マレーシアビジネスフォーラム兼日本マレーシア経済協議会第36回合同会議を開催 -マハティール首相自らが投資を呼びかけ-

2018年11月

ジェトロ、日本マレーシア経済協議会(JAMECA)、マレーシア日本経済協議会(MAJECA)は11月6日(火曜)、マレーシアのマハティール首相訪日の機会を捉え、同首相をお招きし、「マレーシアビジネスフォーラム兼日本マレーシア経済協議会第36回合同会議」を開催しました。

本フォーラムは、JAMECAおよびMAJECAが毎年行う合同会議と併催され、「デジタル経済下での両国の新たな協力関係構築」というテーマで開催されました。フォーラムには、両協議会の委員企業やマレーシアビジネスに関心のある日本企業など約700人が参加しました。マレーシア側からはマハティール首相をはじめ、ダトッ・ヤスミン・マフムード マレーシアデジタル経済公社(MDEC)最高経営責任者、タン・スリ・アズマン・ハシム MAJECA会長などが登壇しました。

ジェトロの石毛理事長は、昨年、外交関係樹立60周年を迎えた日本・マレーシア両国の関係を「ともに地域の繫栄を担い続けてきた最良のパートナー」と称える一方、日本企業のビジネス展開先としてのマレーシアの優位性が近年、相対的に低下しているとの問題意識を示しました。そのうえで、両国政府に対し、(1)技術革新・イノベーションを促す具体的な施策の導入、(2)周辺国と差別化できる明確な高度人材育成戦略の推進を求めました。

特別セッションに登壇したマハティ―ル首相は、前政権下で悪化した財政の立て直しや、行政システムの腐敗に取り組み、法の支配に基づくビジネスフレンドリーな制度を構築すると繰り返し強調しました。とりわけハイテク分野、製造業高度化に資する分野への日本からの投資と、同分野の人材育成に強い期待を示しました。首相は、「常に日本の労働倫理を学ぶことを重要視してきた」とし、「マレーシア人が日本の現場で、日本人と共に仕事をする機会を増やしたい」と述べました。

また、パネルディスカッションでは、ジェトロの佐藤理事がモデレーターを務め、「デジタル・イノベーション・エコシステム構築にむけた両国の協力の方向性」について議論しました。両国の相互補完的なイノベーションの創出には、(1)民間主導のファンド拡充、(2)優秀な人材をマレーシア内に留める施策、(3)マレーシアのスタートアップとのマッチング機会創出、(4)テック分野における人材開発の推進、などが重要課題との指摘がありました。

マレーシアでは、10月18日には11次5カ年計画の中間見直し、10月31日にインダストリー4.0に向けた国家政策、さらには11月2日に2019年度国家予算と、新政権の政策運営の方向性を示す重要な指針が相次いで発表されています。今回のセミナーは、上記国家政策の発表と相まって、新政権の方針を首相から直接聞くことができる非常に時宜を得たものとなりました。

また、マハティール首相と石毛理事長は会談を行い、マレーシアの産業高度化には、中小企業人材の底上げが不可欠であるとの認識を共有しました。首相は、デジタル技術を用いて製造現場を繋ぐ人材の創出、ならびにそのための基盤整備が喫緊の課題であるとして、インターンシップを含めたジェトロからの産業人材育成支援の提案を歓迎しました。 ジェトロとしましては引き続き、今回のように政府要人が来日する機会を捉え、各国・地域と双方向のビジネス促進を通じ、一層の経済関係の強化に努めてまいります。

ジェトロ石毛理事長による挨拶

マハティール首相による特別講演

フォトセッションの様子