史上最大規模のパビリオンで「CeBIT 2017」に参加

2017年3月

3月20日~24日、ドイツ・ハノーバーで開催された国際情報通信技術分野における世界最大級見本市「CeBIT 2017」において、パートナー国に選出された日本は、7,200平米という史上最大規模の巨大ジャパン・パビリオンをジェトロ主催によって設営しました。同見本市は、開会式やVIP巡覧に安倍総理やメルケル首相、および日独両国の閣僚クラスが参加するなど、ハイレベルでの開催となりました。また同見本市の会期前日には、第4次産業革命に関する日独協力を定めた「IoT・インダストリー4.0協力に関する共同声明」(2016年4月署名)の進捗が確認されるとともに、今後の協力を深化させる「ハノーバー宣言」に両国閣僚が署名しました。会期初日の日独首相らの視察(Walk About)直後に開催されたジャパン・サミットでは、IoTにおける両国企業の具体的な取組み事例が紹介されたほか、日本政府が提唱する「Society5.0」の実現に向けた技術的課題や社会的課題への対応、国境を越えた情報の自由な流通の促進などについて、議論が展開されました。日欧企業を中心に720名以上の参加者が真剣に耳を傾けたサミット会場は、熱気に包まれました。

パートナー国史上最大規模となったジャパン・パビリオン

2016年5月に開催された日独首脳会談において、日本が初めてパートナー国としてCeBITに参加することが決定されました。例年、3,000社・機関が出展し、20万人もの来場者を誇るCeBITでは、IoT、ビッグデータ、AI、ロボット等の先端技術を活用したB to Bソリューションなどがテーマとなります。ホール4と12の2ホールにまたがる形で設営されたジャパン・パビリオンには、日本企業の前年出展実績の11社を大きく超える118企業・団体(中小企業50社を含む)が出展し、うち9割が初出展でした。パビリオンのコンセプトは、”Create a New World with Japan ‐Society5.0, Another Perspective‐”。日本政府が掲げる科学技術計画のキャッチフレーズ「Society5.0」は、人類がこれまで歩んできた「狩猟」「農耕」「工業」「情報」を基盤とする社会に次ぐ「第5の新たな社会(Society)」を、イノベーションによって生み出そうという試みを表しています。パビリオンのカテゴリーは、”Life/Office/Society”(社会生活の中での応用・活用が期待されるシステムやサービスを集めたゾーン)、”Infrastructure/Factory”(スマートファクトリーを中心としたソリューションやサービスのゾーン)、”Element”(両ゾーンにまたがるデバイスや技術を集めたゾーン)、の3つに分けて構成されました。

会期前日の開会式(Welcome Night)では、安倍総理が「ものづくりに長けていながらも資源に乏しく、国土が狭い日独両国が、ものが繋がり技術が融合することでイノベーションが生まれ、そのイノベーションが社会的課題を解決して持続可能な社会を可能とする『Society5.0』のビジョンを共に描いていこう」と提唱しました。またメルケル首相は、「企業の規模を問わず多数のプレイヤーが活躍できるデジタル化社会の実現に向けて日本と共に取組み、新技術の規制策定などでも協力していきたい」と発言しました。会期初日には、ジェトロの石毛理事長の先導により、日独首相らがジャパン・パビリオンの出展企業6社を視察(Walk About)しました。首脳・閣僚クラスのジャパン・パビリオン訪問に同パビリオンは大いに沸き、多くのメディアにもこの様子を取り上げられました。会期の5日間で8,000を超える商談がジャパン・パビリオンで行われ、うち650件で成約が見込まれています。

安倍総理によるジャパン・パビリオンでのオープニングスピーチ

両国首脳のパビリオン視察

日独連携によるIoT推進をアピール

ジャパン・サミットでは、政府代表、IoTを推進する業界団体、日独連携事例をもつ先端技術企業や同分野の第一人者などが、それぞれの立場から「Society5.0」の実現に向けたメッセージを発信しました。それらに共通する認識として、IoTの推進にあたっては技術イノベーションに加え、国際的な標準化、エンドユーザーの理解、サイバー・セキュリティー対策が必要であり、そのために国際社会の協力やリスクに立ち向かう中小企業、スタートアップ企業などにかかる期待が高いことが示されました。

日独両国の大臣によって署名された「ハノーバー宣言」でも、サイバー・セキュリティー関連の国際標準化、民間業界団体間の協力推進、中小企業支援や研究開発などにおける両国間の協力が謳われています。同宣言の下、「Society5.0」に向けた両国の様々なステークホルダーが、今後活躍することが期待されています。

ジャパン・サミットのパネルディスカッション