ロシア4機関と協力覚書を締結 ―日露ビジネス対話では協力深化のメッセージを発信―

2016年12月

ロシア連邦(以下、ロシア)のウラジミル・プーチン大統領が訪日した機会を捉え、2016年12月16日、ジェトロはロシアの4機関との間で協力覚書を締結し、日露間の企業交流において、今後緊密な連携をとることとなりました。ロシア側4機関とは、ロシア国内で中小企業育成を担う「ロシア中小企業発展公社」、技術移転促進などを担う「技術発展庁」、ロシア極東への投資誘致や極東地域からの輸出促進を担う「極東投資輸出促進庁」、そしてロシア政府幹部が登壇する国際会議等を組織する「ロスコングレス」です。

資源依存からの脱却を目指し、国内産業の振興と高付加価値産業化を図るロシア政府は、現在、産業の基盤となる中小企業の育成や外国からの技術導入に積極的に取り組んでおり、そうした分野では、日本企業にとっても新たなビジネスチャンスが生まれることが期待されます。また16年5月の日露首脳会談で日本が提示した8項目の経済協力については、現在官民で取り組みが進んでいますが、ジェトロは「中小企業交流・協力の抜本的拡大」「ロシアの産業多様化・生産性向上」を中心に、ロシア事業を強化していきます。具体的には、ロシア・ビジネスを検討する日本の中小企業への個別支援、17年7月にエカテリンブルクで開催される総合産業博覧会「イノプロム」でのジャパン・パビリオンの運営、ロシア進出日系メーカーと地場サプライヤーの商談会開催などを実施する予定です。

今回の協力覚書締結を契機として、ジェトロは日露間の経済関係発展に一層注力してまいる所存です。

また、12月16日に都内で開催された日露ビジネス対話の全体会合(日本経済団体連合会等主催、於:経団連会館)には石毛理事長(パネリスト)が、分科会(ロシアNIS貿易会等主催、於:ホテル・ニューオータニ)には赤星副理事長(モデレータ)、米谷理事(モデレータ兼スピーカー)、加藤展示事業部長(スピーカー)が、それぞれジェトロから登壇しました。

石毛理事長は上記会合において、日本政府による8項目の経済協力のうち「中小企業交流・協力の抜本的拡大」に関連し、ジェトロとしては日本各地でのセミナー開催や「イノプロム」出展、ロシア・ビジネス専門家による個別支援などを通じ、わが国中小企業とロシア企業との交流を支援するとともに、日露経済交流発展に取り組んでいきたいと述べました。分科会では加藤展示事業部長が、「イノプロム」出展に加え、モスクワにおいて在ロシア日系メーカーと地元サプライヤーが商談する自動車部品調達商談会を16年8月に開催したことなどを挙げ、ロシアの産業多様化・生産性向上に向けたジェトロの取り組みを紹介しました。


全体会合での安倍首相挨拶(写真提供:経団連)


全体会合での石毛理事長スピーチ(写真提供:経団連)


1.今回締結した協力覚書の概要

ロシア中小企業発展公社

公社概要:
ロシアの中小企業のビジネス支援、中小企業にとってのビジネス環境整備などを担う。ロシア経済発展省所管。
主な内容:
「8項目の経済協力プラン」第3項「日露中小企業の交流と協力の抜本的拡大」を踏まえ、以下の活動を行う。
  • 日露の中小企業の相手国市場参入に関する成功事例の共有
  • 見本市・国際会議情報の交換
  • 両国中堅・中小企業の対相手国ビジネス支援

技術発展庁

発展庁概要:
ロシア企業(特に高度技術を要するロシア企業)向けの先進技術(国産・外国技術両方)の紹介と導入支援を担う。ロシア産業商務省所管。
主な内容:
「8項目の経済協力プラン」第5項「ロシア産業の多様化促進と生産性向上」を踏まえ、以下の活動を行う。
  • 両機関の経験の共有
  • 講演・プレゼンテーションの実施
  • イノベーションや研究開発活動に関する成功例などの情報交換

極東投資輸出促進庁

促進庁概要:
極東への対内投資誘致、極東からの輸出促進支援などを担う。
ロシア極東発展省所管。
主な内容:
  • 相互の貿易投資に関するサービスの提供
  • 投資企業希望への日露関係機関の紹介、情報交換。

ロスコングレス

ロスコングレス概要:
大統領関連の国際会議(サンクトペテルブルク国際経済フォーラム、東方経済フォーラム等)の主催機関
主な内容:
  • 両機関が実施するイベントでの登壇機会創出
  • イベントに関する相互広報協力

2.日露ビジネス対話

日時 2016年12月16日(金曜)
8時30分~12時45分 分科会
16時30分~19時00分 全体会合
場所 分科会:ホテル・ニューオータニ
全体会合:経団連会館
主催 一般社団法人日本経済団体連合会、一般社団法人ロシアNIS貿易会、露日ビジネスカウンシル、ロシア産業家企業家同盟、実業ロシア
ジェトロ参加セッション 第6分科会:中小企業分野における協力
  • 日本側モデレータ:
    • 米谷 光司 ジェトロ理事
  • ロシア側モデレータ:
    • A.A.ブラヴェルマン 中小企発展公社総裁
  • 報告:
    • A.A.ブラヴェルマン 中小企業発展公社総裁
    • 米谷 光司 ジェトロ理事
    • A.S.ニキーチン 戦略イニシアチヴ庁長官
    • 天間 幸生 北海道総合商事 代表取締役
    • 松田 有司(株)エムズプランニング 最高経営責任者
    • P.S.シェラハエフ 極東投資誘致・輸出支援庁長官
    • 青井 貴史(株)青井商店 専務取締役
第7分科会:産業多様化・生産性向上分野における協力
  • 日本側モデレータ:
    • 赤星 康 ジェトロ副理事長
  • ロシア側モデレータ:
    • S.S.ヴォスクレセンスキー ロシア経済発展省次官
  • 報告:
    • R.V.トロツェンコ AEON社 取締役会長
    • 松川 昌義 (公財)日本生産性本部 理事長
    • M.V.イグナチエフ チュワシ共和国 首長
    • 岡田 有祐 日本たばこ産業(株)渉外企画室 部長
    • A.A.オボレンスキー(株)ナホトカ肥料工場取締役会長
    • 加藤 辰也ジェトロ展示事業部 部長
    • S.I.モロゾフ ウリヤノフスク州知事
    • 小野 裕和(株)ドーワテクノス代表取締役
    • V.S.ビリュコフ 企業グループ Talina社長
全体会合:経済関係発展への新たな試み
  • 総合司会:原一郎 日本経済団体連合会 国際経済本部長
  • 主催者開会挨拶
    • 日本側:
      • 榊原定征 日本経済団体連合会会長/東レ(株)相談役最高顧問
    • ロシア側:
      • A.レピク 露日ビジネスカウンシル議長、実業ロシア会長
  • パネルディスカッション
    • モデレータ:
      • 道傳 愛子 NHK解説委員・NHK国際放送局チーフ・プロデューサー
    • 日本側パネリスト:
      • 朝田 照男 経団連日本ロシア経済委員会委員長/丸紅(株)会長
      • 村山 滋 ロシアNIS貿易会会長/川崎重工業(株)代表取締役会長
      • 飯島 彰己 三井物産代表取締役会長
      • 石毛 博行 ジェトロ理事長
    • ロシア側パネリスト:
      • レピク露日ビジネスカウンシル議長、実業ロシア会長
      • ショーヒン ロシア産業家企業家連盟会長
      • ヴィクトル・ヴェクセリベルク スコルコヴォ基金総裁
      • ヴィクトル・ドミトリエフ ロシア医薬品製造者協会会長
  • 主催者閉会挨拶
    • 日本側:
      • 村山 滋 ロシアNIS貿易会会長
    • ロシア側:
      • アレクサンドル・ショーヒン ロシア産業家企業家連盟会長