取り組み始め、海外ビジネス経験のあるスタッフを配置し、海外部門を独立させた。

同社が活用したジェトロの主なサービス・支援

2011年10月~ 2014年10月予定 輸出有望案件支援サービス
2011年11月 「Agritechnica 2011」への専門家同行
2011年頃 引き合い案件データベース(TTPP)
2013年2月 海外ブリーフィングサービス(インド・デリー事務所)
2013年8月~ ジェトロ北海道に貿易投資相談
2013年11月 「Agritechnica 2013」への専門家同行

ジェトロの支援で市場開拓

それまで独自で海外展開を図ってきた同社であるが、11年に北海道農業機械工業会から推薦を受け、ジェトロの輸出有望案件発掘支援事業に採択された。以降、ジェトロの輸出有望案件専門家からサポートを受け、海外販路開拓に取り組んでいる。09 年は単独で出展した「Agritechnica」に、11年、13年はジェトロの輸出有望案件専門家の同行のもと出展し、世界各国から訪れたバイヤーらと商談を行った。出展後もジェトロより商談支援や情報提供を受けつつ、各国のバイヤーとの商談を進めている。

欧州市場参入に先駆け、同社は欧州連合(EU)加盟国の基準を満たす製品を対象としたCE マークを取得した。こうした先行投資に加え、大型機械中心の欧州企業と競合しない自社の優位性をいち早く見抜き、小型機械の潜在ニーズに切り込んだことで道が開けた。

現在、同社は欧州や韓国など数カ国への輸出実績を持つ。しかし、単発での取り引きに留まっているため、継続的な輸出を実現すべく善後策を練っている。海外との取り引きは現地の商習慣に合わせて商談を進めていく必要があり、また、機械装置に要求される性能や仕様が市場により異なるため、市場ニーズに合ったきめ細かな対応にも配慮している。

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継続的輸出を目指して

同社は当面、「Agritechnica 2013」で出会った企業と商談を継続していくことを目標とする。また、ブラジルやインドなどの新興国向けに販路を拡大すると同時に、これまでに取り引きがあった企業からの追加オーダーや継続的輸出を目指していく。

ジェトロ担当者からの一言コメント

同社は、企業トップの輸出に対する熱意がぶれず、海外対応を自力で行える体制を作り上げている。海外市場向けに必要な商品の改造をきめ細かく行うなど積極的に活動しており、今後も海外取引先の充実を実現できるよう引き続き協力していきたい。(作田専門家)

ご利用いただいたジェトロのサービス

  • 展示会・商談会への参加
    海外販路開拓のきっかけとなる展示会・商談会への出展をサポートします。
  • 輸出有望案件支援サービス
    輸出戦略の策定から契約締結まで専門家がお手伝いします。優秀な製品を持っていながらこれまで輸出経験がない、あるいは輸出ビジネスを躊躇している中小企業が対象です。

サンエイ工業株式会社

北海道斜里郡斜里町光陽町44-17
Tel:0152-23-2173
http://www.sanei-ind.co.jp/外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
従業員:34 名 資本金:1,500 万円

2014年3月

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