ASEAN地域の最適立地を考える ‐一体化が進む中でのポイント‐

2018年05月17日

経済成長が続き、日本企業の進出が進むASEAN地域。今年、域内の関税が撤廃された。国をまたいだ「経済回廊」などの物流インフラも整備されてきており、国単位ではなく、ASEANワイドでどこに立地するのが最適かを考える重要性が増している。また、企業にとっては、人件費の上昇も立地を選定、あるいは見直す大きな動機になっている。一方、進出先の検討に当たっては、各地のプロジェクトや産業政策も重要な要素となる。例えば、企業がシンガポールから隣接するマレーシアの開発地域に機能を移転するといった動きもみられる。一体化が進むASEAN地域における最適立地について、改めて考える。

(10分40秒)

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テキスト解説:視覚障害のある方のための文字おこしテキストです。

映像説明: ジェトログローバルアイオープニングタイトル。 薄い青を基調としたコンピューターグラフィックスの背景画。 世界地図から飛び出した、中が空洞になった地球儀が、 回転しながら拡大表示される。 さらに世界のさまざまな都市の画像が周囲を取り巻きタイトルが現れる。 「世界は今ジェトログローバルアイ」

映像説明: スタジオ。 ベージュのジャケットを着た女性キャスターが座っている。

テロップ: 宮瀬 茉祐子(みやせ まゆこ)

宮瀬キャスター: 世界は今、ジェトログローバルアイ。 日本企業の進出が続くアジア。近年、製品を1つ作るだけでも、より安く、より効率的な生産工程が国をまたいで作られています。このような生産ネットワークは、今後どのように変化していくのでしょうか。今回は、ASEANにおける日系企業の立地を考えるうえでのポイントや、「新しい動き」をご紹介します。

タイトル: ASEAN地域の最適立地を考える ‐一体化が進む中でのポイント‐

映像説明: 宮瀬キャスターの隣に、黒いスーツを着て、眼鏡をかけた男性が座っている。

宮瀬キャスター: スタジオには、ジェトロ、アジア大洋州課の小林さんに来ていただきました。 よろしくお願いします。

映像説明: 小林がお辞儀する。 宮瀬キャスターが話を続ける。 テロップ: ジェトロ アジア大洋州課 課長 小林 寛

小林(ジェトロ アジア大洋州課 課長): よろしくお願いいたします。

宮瀬キャスター: 今回のテーマはASEAN諸国の「最適立地を考える」、つまりベストな進出先を考えるということなんですが。

小林(ジェトロ アジア大洋州課 課長): ASEANは10ヵ国で構成されていますが、各国の状況はさまざまです。

映像説明: 国別に色分けされたASEAN諸国の地図。 各国から線が伸び、その先に国名(くにめい)が順番に表示されていく。 ラオス、ミャンマー、タイ、マレーシア、シンガポール、ベトナム、カンボジア、ブルネイ、フィリピン、インドネシア。 小林が説明をする。

テロップ: ASEAN地域の最適立地

小林(ジェトロ アジア大洋州課 課長): シンガポールのように、一人当たりのGDPが日本を上回る国もありますけれども、カンボジアのように1,000ドル台の国もあります。また、人口がインドネシアのように2億人を超える国もありますし、ブルネイのように40万人の国もあります

映像説明: 宮瀬キャスターが小林に問いかける。

宮瀬キャスター: 小林さんは日系企業の進出先としては、どこが一番適していると思っていますか?

映像説明: 小林が解説を始める。

小林(ジェトロ アジア大洋州課 課長): どこが一番かと聞かれると、正直難しいですね。

映像説明: シンガポールの都心部。大きな川の向こうにそびえたつ高層ビル群。 港湾地区では、たくさんのクレーンが立ち並び、脇を2両編成のモノレールが走っていく。 別の国。 護岸整備されていない川を、物資や人を乗せた木の小舟が行き来している。 小林が話す。

小林(ジェトロ アジア大洋州課 課長): 以前は、外資系に対して門戸を広く開いている国や、そうでない国があったり、インフラ開発が整っている国や、そうでない国もありました。最近では格差も縮まっており、状況が異なってきています。

宮瀬キャスター: なるほど。もともとは日本企業の投資に傾向のようなものがあったということですね。

映像説明: 画面に「日本商工会(にほんしょうこうかい)の登録企業数」と題されたグラフ。 2013年から2017年までの推移を示している。 縦軸に企業数、横軸に年。 積み上げ棒グラフは、黄色(きいろ)でシンガポール、灰色でベトナム、橙色でタイ、青色でその他を示す。 2013年で6,000社弱だった登録企業数は、2017年に7,130社になった。 ベトナムとタイ、シンガポールの3ヵ国が全体の半分以上を占める。 出所:ASEAN各国の日本(にほん)商工会

ナレーション: 今や日本企業はASEAN諸国すべてに進出しており、現地の日本(にほん)商工会会員企業は7,000社を超えている。会員企業以外も含めると、実際の数字はその数倍といわれている。

映像説明: 横一列に並んで風にたなびくASEAN10ヵ国の国旗。 たくさんの車とバイクであふれる幹線道路。 別の道路もバイクや三輪タクシーが多く走り、渋滞している。 縫製工場で靴下を作る女性たち。 体育館のような大きな工場では、女性たちがずらりと作業台に向かい、手を動かしている。

テロップ: 1980年代後半~(から)1990年代前半 ASEAN向け投資が増加

ナレーション: 日本企業のASEAN進出が本格化したのは1980年代の後半で、円高を背景に製造業が「安くて豊富な労働力」を求めて展開した。

映像説明: スモッグでかすむ都市部の空。 高層ビルと低層ビルが入り交じる市街地を貫く大通りを、多くの乗用車が行き交う。 ビル群に囲まれたロータリーの中央に、ミラーボールのような巨大モニュメント。

テロップ: 1990年代後半~(から)2000年代前半 中国向け投資が増加

ナレーション: その後、アジア通貨危機や中国のWTOへの加盟もあり、企業の進出は中国にシフトしていった。

映像説明: スタジオの小林と宮瀬キャスター。

テロップ: 2010年~ 再びASEAN向け投資が増加

小林(ジェトロ アジア大洋州課 課長): さらに中国で人件費が高騰してくると、再びASEANに投資が向かいました。 日本企業の投資は常に投資先を変化させているといえます。

宮瀬キャスター: 最近ではどのような変化があるのでしょうか?

テロップ: ASEAN地域の最近の変化

テロップ: 従業員の賃金上昇

小林(ジェトロ アジア大洋州課 課長): はい。いくつかのポイントをお話ししたいと思います。ジェトロでは毎年、進出している日系企業を対象にアンケート調査をしています。最新の調査では、多くの企業が課題と指摘するのが従業員の賃金上昇です。

映像説明: 画面に「賃金の上昇を課題とする企業の割合(%)」と題したグラフ。 ASEAN全体と各国別に割合を示している。縦軸に国名、横軸に割合。 カンボジア:82.8%、インドネシア:80.8%、ベトナム:75.2%、マレーシア:68.1%、タイ:63.0%、ミャンマー:59.3%、シンガポール:56.2%、フィリピン:45.8%、ラオス:44.4%、ASEAN平均:68.5%。ASEANの棒グラフが68.5%を示す。 出所:ジェトロ アジア・オセアニア進出日系企業活動実態調査(2017年度)

小林(ジェトロ アジア大洋州課 課長): 品質管理や部品調達などよりも大きな課題と考えて7割もの企業が問題視しています。

映像説明: スタジオの宮瀬キャスターと小林。

宮瀬キャスター: 賃金の上昇なんですが、上昇率が高いのは、どこの国(くに)なんでしょうか?

小林(ジェトロ アジア大洋州課 課長): はい。経済成長に伴い、ASEAN全体で上昇傾向にあるといえます。

テロップ: ASEAN地域全体で賃金上昇

映像説明: 広い室内に水色の作業着を着た従業員たち。 長いチューブが何本も付いた機械の前に立ち、作業している。 別の工場。 女性たちが作業台に向かい、ピンク色の手袋を製造する。 細い棒で指先部分の形を整える女性や、ミシンで縫製する女性もいる。

テロップ: カンボジアの最低賃金 2013年 80ドル→2018年 170ドル

小林(ジェトロ アジア大洋州課 課長): 例えばカンボジアです。カンボジアに進出した企業は、安い人件費をメリットとして考えていました。ところが、カンボジアの最低賃金は5年前に比べると2倍になっていることがわかります。今やベトナムと変わらなくなっています。

映像説明: スタジオの宮瀬キャスター。

宮瀬キャスター: 一昔前まではASEANといえば、「安くて豊富な労働力」というイメージでしたが、今ではそうともいえない時代になってきているということですね。

小林(ジェトロ アジア大洋州課 課長): はい。

宮瀬キャスター: ほかにはどのような変化が起きているんでしょうか?

テロップ: ASEAN経済共同体発足の影響

小林(ジェトロ アジア大洋州課 課長): はい、大きな変化の一つがASEAN経済共同体です。 今年で、ほぼすべての品目の関税が撤廃されました。

テロップ: ASEAN域内では関税を払うことなく取引が可能

小林(ジェトロ アジア大洋州課 課長): ASEAN内(ない)では関税を払うことなくビジネスが行われるようになってきました。

テロップ: 物流のネットワーク

小林(ジェトロ アジア大洋州課 課長): もう一つの変化が物流のネットワークです。 こちらの地図をご覧ください。

映像説明: 画面にインドシナ半島の地図のイラスト。 半島を横切るように黄色(きいろ)と赤色、2本の線が引かれる。 黄色い線はインドシナ半島中部を東西に貫く「東西経済回廊」の線。 赤色の線は半島南部に伸びる「南部経済回廊」の線。

小林(ジェトロ アジア大洋州課 課長): インドシナ半島を横断しているのが、いわゆる「経済回廊」。 いくつもの国を網羅していることがわかります。

映像説明: 宮瀬キャスターが、小林に問いかける。

宮瀬キャスター: なるほど。物流を支える幹線道路ができているということなんですね。

映像説明: 画面にASEAN諸国の地図のイラスト。 各国の港に次々といかりのマークが付いていく。

テロップ: 国境をまたいだサプライチェーンを構築

小林(ジェトロ アジア大洋州課 課長): はい、陸だけではありません。 ASEANでは海上輸送においても、港の整備が進んでいます。 これにより、進出企業は国境をまたいだサプライチェーンを構築できるようになってきました。

テロップ: それぞれの国の中でどこに立地するかを 考えることが重要

映像説明: スタジオの小林。

小林(ジェトロ アジア大洋州課 課長): 例えば、「タイ・プラスワン」という言葉があります。その「プラスワン」の国の中でも、どこに立地するかを考えることが大切になってきています。

宮瀬キャスター: 国に縛られない時代に入ってきたということなんですね。

映像説明: 宮瀬キャスターの説明に、小林がうなずく。

映像説明: 四角い枠内に地図のイラスト。 インドシナ半島の中心からやや西寄りに位置するポイペト。 大きな川にかかる2本の橋を車が往来する。 川向こうの市街地には中層の建物群が広がる。 寺院の建つ大通りを、車とバイクが休みなく行き交う。(映像提供:豊田通商)

ナレーション: カンボジアにポイぺトという街がある。

映像説明: 近代的な茶色い高層ビル。 入り口横の石造りの壁面に豊田通商のロゴと社名が掲げられている。

テロップ: 豊田通商

ナレーション: タイとの国境に近く、そこに作られた工業団地でレンタル工場を運営する豊田通商の取り組みを取材した。

映像説明: 室内にスーツ姿の男性2人が並んで座っている。 南部経済回廊上(じょう)にあるポイペトの位置を示した地図のイラスト。 眼鏡をかけた男性が話す。

テロップ: 豊田通商 営業開発部 テクノパーク事業室 荒木 博史(あらき ひろし) 課長職

荒木課長職: ポイペトという場所がですね、プノンペンからホーチミンに抜ける南部経済回廊の要衝だったということとですね、比較的タイ側の道からポイペトまで、かなり整備されています。

映像説明: 髪の短い、もう1人の男性が話す。

テロップ: 豊田通商 営業開発部 テクノパーク事業室 舩野 博之(ふねの ひろゆき) 室長

舩野室長(ふねのしつちょう): (タイとの)国境からは8キロ離れたところにあります。

映像説明: 平原に整備された工業団地。 広い敷地に倉庫のような平屋建ての大きな建物がある。 ロゴマークの色と同じ、青色の屋根。 正面ゲートには現地語と英語で「テクノパークポイペト、豊田通商」と書かれた看板。 白い文字で英語の社名が入った青色のパラソルやのぼりの奥に、白と青色で統一された建物。 荷さばき所に屋根がせり出す。 青字で「EXEDY(エクセディ)」の看板。 テクノパーク事業を紹介したパネルには、「Be the Right ONE」のキャッチコピーと人々の手が地球を支えるマークが添えられている。(映像提供:豊田通商) 舩野室長が話す。

舩野室長(ふねのしつちょう): これは、国境から20キロ圏内は、タイからのトラックが、そのまま入れる(はいれる)ということで、我々(われわれ)はその圏内の8キロのところにテクノパークを設置しています。

映像説明: 上空から見たテクノパークを背景に、インドシナ半島の地図。 半島南部を東西に結ぶ「南部経済回廊」。 その線上に都市名が表示される。 東側からホーチミン、プノンペン、ポイペト、バンコク。 その先は破線でダウェイへとつながっている。 バンコクを中心とした同心円の破線が示され、230キロ圏にポイペトとダウェイ、540キロ圏付近にはプノンペンがある。 通りを走る大型トラック。 バイクに乗った人々が、大きな建物に挟まれた通りを走っていく。 大型トラックがスピードを落として街なかを進む。 通りにそびえる巨大な門。 プレートに英語とカンボジア語で「カンボジア王国」と書かれ、寺院をかたどった装飾が施されている。(映像提供:豊田通商)

映像説明: 説明をする荒木課長職と舩野室長(ふねのしつちょう)。

荒木課長職: タイのお客様は工業団地が東側に位置していて、ちょうどポイぺトをつなぐ動線の上にはですね、いろんな工業団地があって、かつ、われわれがターゲットとするようなお客様がたくさん、ここにもいるというのが、一つ大きな理由になっていると。

映像説明: 四角い枠内に地図のイラスト。 インドシナ半島の中心から東寄りに位置するパクセー。 街路樹の続くまっすぐな道を、バイクと車がせわしなく行き交う。 緑豊かな街に朱色の屋根の建物が並んでいる。 オフィスの受付。 奥の壁面に掲げられた「西松建設株式会社」の文字とロゴマークのプレート。

テロップ: 西松建設

ナレーション: 一方、タイ・プラスワンとして、安価な人件費と豊富な労働力の魅力をラオスに見出したのが西松建設だ。

映像説明: パクセーの位置を示した地図のイラスト。 黒いスーツを着た男性が話す。 市内をとらえた映像。 街に朱色の屋根が点在し、隙間を埋めるように木々(きぎ)が茂っている。 さまざまな果物が山盛りに陳列された市場(いちば)。 黒いスーツを着た男性が話す。 大きな橋を何台ものバイクが走る。 子連れの女性たちが、服や生地の並ぶ市場(いちば)を見て回る。 黒いスーツを着た男性が話す。

テロップ: 西松建設 国際事業本部 事業計画課 西岡 康夫 副課長

西岡副課長: 南部の第三の都市といわれているパクセー。これまで観光もしくは農業といった業態しかなかったこともありまして、多くの方々が出稼ぎにビエンチャンやタイのほうに行ってました。現地では働きたいという希望を持っている若い方々は非常に多いことがわかりましたので、ラオスのパクセーのほうに進出させていただくことになりました。

映像説明: 川沿いに広がる街並み。 奥にはなだらかな山がある。 ゲートを通過するトラック。 未開発地域を幹線道路が貫き、脇には工業団地の完成予想パネルが立っている。 幹線道路にぶつかるように、未舗装の道路が延びている。 西岡副課長が話す。

西岡副課長: 今、操業されている方(かた)、タイ・プラスワンで出られている方(かた)、もしくは日本に製品をお持ちになる方(かた)は、基本的にはタイのレムチャバン港(こう)まで製品をお持ちになります。これがトラックで12時間前後かかることにはなっております。ただですね、その分、まだまだ人件費という面で考えましても、タイの3分の1という値段ですし、ここで操業していただくメリットを感じてもらえるのではないかと思っております。

映像説明: スタジオの小林と宮瀬キャスター。

小林(ジェトロ アジア大洋州課 課長): ご覧いただいたように、工業団地なども国境をまたいだ発想で作られる時代になってきました。ですので、メーカーもビジネスに合った最適な場所を選ぶようになってきました。

宮瀬キャスター: なるほど。進出先を考えるうえで、企業がどのように考え動いているのかがわかりました。ところで各国の政策はどのようになっているんでしょうか?

テロップ: 各国の政策・プロジェクト

小林(ジェトロ アジア大洋州課 課長): はい。それぞれの国の産業戦略や開発プロジェクトというのも大切なポイントです。 中でも印象的な例が2つあります。

映像説明: 工場の作業場。 淡いピンク色の作業着に衛生帽子をかぶった女性従業員たちがてきぱきと流れ作業をこなす。

テロップ: フィリピンは自動車産業の育成に力を入れている

小林(ジェトロ アジア大洋州課 課長): 一つはフィリピンです。今、自動車産業(さんぎょう)の育成に力を入れています。

映像説明: スタジオの小林と宮瀬キャスター。

宮瀬キャスター: ASEANで自動車産業(さんぎょう)というと、タイとかインドネシアといったイメージがありますが。

小林(ジェトロ アジア大洋州課 課長): はい。そのとおりです。地域統合が進んだことで、タイとインドネシアに二極化が進みました。それでもフィリピンが自動車産業(さんぎょう)の育成を進めようというのには訳があります。

映像説明: 街なかに多くの人々。 カップルや若い女性のグループが笑顔で歩く。 子供を抱いた女性もいる。 工場で大勢の女性たちが立ち仕事をする。

テロップ: フィリピンの人口 約1億98万人 出所:フィリピン統計庁

小林(ジェトロ アジア大洋州課 課長): 一つは人口が1億人を超えて多いことです。出生率も高いので、さらに増えています。政府としても雇用の受け皿を用意する必要があるのです。

映像説明: 小林が宮瀬キャスターに解説をする。

小林(ジェトロ アジア大洋州課 課長): そこで注目したのが、すそ野の広い自動車関連産業(さんぎょう)です。

宮瀬キャスター: なるほど。ASEANへの進出を検討している自動車関連の企業にとっても、フィリピンも候補になるということなんですね。

テロップ: マレーシアは2020年までに先進国入りを目指す

小林(ジェトロ アジア大洋州課 課長): はい。もう一つの例がマレーシアです。マレーシアは2020年までに先進国入りを目指しています。そのため、産業の高度化を進める必要があります。

映像説明: 画面いっぱいにASEAN諸国の地図。 マレーシアとシンガポールの国境付近が拡大表示される。 海峡を挟んで北にマレーシア、南にシンガポール。 マレーシア側の国境付近が赤く囲まれ、「開発地区」と表示される。

小林(ジェトロ アジア大洋州課 課長): そこでマレーシアが力を入れているのが、シンガポールの対岸で進められている壮大な開発計画です。面積はシンガポールの3倍もあります。

宮瀬キャスター: その狙いというのは、なんなのでしょうか?

映像説明: 小林が宮瀬キャスターに解説をする。

テロップ: シンガポールからの機能移転

小林(ジェトロ アジア大洋州課 課長): シンガポールからの機能移転です。既に欧米企業やシンガポール企業が生産工程を移している例がみられます。

テロップ: 国をまたいだ技術者の往来が容易

小林(ジェトロ アジア大洋州課 課長): 距離的にも近いので、新しい工場と研究開発拠点とのあいだで技術者の往来ができるというメリットもあります。

宮瀬キャスター: コスト的にはどうなんでしょうか?

小林(ジェトロ アジア大洋州課 課長): シンガポールには大規模工場の用地はもう残っていませんので、単純に工業用地のコスト比較というのは難しいです。

映像説明: 整備された緑地に建設中の高層ビル群。 モダンなオフィスビルの隣で、新たな建設工事が進む。

テロップ: シンガポールの1/7(ななぶんのいち)で入居可能

小林(ジェトロ アジア大洋州課 課長): ただ、例えば新築のオフィスであるならば、シンガポールの約7分の1で入居できるといわれています。

映像説明: 湾内を往来する複数の貨物船。 奥にはいくつもの煙突がそびえる。 小林が話す。

小林(ジェトロ アジア大洋州課 課長): さらに港の開発も進んでいます。

映像説明: マレーシア・シンガポール国境付近の拡大地図。 タンジュン・ペラパス港は、マレーシアの南端、シンガポール西側の対岸に位置する。 地図に、コンテナが積み上がった港湾地区のイメージ写真が重なる。

小林(ジェトロ アジア大洋州課 課長): シンガポールの対岸にある、マレーシアのタンジュン・ペラパスという港では、積み荷の上げ下ろしにかかる費用が約半分で済むといわれています。

テロップ: 積み荷の上げ下ろしにかかる費用は約半分

映像説明: 宮瀬キャスターが小林に問いかける。

宮瀬キャスター: シンガポールにライバル登場ということなんですね。

小林(ジェトロ アジア大洋州課 課長): はい。倉庫料も含めると、タンジュン・ペラパスのほうが有利といわれています。ただし、現状ではサービスが早く、質も高く、船便の選択肢も多いシンガポールのほうを選ぶ企業が多いです。しかし今後は、「積み替えの早さが必要とされない物品などはマレーシア」と、使い分けが進むのではないでしょうか。

宮瀬キャスター: こうしてみてみると、企業にとってのベストな立地というのも変わってくるんですね。

テロップ: 各社事業 各国のビジネス環境→「より適した立地」

小林(ジェトロ アジア大洋州課 課長): はい。特に変化のスピードが速いASEANですから、企業はこうした現状を踏まえ、自社事業と各国のビジネス環境を照らし合わせて、「より適した立地」を検討する必要があります。

宮瀬キャスター: よくわかりました。小林さん、今日はどうもありがとうございました。

小林(ジェトロ アジア大洋州課 課長): どうもありがとうございました。

映像説明: 宮瀬キャスターと小林課長がお辞儀し、談笑する。

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