水処理技術でアジアに貢献

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株式会社サニコン

「水を守る」を使命とし、自社の提供する技術に最後まで責任を持つスタンスでビジネスを行うサニコンは、中小企業でも活躍の機会があるベトナムを進出先に選定。小さな仕事から地道に顧客との信頼関係を構築する。

大阪府堺市 <海外進出> 対象国・地域:ベトナム

水を守り、人を守る

サニコンは、1970年に大阪府堺市大町にて河川環境の改善を目指した浄化槽の保守点検業務を開始した。その後順次業容を拡大し、1979年にサニコングループのシンクタンクである株式会社総合水研究所を設立した。2008年にはベトナムに進出してサニコンベトナムを立ち上げ、2008年度のグループ年間売上高は43億円に上っている。

同社が事業領域とする“水”は人が生活していくうえでなくてはならないものである。同グループでは貴重な資源である水に関するトータルサービス(環境アセスメント・給排水設備の設計・施工とメンテナンス・コンサルティングサービス)を展開している。

「水を守る」という使命を銘記し、国内外を問わず、単に利益を追求するのではなく、同社が関わる仕事には最後まで責任を持つスタンスで事業を展開している。同社は事業目的である“永続するための利益”と企業の最終責任である“社会貢献”の2つを同時に追求している。

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水処理を認識してもらう事からのスタート

同社の海外進出は、水処理で国際貢献をしたいとの思いからであった。IWA(国際水協会)への協力やホーチミン工科大学への出資もそのような思いの表れの一端である。

海外展開先としては、まずはアジアを候補として考えた。中国も候補の1つであったが、中国には既に多くの企業が進出していたため、中小企業でも活躍の機会のあるベトナムを進出先として選んだ。

1998年にベトナムに進出した当時は、水処理の認知度が低く、法律すらない状況であった。そのため、自治体幹部や企業経営者を集めての勉強会から始め、水処理の普及活動を行った。

また、中小企業は失敗することができないため、初めから大きな仕事を狙うのではなく、小さい仕事をコツコツと積み上げ、顧客と信頼関係を築く戦略をとった。想定顧客は、大手と競合しないような小さな規模の工場やホーチミン以南の自治体や企業であり、海水の淡水化設備や食品工場排水の汚泥減量設備などで貢献していく予定である。

今後、ベトナムでさらなる事業拡大を図る上で、同社の強みは企業活動の現地化と、信頼関係で培った安価な施工力と日本の技術力との連携体制で会社を運営していくことである。サニコンベトナムは社長も含め全員ベトナム人であり、設計以外の仕事を全て現地に任せている。2009年8月魚粉肥料工場の汚水処理設備を受注し、11月完工した。それ以来各方面から多くの問い合わせが寄せられている。

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多方面の情報収集がベトナムでの成功の鍵

海外展開では迅速な意思決定が求められる。適切な意思決定のためには多面的かつ質の高い情報が必要である。ジェトロのミッションでは日系・現地資本の両方の企業見学ができるので、現地社員の態度や働き方を理解する絶好の機会と捉えている。

ミッションの活動の一環として開催された商談会で多くの案件を発掘できたこともミッションの成果である。そのうち、コーヒー園と染色工場の排水処理施設の2案件は具体的に進捗している。

残る課題は処理する汚水の成分分析値や今後の排水量の予測を的確に把握することである。処理前の排水成分や排水量の予測は処理施設の設計には欠かせないが、顧客サイドにしっかりとした資料や計画案がないことが多い。顧客の言葉を信じ施工すると現実と違うことがあり、性能を担保することが出来なかったり、増設計画を見越した設計に狂いが生じる。中途半端な施設を作らないことは同社の方針であり、上記の解決に取組んでいる。

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株式会社サニコン

大阪府堺市北区百舌鳥陵南町3-345
TEL:072-277-3255
http://www.sanicon.co.jp/外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
設立:1970年
従業員:125名

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