ジャパニーズ・スタイル－ 畳文化を世界に発信

海外展開にあたり、同社はまずジェトロのアジア・キャラバン事業に参加するなど中国、東南アジア市場の開拓を目指した。しかし、畳があまり認知されておらず、価格面でも折り合わなかったため、同社は方向転換を図り、ある程度畳が認知されている欧米での販路開拓を目指し、「メゾン・エ・オブジェ」（パリ）と「ICFF」（ニューヨーク）に出展することにした。

2011年の出展当初、同社ではブランド名を日本と同じ「igusa-mono」としていたが、現地で浸透しなかったため、「畳」と「老舗」を前面に押し出した「THE TATAMIFACTORY SINCE 1934」に変更したところ、商品のイメージが伝わりやすくなり、反響も増えた。

また、同社にとって海外展示会での経験は、商品そのものを大きく進化させた。当初は、人工いぐさ（ポリエステル）の畳のみをラインナップし、スタイリッシュなデザインや奇抜なカラーの商品をPR していたが、なかなか成約に結びつかない。出展を重ねるうちに、「ナチュラル」がキーワードであることがわかり、最初は欧米での展開は難しいと考えていた天然いぐさ畳を積極的にPR したところ、日本文化に造詣が深いバイヤーなどから好評を得て、成約に結びつくようになった。

同社は、海外展示会に継続的に出展するなかで一つ一つ課題を解決し、経験から得た知識で海外展開のノウハウを蓄積してきた。こうした積み重ねが、今の海外販売の拡大につながっている。