技能実習生の力を活かして海外へ ‐高知の建設会社がミャンマーに進出‐

2019年07月04日

高知市の防水加工等を手がけるある建設会社。社員数20人ほどの中小企業だが、2年前にミャンマーに進出した。ヤンゴンを中心に建設需要は旺盛で、日本のゼネコンも多く参画しているが、専門工事を行う日本企業の進出は限られており、そうしたニーズに応えるものだ。その現地法人を支えるのが日本で技術を学んだ外国人技能実習生のOB。彼らは現地スタッフを指導しつつ、工事を進める戦力となっている。日本で約33万人にまで拡大している技能実習生。彼らと信頼関係を築き、その力を活かして海外進出を図る企業の取り組みを追った。

(11分28秒)

テキスト解説を読む

テキスト解説:視覚障害のある方のための文字おこしテキストです。

映像説明: ジェトログローバルアイオープニングタイトル。 薄い青を基調としたコンピューターグラフィックスの背景画。 世界地図の上で回転する、中が空洞になった地球儀から、もうひとつ地球儀が飛び出す。 拡大表示された地球儀の横にタイトルが現れる。 「世界は今ジェトログローバルアイ」

映像説明: スタジオ。 地球儀と世界地図の画像をバックに、女性キャスターが入ってくる。白いブラウスに茶色のスカート姿。

テロップ: 八木 ひとみ(やぎ ひとみ)

八木(やぎ)キャスター: 世界は今ジェトログローバルアイ。 日本で技術を学び、母国の発展に役立てる、外国人技能実習制度ですが、一部で受け入れ環境をめぐる問題も報じられています。一方で、日本で技術を身に着けた技能実習生とともに海外ビジネスに挑む中小企業もあります。その取り組みを取材しました。

テロップ: 技能実習生の力を活かして海外へ ‐高知の建設会社がミャンマーに進出‐

映像説明: 船底が赤や黒に塗られた船が6そうほど停泊している波の穏やかな港。岸辺には、3階建ての切妻屋根の工場と、背の高いシルバーのタンクが建っている。うっそうと葉をつけた木々(きぎ)が緑の帯となって港を囲み、奥には巨大な鉄塔と、所々に背の高いビルが建つ市街地が広がっている。 画面左下の四角い枠内にミャンマーの地図。西のほうにインドがあり、北にタイ、南は太平洋と隣接している。ヤンゴンは、ミャンマー南部にある都市で、海に近い場所に位置していて赤い星印で示されている。

ナレーション: 発展が続くミャンマー最大の都市、ヤンゴン。

映像説明: 金網が張られた木製の小屋の前で、白いヘルメットに白い長袖のシャツを着て、腰に青い袋を提げた10人ほどの男性が作業をしている。左手の白い塀の脇に、L字の形に低い壁がついた小さな四角いスペースが2つ並んでいる。それぞれに1人ずつ、男性がしゃがみこみ、はけを使って床板(ゆかいた)部分を掃いている。白い塀の奥には縦長のベニヤ板が6枚ほど立てかけられており、5人の男性がしゃがんで、マスキングテープを貼るなどの作業をしている。 壁に立てかけられたベニヤ板の表面には、5~6(ご、ろく)cmほどの幅の細長い板が、2つの長方形を上下に並べた形に取り付けられている。細い板には青いマスキングテープが貼られ、中央に細い溝が彫られている。ヘルメットをかぶった男性がヘラを使って、細い溝の中にグレーのペーストを丁寧に塗りこんでいる。

ナレーション: その街の片隅で、慣れない手つきで建築作業を行う若者の姿が…。

映像説明: 低い壁がついた小さな四角いスペースの脇で、白いヘルメットをかぶり、口ひげを生やした男性が指を差しながら指示をしている。四角いスペースの中では、白い作業服を着て白いヘルメットをかぶった2人の男性が、灰色の柔らかいシートをひっくり返している。

口ひげの男性・ミャンマー語: ここから、もう少し切って。

映像説明: 低い壁がついた小さな四角いスペース。白い作業服を着て、白いヘルメットをかぶった2人の男性が、低い壁にグレーのシートを当てている。 白いシャツを着た男性が、白い塀に立てかけられたベニヤ板の前にしゃがみこんでいる。右手に細長いヘラ、左手に幅の広いヘラを持ち、青いマスキングテープを貼った5~6(ご、ろく)cmほどの幅の細い板に、グレーのペーストを塗りこんで、丁寧に目地を埋めていく。

テロップ: シーリング

ナレーション: 彼らが行なっているのは、建物の防水加工。シーリングと呼ばれ、溝や隙間を樹脂などで埋めていく。

映像説明: 白いシャツを着た男性が、白い塀に立てかけられたベニヤ板の前に立ち、腰をかがめながら、右手に細長いヘラ、左手に幅の広いヘラを持ち、青いマスキングテープを貼った5~6(ご、ろく)cmほどの幅の細い板に、グレーのペーストを塗りこんで、丁寧に目地を埋めていく。 黒ぶちの眼鏡にグレーのズボンをはいた男性が後ろから指を差し、話かけている。 黒ぶちの眼鏡をかけた男性が、後ろ手を組んで作業を見つめる。慎重にヘラを動かす白いシャツの男性の手に自分の手を添える。

テロップ: ハン・ネイン さん

ナレーション: やり方を教えているのが、リーダーを務める、ハン・ネインさん。去年まで、外国人技能実習生として日本に滞在していた。

映像説明: 金網が張られた木製の建物の前で、白いヘルメットをかぶり、黒ぶちの眼鏡をかけたハン・ネインさんがインタビューに答える。白いヘルメットには、左右が水色、中央が濃い青の3本の縦棒のマークがついている。白いシャツの胸元には、3本の縦棒のマークの横にアルファベットで「MKCS」と書かれたロゴが入っている。

ハン・ネインさん・日本語: 日本はね、あの、ミャンマーよりは、なんか、よりはすごいですね。なんか。 技術もあるし、あの、基礎もミャンマーよりは強いね。 ミャンマーは、まだまだ今は、発展するの国(くに)だから。

映像説明: 外の光が差し込む天井の高い広々とした建物の中で、背の高さほどのアルミ製のサッシの前に立つ、作業服姿のハン・ネインさんの写真。左右に青、中央に赤の3本の縦棒を並べたマークの下に「ハン ネイン」と書かれた白いヘルメットをかぶっている。ビニールシートの上に置かれたサッシの後ろには、白いヘルメット姿の男性が、手を後ろに組んで上のほうを見あげている。傍らには、口の広い缶と、プラスチックのボトル、大きな白い袋が置かれている。 シャッターのある建物の中でA4サイズほどの紙を持って並ぶ3人の男性の写真。男性たちは白っぽい作業ズボンに、白やグレー、黒のTシャツを着て立ち、両手で持っているA4サイズの紙には「基礎2級技能検定合格証」と書かれている。部屋の脇には白い大きなバケツや黄色(きいろ)と黒の縞のロープなどが置かれ、2つあるシャッターの1枚が開いており、外には白いバンが駐車されている。 屋外の舗装された駐車場で、薄いグレーのジャンパーに白いヘルメットを着けた2人の男性が作業をしている写真。1人は、黄色い箱型のボディーに「LINAX(ライナックス)」というロゴのある、銀色のハンドルとタイヤのついた床研削機を押している。床研削機の底には円形のカバーがついていて、機械の周りの地面は、円い跡のついた粉じんで覆われている。奥のほうでは、もう一人の男性が座り込んで作業をしている。

ナレーション: 技術を学び、ミャンマーに帰国。日本で積んだ経験を、母国で活かしたい。

映像説明: 屋上で作業をする3人の男性の写真。白い作業服を着て、工具の入った袋を腰に提げた2人の男性と、黒の作業服を着て、工具の入った袋を腰に提げた男性が、屋上の縁(ふち)の1段低い場所に設けられた、細長い雨どい(あまどい)に座り込み、表面(おもてめん)が白、裏面(うらめん)が黒い防水シートを敷いている。手前の男性の手元から延びたコードは、紫色の電源タップを伝って、赤と黒の小さな箱型のバッテリーにつながっている。 水色の壁の洋風の建物。レンガ造りの門のあいだには何もなく、開かれた状態になっている。門から続く白い壁の上にはコイル状に巻かれた鉄条網が設置されている。敷地内にある青いトタンの小屋の前には、ほろ付きの軽トラックが駐車されている。建物の入口の脇には白いベンチが置かれている。 レンガ造りの門柱につづく塀の上にはコイル状に巻かれた鉄条網が載せられている。レンガ造り門の後ろ側に収められた金属製のゲートには白い看板が取り付けられており、左右に水色、中央に青の3本の縦棒のマークの下に、青の文字で「MKCS」と書かれたロゴと、英語で「Myanmar Kochi Construction Service Co Ltd」(ミャンマー コウチ コンストラクション サービス カンパニー リミテッド)」と書かれ、その下に現地の言葉が記されている。

ナレーション: その思いにこたえ、彼らを受け入れてくれた建設会社が、ジェトロの事業などを活用し、ミャンマーに法人を設立。

映像説明: 事務所の中。中央にはノートパソコンや本などが置かれたこげ茶色(いろ)の大きなテーブルが置かれ、白い長袖のシャツに眼鏡姿の2人の男性が向かい合って座っている。奥には、白いポロシャツを着て、サイドを短く刈り上げた髪型の男性が座っており、後ろの壁には、ミャンマーとヤンゴンの大きな地図と桜の写真のあるカレンダーが貼られている。

ナレーション: そこで主要なスタッフとして一緒に働いている。

映像説明: サイドを短く刈り上げた髪型の男性がノートパソコンの画面を見ながら話をしている。 水色の建物の表。サイドを短く刈り上げた髪型の男性が、白い木製のベンチに座ってインタビューに答える。

テロップ: アーキテック 鎌倉 正典(かまくら まさのり) 社長

鎌倉社長: 一回3年預かって、その後じゃあ、ほっぽるっていう訳にもいかないので、 じゃあ、ま、こちらに進出して、これから先も一緒にやれたらおもしろいのじゃないかな…。

映像説明: うっそうと木々(きぎ)が生い茂る(おいしげる)山のふもとに、低層のトタンの建物が立ち並ぶ。中央には、開いた白い門と白い塀があり、突き当りに2階建ての建物が並んでいる。 白い塀には看板が掲げられ、左右に青、中央に赤の3本の縦棒が並ぶマークの右黒い文字で 「Architec(アーキテック)」、その下に「アーキテック株式会社」と書かれている。敷地の左側には切妻屋根の平屋の建物があり、屋根の下に白いトラックが駐車されている。奥には、2階建ての建物が2棟並んでいる。

テロップ: 高知市

テロップ: アーキテック

ナレーション: 彼らを受け入れた、高知県にある建設会社、アーキテック。

映像説明: 青空の下、グレーのビルの手前のスペースで、ヘルメットに白い作業服姿の3人の男性が鉄筋の 骨組みの上にグレーのネットをかぶせている。奥では、作業員の1人がオレンジ色(いろ)の脚立から降り、畳んで片付けている。

ナレーション: 社員数、22名。

映像説明: グレーのビルの横のスペース。ビルの壁には、赤い円の中に白い文字で「確実」、青い円の中に白い文字で「安心」、オレンジの文字で「のアフター…」と書かれている。 天井部分にネットが掛かった鉄筋の骨組みの横で、3人の男性たちが1本の長いホースを持って後ろ向きに歩いている。先頭の灰色の長袖シャツを着た男性が、先端のノズルから、コンクリートの地面にグレーの液体をまいている。

ナレーション: 建築や防水工事を手掛ける専門業者だ。

映像説明: 鉄骨の足場と黄色(きいろ)と黒の縞のロープで囲まれたビルの屋上。周囲には外側に向かって高くなる2段の段差が設けられている。段差の直角になっている部分には、青いマスキングテープが貼られている。作業服姿の男性が、紫の細長い円筒形(えんとうけい)のボディーに、先端に細いノズルがついたグルーガンのような道具を持って、溝の中に白い液体を充てんしている。傍らには、青い円筒形(えんとうけい)のグルーガンのような道具を持った男性が、白い液体とヘラの入った丸い缶をのぞき込んでいる。

ナレーション: 屋上にシートを張り、隙間をシーリングして雨漏りを防ぐ。

映像説明: グレーのビルの横のスペース。ビルの壁には、赤い円の中に白い文字で「確実」、青い円の中に白い文字で「安心」などと書かれている。あちこちにインクなどの染みがついた白い作業服姿の6人の男性たちが、コンクリートの地面に、柄の長いローラーを使って緑の液体を塗り広げる作業をしている。ローラーを持つ作業者たちの足元には、金属製の四角い缶が置かれている。

ナレーション: しかし、高知でも人手不足(ぶそく)。現場で働く人が集まらない。

映像説明: 一斗缶やダンボール箱などの資材が置かれた建物の外。水色のシャツの上に、胸元に「アーキテック」と書かれた白いジャンパーを着た男性がスマートフォンを指で差しながら話をしている。右隣に立つ白いジャンパー姿の男性が画面をのぞいて笑顔を見せる。 資材が置かれた建物の前で、青いシャツの上に白いジャンパーを着た男性がインタビューに答える。

映像説明: そう嘆くのが、実習生の世話役を務める湯浅さん。

テロップ: アーキテック 湯浅 健二 主任

湯浅主任: (日本人は)来ませんね。 あの、新卒者と、まあ、一期生(ミャンマー人)と同じぐらいに来たんですけど、 新卒者、そのまま辞めて、つらいとか、なんか言いながら。

映像説明: シャッターが開けられ、外の光が差し込む建物の中。棚に置かれたダンボール箱や重機を背に、水色のシャツの上に白いジャケットを着た湯浅主任と、細い縦縞のYシャツを着て、サイドを短く刈り上げた髪型の鎌倉社長が並んで立ち、うなずきながら話をしている。

ナレーション: ミャンマー人に決めたのは、その人柄に共感を覚えたからだと社長は話す。

映像説明: ヤンゴンの水色の建物の外。白い木製のベンチに座って鎌倉社長がインタビューに答える。 鍋や大皿が並ぶ細長いテーブルに座った3人の実習生の写真。左手の眼鏡の男性はグレーのパーカーを着ており、中央には紺色の袖のついたグレーのパーカーを着た前髪の長い男性が笑顔を見せている。右端には、濃いグレーのトレーナーを着た坊主頭の男性が座っている。奥の席には子連れの家族が鍋を囲んでいる。 資材が置かれた建物の中で、腰に青いベルトを巻き、胸元に「アーキテック」と書かれたグレーの作業服を着て、ヘルメットをかぶった3人の実習生の写真。左手で笑顔を見せる男性のヘルメットには、「アウン サン オウ」と書かれたシールが貼られている。中央で直立し、真っすぐに前を見る男性のヘルメットには、「ハン ネイン」のシールが、右手の眼鏡をかけた男性のヘルメットには、「ナイ リン オウ」と書かれたシールが貼られている。

鎌倉社長: ミャンマーの人材を受け入れませんか、っていうセミナーの案内をいただきまして。 ま、その時は、あんまり人を入れるつもりもなかったんですけど、 意外と、しゃべってみるとおもしろいし、活気もあるし、熱意もあるし。

映像説明: 作業服姿の男性が2人、シャッターの降りたトタンの建物や、トラックが何台も並ぶ駐車場の脇を通って、雨に濡れた道路を自転車で走ってくる。

ナレーション: 朝の7時、実習生が近くの寮から出勤してきた。

映像説明: 青いキャップの後ろ前を逆にかぶった男性が笑顔で挨拶し、自転車から下りる。前かご(まえかご)に黄色いかばんを入れた自転車を押しながら、アーキテックの門の中へと歩いていく。

青いキャップをかぶった男性: おはようございまーす。

映像説明: 白い軽トラックや軽バン、乗用車などが置かれた敷地内の駐車場。奥にある平屋の倉庫は、シャッターが1枚開けられている。青いキャップをかぶった実習生が両手に小型のLPガス容器を下げ、手前の建物に向かって足早に歩いていく。ジャンパーの前を開けて着ている実習生が、小型のLPガス容器を片手に後ろに続く。

ナレーション: 去年、一期生が卒業。今は二期生から四期生まで、7名が実習生として学んでいる。

映像説明: 建物の外。使用済みの一斗缶が積まれた脇に、白い軽バンが駐車され、バックドアが開かれている。白いポリバケツやさまざまな工具が積まれた荷台の中を、作業服姿のグレーヘアの男性と、開いたままの黒い傘を手に持った男性がのぞき込んでいる。

ナレーション: この日はあいにくの雨。

映像説明: 資材が置かれた建物の中。ロッカーの前に立てかけられた長方形の大きな茶色い板に、幅2cmほどの溝が縦横(たてよこ)に何本も彫られ、溝に沿って青いマスキングテープが貼られている。白い作業服姿の実習生が、溝を埋めるように載せられた白いクリーム状のシーリング材を、細いヘラを使って丁寧にならしていく。 別の実習生がグルーガンのような道具を使って、ぎこちない手つきで隣の溝にシーリング材を充てんしていく。先ほど細いヘラで溝を埋めていた実習生が横に立ち、身振りを交えて指導している。奥では、ジャンパーの前を開けて着ている実習生が、真剣な表情でその様子を見つめている。

映像説明: 作業現場に出られない。会社で技術研修だ。先輩が後輩の面倒をみる。

映像説明: 資材が置かれた建物の中で、白い作業服を着て、眼鏡をかけ、短髪のグレーヘアの男性が、ジャンパーの前を開けて着ている実習生とにこやかに話をしている。

テロップ: 西森さん

ナレーション: そんな彼らを見守るベテランの職人。

映像説明: 資材などが置かれた建物の中。グレーヘアの西森さんが腕組みをして、一旦右手で横を指差しながらインタビューに答える。 資材が置かれた建物の中。タイルが貼られた板の前に座り、実習生が真剣な表情でマスキングテープをさわっている。 資材が置かれた建物の中で、西森さんがうなずきながら話を続ける。

西森さん: 日本(にほん)の二十歳(はたち)、みんながみんなそうじゃ、そういうわけじゃないけど、 この子らの方がもっと仕事するような気がする、一生懸命。 やっぱ、向こうから来とるけん、まあ、ハングリー精神があるというのか、うん。

映像説明: グレーのビルの横のスペース。ビルの壁には、赤い円の中に白い文字で「確実」、青い円の中に白い文字で「安心」と書かれている。天井にネットをかぶせた足場の前で、作業服にヘルメット、防じんマスクをつけた男性がホースの先端のノズルを持って地面に液体を吹きかけている。後ろには白い作業服姿の6人の男性が長いホースのところどころを持って、真っすぐになるように延ばしていく。

テロップ: 外国人技能実習制度 日本で技術を学び 母国の発展に役立てる

ナレーション: 外国人技能実習制度は、1993年に制度化された。日本で技術を学び、母国の発展に役立てる、国際協力を目的としたものだ。

映像説明: 屋上で、分厚い手袋を着け、白い段差の角(かど)の部分に青いマスキングテープを貼る実習生の姿を背景に、「技能実習生の在留人数」と題されたグラフが現れる。 縦軸は0人から30万人まで、10万人きざみで人数が示され、横軸には2014年から2018年までが示されている。2014年に16.8万人だった在留人数は、毎年右肩上がりに上昇し、2018年は32.8万人になっている。(出所:法務省)

ナレーション: 年々、人数が増え、今ではおよそ33万人が滞在している。

映像説明: ビルの屋上で、ヘルメットに作業服姿の実習生が、柄の長いローラーを使って黒いシートを敷いた床にグレーの液体を塗り広げている。傍らに立つヘルメットに作業服姿の男性が、腰に手を当てて様子を見守っている。

ナレーション: 彼らが日本に来る目的は、技術を学ぶことだけではない。もう1つある。

映像説明: 資材が置かれた建物の中。「工事予定表」と書かれたホワイトボードが取り付けられ、工具入れの赤いケースが並ぶ棚の前で、白い作業着を着た実習生が笑顔を見せながらインタビューに答える。

撮影スタッフの男性: なんで日本(にほん)に来ようと思ったんですか。

テロップ: (日本(にほん)に来た理由は?)

白い作業着を着た実習生・日本語: ああ、それはですね、家族のためにですね。

西森さん: あと、やっぱ、お金やな。

白い作業着を着た実習生・日本語: うん、お金。

映像説明: 資材が置かれた建物の中。サイドを刈り上げた髪型の実習生がロッカーに立てかけられた、縦横(たてよこ)に溝が彫られている板に向かい、ヘラを使って、慣れた手つきで溝の中の充てん剤をならしていく。

テロップ: モー・ミン・タン さん

ナレーション: 3期生のモーさん。年齢は38歳。

映像説明: 資材が置かれた建物の中。「工事予定表」と書かれたホワイトボードが取り付けられ、工具入れの赤いケースが並ぶ棚と、ロッカーの前でサイドを刈り上げた髪型のモー・ミン・タンさんが身振りを交えてインタビューに答える。

モー・ミン・タンさん・日本語: (自分で使うのは)1万円。 あとは全部、 あの、奥さん。

映像説明: 西森さんのほうに目を向け、笑顔を見せながら話を続ける。

西森さん: モーはね、この人は子どもさんがね、3人、3人いたかな。

モー・ミン・タンさん・日本語: 子どもは4人。これ、これが私の家族。

映像説明: サイドを刈り上げた髪型のモー・ミン・タンさんが、黒い手帳型のケースを広げ、スマートフォンの待ち受け画面に設定された5人の家族の写真を見せる。

モー・ミン・タンさん・日本語: これ、これが私の、家族。

映像説明: 緑と黄色(きいろ)の門の前に並ぶ5人の家族の写真。左端には、水色のレースのブラウスに青い横じまのロングスカートを履いた女性。ピンクのブラウスとスカートを着た幼い女の子を抱いている。隣には、オレンジに緑色(みどりいろ)や水色、白の柄(がら)が入ったワンピースを着た少女。その横には、白のシャツを着て、紫の縦じまの民族衣装を腰に巻いた青年と、ブルーグレーに白い水玉のシャツにベージュのチノパン姿の青年が並んでいる。 ピンクのブラウスとスカートを着た幼い女の子の写真。低い段差のある床に座り、にっこりと微笑みを浮かべた顔全体に、白い顔料が塗られている。 モー・ミン・タンさんがスマートフォンの写真アルバムを操作し、沢山の写真の中から1枚をタップする。 飾り房(かざりふさ)が付いた赤い傘を持ち、猫のイラストが描かれた黄色いTシャツを着た女の子の写真が画面いっぱいに写し出される。鼻に顔料を一筋塗り、握った右手をあごの下に置いて、すました顔を見せている。

ナレーション: 上の子どもは大学2年生。一番下(いちばんした)の子は、まだ2歳。モーさんが日本に来てから生まれた。会ったことはない。成長した姿がスマートフォンに送られてくる。

映像説明: 雨に濡れる住宅街の一角をゆっくりと走る車の中からの風景。瓦屋根の家の立ち並ぶ道路は正面が突き当りになっており、左脇には大きな鉄塔が立っている。はるか先の緑の山は濃い霧で霞んでいる。 鉄塔の前に建つグレーの壁に黒い屋根の二階建ての一軒家。敷地内には白の乗用車が1台止まっている。

ナレーション: 会社(かいしゃ)から車で10分。彼らが生活する寮を案内してくれた。

映像説明: 家の中。サイドの髪を刈り上げた髪型で白い作業姿のモー・ミン・タンさんが、2階の茶色のドアを開ける。 ベッドが2台置かれた部屋の中。ふすまを外した押し入れには、タオルや洋服が掛けられた物干しが置かれている。モーさんが照れくさそうな笑顔を浮かべる。

モーさん・日本語: あ、ここが私(の部屋)。

映像説明: 寮の部屋。花柄のクリーム色(いろ)のカーテンの前で、白い作業服姿のモー・ミン・タンさんがインタビューに答える。 資材が置かれた建物の中。モーさんがロッカーに立てかけられた、縦横(たてよこ)に溝が彫られている板に向かい、グルーガンのような道具で、白い充てん剤を溝に埋めていく。 寮の部屋で、モーさんが話を続ける。

モー・ミン・タンさん・日本語: ちょっと大変ね。 仕事、ときどき。よくない。 家族のために。

映像説明: 寮の1階。モーさんが階段横にあるキッチンに入っていく。水切りかごには洗った食器がきれいに並べられており、調理台の前には、電子レンジが乗った背の高い白い冷蔵庫と、炊飯器が2台置かれた背の低い白い冷蔵庫、ポットが置かれた茶色の棚が並んでいる。モーさんが背の低い冷蔵庫の中から、外国語が書かれた食品の袋を取り出す。乾燥した豆のようなものが入っている。 モーさんが笑みを浮かべながら背の高い冷蔵庫を開け、中を指差す。 ドアポケットに赤いパッケージの小さな容器が1つ、下の段にトマトが1袋と白いボウルが1つ入っているだけのほとんど空の(からの)冷蔵庫。一番上の段には6こ入りの卵のパックが9つほど積み重ねられている。

ナレーション: こちらはキッチン。みんなで知恵を出し合い、節約に励んでいる。冷蔵庫の中には…。

モー・ミン・タンさん: 毎日、卵。

映像説明: 古びた石造りの寺院のような建物の前。髪をそり上げ、赤いけさを体に巻いた数十人の少年が、芝生の上に並んで座っている。後ろには、白やピンクのシャツを着た20人ほどの少女が並んで立っている。数人の少女以外は、みな髪をそり上げている。白いTシャツに紫の民族衣装を腰に巻いた男性がカメラを手に子どもたちの前に出て話を始める。

テロップ: 人口5,141万 出所:ミャンマー入国管理・人口省

ナレーション: 彼らの母国、ミャンマーの人口はおよそ5,000万。

映像説明: 真剣な表情で前を見つめる少年少女たち。両手を合わせている子どももいる。

ナレーション: その多くが仏教徒だ。

映像説明: まっすぐ伸びるコンクリートの歩道を赤いワンピースを着た長い髪の女性たちや紫やピンクの日傘を差した男女など、十数人の人々が歩いている。道の両脇にはピンクや黄色(きいろ)の花をつけた草木や、ヤシのような木々(きぎ)が生い茂っている。 民族衣装を腰に巻いた男性や、水色の布で頭を覆った女性など、大勢の人が行き来する商店街(しょうてんがい)の歩道。色とりどりのワンピースやスカートを着せたマネキンが並ぶ店や、銀色の鍋を置いた店の先には、「LG」や「Mitsubishi」などと書かれた看板が歩道に向かって突き出している。路肩に止めたトラックには、「Panasonic」や「Haier(ハイアール)」と書かれた大きな電化製品の箱が積まれている。

テロップ: 1人当たりGDP(2018年) ミャンマー 1,298ドル 日本 39,306ドル 出所:IMF

ナレーション: 1人当たりのGDPはおよそ1,300ドル。日本の30分(さんじゅうぶん)の1。まだ、大きな隔たりがある。

映像説明: 街中(まちなか)に建つ薄いグレーのビル。1階には黒の文字で「mbi center」と書かれた白い看板が掛かっており、せり出した2階部分の壁には、白い3枚の看板が掲げられている。それぞれ、紫、ピンク、ベージュの3枚の葉を重ね合わせたマークに英語を組み合わせたロゴマークが入っている。左の看板には「UJLAC Unity」、真ん中は「MYANMAR Unity」、右は「KAIGO Welfare Training Center」と書かれている。 ビルの前には白や黄緑の車が駐車してある。その脇を紫の傘を差した女性と2人の子供をサイドカーに載せた三輪自転車が猛スピードで走り抜け、大きなピンクの日傘を差した若い女性が足早に通り過ぎていく。

テロップ: ミャンマー・ユニティ

ナレーション: こちらは、政府から認定を受けている人材送り出し機関。

映像説明: 教室。壁には、日本地図とミャンマーの地図のほかに、「土足厳禁」、「撮影禁止」、「安全第一」、「駐車禁止」など、注意喚起に使用される言葉が書かれた青い短冊が12枚ほど貼られている。半袖のYシャツを着た男性教師が、生徒たちにA4サイズの紙を見せ、指で示している。生徒たちが、ノートや教科書を広げて席に座り、身を乗り出して教師の掲げた紙を見つめている。 2人掛けの机が3列並べられた教室。男性教師がホワイトボードの前で話をしている。左側の壁には、ひらがな表が貼られている。 そろいの「MYANMAR UNITY」のロゴが入ったポロシャツを着て、四角い名札を付けた生徒たちが、ときおりうなずきながら、真剣な面持ちで話に聞き入っている。教室の一番後ろには、紫や黄緑のキャップがついた水筒が十数本並べられている。

ナレーション: これまで700名を送り出してきた。今も、日本に行くため、300名が日本語などの勉強をしている。そのほとんどが、農村の出身だと言う。

映像説明: 眼鏡をかけたボブヘアの女性教師が、ホワイトボードの脇に立ち、空中で指を動かし始める。生徒たちも指やペンを掲げて、一斉にリズムを取りながら、声を合わせて日本語で「1、2、3、4、5」と声を出している。 大きな窓のある教室に挟まれた廊下。白い半袖のYシャツを着て、前髪を横分けにした男性が、生徒たちが授業を受けている教室を窓越しに見ながら話しをしている。

テロップ: ミャンマー・ユニティ 西脇 大暉(にしわき だいき) 統括マネージャー

ナレーション: そこに勤める西脇さん。ミャンマーに関心を持つ企業が増えていると話す。

映像説明: 教室。ホワイトボードの横に立つ、眼鏡をかけたボブヘアの女性教師が、紫色の表紙の本を見ながら話しをしている。生徒たちは机に目を落としてメモを取っている。 教室の前の廊下で、前髪を横分けにした西脇統括マネージャーがインタビューに答える。

西脇統括マネージャー: (視察は)明らかに数が増えていますね。 1日に、もう3団体、4団体って来られる(こられる)ことも、本当にざらになりましたし。 ミャンマーの方(かた)の、人柄の良さとかもやっぱり、あって、そういったものも後押ししてるんでしょうね。

映像説明: 教室。教科書にメモを取りながら、集中して前を見つめる生徒たち。後ろの壁にはグレーのカーテンが掛かっており、脇に置かれた長机(ながづくえ)には、紫と黄緑のキャップがついたペットボトルと、十数個の黒いリュックが一列に並べられている。

ナレーション: そのミャンマーでは、国際的な人材の争奪戦が起きている。

映像説明: 年若い女性の生徒たちが、うなずきながら聞き入っている。 若い男性の生徒たちも、ペンを走らせている。 廊下で、前髪を横分けにした西脇統括マネージャーがインタビューに答える。 ガラス窓の奥の教室。男性ばかりのクラスで、耳を傾けていた生徒たちが一斉に笑い出す。 廊下で西脇統括マネージャーが話を続ける。

ナレーション: 今は、日本への憧れを抱く若者は少なくないが、悪いうわさが広まれば、今後、日本が敬遠される可能性があると指摘する。

西脇統括マネージャー: 人不足(ひとぶそく)に苦しむ、その日本(にほん)って状況の中にあって、 その日本(にほん)っていう国も、やっぱりこれから選んでもらわなければいけないっていう状況になってくのは、 僕らが思ってる以上にほんとに早い。 なのでやっぱり、なんでしょ、上から目線とかではなくって、うん。 同じ人間としてって言うんですかね、はい。そういうおつきあいを、やっぱしていくのが大事かなと思いますね。

映像説明: 水色の建物の前で、ヘルメットをかぶり、白いシャツを着て腰に青い袋を下げた18人ほどの男性が3列に分かれ、一定の間隔を開けて整列している。向かい合って立つ男性が、一人ひとりの装備を指で差し、声を出して確認している。 木々(きぎ)に囲まれた屋外の作業場。2人の男性が、茶色いモルタルのようなものを地面に塗り広げていく。傍らには黒ぶち眼鏡をかけたハン・ネインさんが腰に手を当てて立ち、その様子を見ている。 水色の建物の脇に座るヘルメットをかぶった3人の男性。周りには大きく膨らんだ緑色(みどりいろ)のビニール袋が積み重ねられ、フタの開いたダンボール箱がいくつも置かれている。壁に寄りかかって座る男性が箱の1つを指差して話をしている。向かいに並んで座る2人の男性は手に取った白い紙を見つめ、スマートフォンを取り出して確認している。

ナレーション: ヤンゴンに進出したアーキテックでは、3人の実習生OBが現地の若者への技術の伝達に力を入れている。

映像説明: 事務所の中。サイドを刈り上げた髪型の鎌倉社長と黒ぶち眼鏡をかけたハン・ネインさんが、ノートパソコンに向かって座っている。ハン・ネインさんが紙の資料をホチキスで閉じ、立ち上がって鎌倉社長に手渡す。受け取った鎌倉社長が、資料に目をやる。

ナレーション: だが、進出したのは、彼らの働き口(はたらきぐち)を作るためだけではない。

映像説明: 川沿いに建つビルの建築現場。5階ほどの高さまで鉄筋コンクリートの骨組みが組まれ、建物の脇には巨大な黄色いタワークレーンがそびえ立っている。

ナレーション: 背景にあるのは、ミャンマーの旺盛な建設需要だ。

映像説明: むき出しの茶色の土(つち)がどこまでも続く広大な土地。奥には横幅の長い低層の白い建物が数棟(すうとう)建っている。1台のトラックがゆっくりと動き、オレンジや黄色(きいろ)のショベルカーが3台ほど土(つち)をかきだしている。

テロップ: トヨタ自動車 工場建設を発表

ナレーション: 今年5月、トヨタが工場を造ることを発表。

映像説明: 別の建設現場。大きなコンクリートの壁の脇の地面に、コンクリートで固められた溝が2本作られている。傍らにはむき出しの鉄骨が置かれている。オレンジのヘルメットをかぶった作業員が溝の中に入り(はいり)、白いヘルメットをかぶった作業員が溝の上に立ち、オレンジの安全ベストを着た作業員が外から中をのぞき込んでいる。溝の上に立つ作業員が先のひしゃげた金属製のパイプを引き出している。

ナレーション: さらに、ヤンゴン市内では複数の大型案件が進行中だ。

映像説明: 街中(まちなか)の建設現場。周囲には10階ほどの高さのビルや、赤い切妻屋根の低層の建物群が広がり、左手の大通りには多くの車が行き交っている。敷地には6階ほどの高さまで足場が組まれ、外壁が作られている。足場の周囲を6台の赤いタワークレーンが取り囲み、内側にもタワークレーンが1台設置されている。

ナレーション: さらに、ヤンゴン市内では複数の大型案件が進行中だ。これは日本の商社などが進める都市開発。

映像説明: ビルが建ち並ぶ市街地の工事現場。むき出しの赤茶色の土地に、4台のクレーン車が空高く首を伸ばしている。

ナレーション: ほかにも、複合(ふくごう)商業施設やホテルの建設など、その動きは活発だ。

映像説明: 柵で囲まれた建設中の建物。鉄パイプとネットで仕切られた柵に、緑の木のイラストと、「TAKENAKA」と書かれた布が掛けられ、その脇には木を組み合わせて造られた骨組みのようなものが4本立っている。奥の建物は鉄筋の骨組みと天井が作られており、2階部分に立つヘルメットをかぶった2人の作業員がロープのようなものを引っ張っている。 工事現場の周囲の柵の前に5つの看板が建てられている。5つの三角形を組み合わせて五角形をかたどったマークに、「五洋建設」、「PENTA‐OCEAN CONSTRUCTION」と書かれたロゴが入った大きな看板のほか、同じく五洋建設のロゴの入った、注意を喚起するさまざまな標識が描かれた看板や、外国企業の看板が並んでいる。 道路脇の建築現場。緑のネットで覆われた塀で囲まれている。入口には、白いパネルを張り付けた大きなシルバーの扉が取り付けられている。パネルには、耳の垂れた茶色と白のぶちの犬が黄色いヘルメットをかぶっているイラストと、「Mr. PENTA」と書かれている。オレンジのショベルカーが首を振り、大勢の人々が働く敷地の中へ、黄色いヘルメットに長靴姿の6人の作業員が入っていく。道路にはバイクの後ろに屋根つきの座席がついた自動三輪車が駐車してある。

ナレーション: こうした需要を取り込もうと、大手建設会社(おおてけんせつがいしゃ)がこぞって進出。

映像説明: 白い塀の前の作業場。白い作業服に白いヘルメット姿の男性が、低い壁がL字の形に設置された小さな四角いスペースにしゃがみ込み、角(かど)の部分に黒いペースト状のものを塗り広げていく。別の2人の男性が、その様子を真剣な眼差しで見つめる。

ナレーション: その一方で、専門工事を行う日本の企業は限られている。

映像説明: 白いレンガ造りの壁の室内。ピンクや緑のバケツや白い小さなタンクが置かれた棚の前に、作業着に白いヘルメット姿の作業員たちが集まっている。サイドを刈り上げた髪型の鎌倉社長が腰に手を当て、後ろから話しかけると、作業員たちが振り向いてうなずく。

ナレーション: 他社に先行して人材をそろえたアーキテック。すでに、数億円規模の案件が舞い込んでいる。

映像説明: 水色の建物の外。白い木製のベンチに腰掛け、鎌倉社長がインタビューに答える。 建設現場。蛍光緑のベストを身に着け、黄色いヘルメットをかぶった3人の作業員たちが、黒い柵の前のむき出しの地面に座り込み、コテを使って土台の部分を白く塗り上げる。 水色の建物の外。鎌倉社長が白い木製のベンチに腰掛け、笑顔でインタビューを続ける。

テロップ: アーキテック 鎌倉 正典(かまくら まさのり) 社長

鎌倉社長: 今ミャンマー自体が、“ラストフロンティア”って言われるぐらい、 世界各国から、今、投資が始まってきて、 新しい建物が建ったり。 でも、今、技術が元々やっぱり無いので、 ま、そこをやれれば、うちは商売としても楽しいんじゃないかと、いうことを思いまして。 あの、つい、のめり込んでしまいました。

映像説明: 上空から見下ろす広大な土地。建物はなく、木が並んで作られた緑色(みどりいろ)のラインが、茶色い地面をいびつに区切っている。 空港の滑走路。機体の後部が薄い茶色で塗られた飛行機の前を白いポロシャツに紺のスラックスをはいた鎌倉社長が歩いてくるいく。続いて、白いシャツを着て黒ぶち眼鏡をかけたハン・ネインさんが黒いビジネスバックを手に歩いていく。後ろから、赤いけさをまとった僧侶とTシャツにジーンズ姿の女性が、飛行機のドアを手前に下ろした5段のタラップを降りてくる。機体には大きく、「www.gmairlines.com」と書かれている。 画面右下の四角い枠には、ミャンマーの地図。南と南西は太平洋に面し、東南はタイに接している。南部の海(うみ)に近い場所にヤンゴンがあり、赤い丸印で示され、マグウェイはミャンマーの中部に位置し、赤い星印で示されている。

ナレーション: この日、鎌倉社長がやって来たのが、ミャンマー中部の中核都市、マグウェイ。

映像説明: 木々(きぎ)の中に続く、カーブの多い舗装された道路を走る車の中からの風景。前を走るバイクがゆっくりとカーブを曲がっていく。フロントミラーにぶら下げられた、赤い房(ふさ)がついたしずく型の飾りが激しく揺れる。 走る車の後部座席に座る鎌倉社長。黒い日よけの付いた窓から流れる景色を見つめ、柔らかい表情で談笑している。

ナレーション: そこから車でさらに1時間。来年受け入れる実習生の家庭を訪問する。鎌倉社長が大切にしているのが、実習生と信頼関係を築くことだ。

映像説明: 走る車の中からの車窓風景。緑豊かな草原が広がっている。あちこちに大きな木が集まって生えており、緑の葉をつけている。 車の後部座席で、鎌倉社長が笑顔でうなずきながらインタビューに答える。

鎌倉社長: 生まれ育った環境を見ると、 ああ、こういうふうに育ってんだとか、頑張るところが見えますよ、やっぱり。

映像説明: 木々(きぎ)に囲まれた舗装されていない道を、紫の長いスカート姿の2人の女性がのんびりと歩いてくる。 道路の脇には、枝や木で作られた塀が設置されており、白い文字で現地の言葉が記された黒っぽい看板が掲げられている。

テロップ: ウェチョン村

ナレーション: その実習生が暮らす、600人の小さな村。

映像説明: 細い道の一角に白いバンが停車し、紙袋を持った鎌倉社長が下りてきて、青地に黄色(きいろ)と赤のラインが入ったワンピース姿の女性と挨拶をし、握手を交わす。黒ぶち眼鏡をかけたハン・ネインさんが、青のポロシャツを着た男性と並んで、その様子を見つめる。鎌倉社長が声を出して笑う。

鎌倉社長・ミャンマー語: ミンガラバー(こんにちは)。

映像説明: 青のストライプのシャツを着て、民族衣装を腰に巻いた男性と挨拶をし、握手をする鎌倉社長。青いポロシャツを着た男性が、トタンの屋根に、はりの部分が緑色(みどりいろ)に塗られた平屋建ての家を手で示し、みんなでそろって歩いていく。

テロップ: ミン・ミン・コー・チットさん

ナレーション: 迎えてくれたのは、ミン・ミンさんとその両親。

映像説明: 平屋の中。鎌倉社長たちがチェック柄のクロスが掛けられたテーブルを囲む。テーブルの上には、オレンジ色(いろ)の柿のような果物やブドウのような丸い果物、ナッツなどを盛り付けた10皿ほどの料理と、ペットボトルに入った水が3本並んでいる。鎌倉社長の隣にはハン・ネインさんが座っている。 向かい側には、青いポロシャツの男性と両親が並んで座っている。テーブル脇の大きな窓の向こうには、黄色いドアがついた白壁の家がある。

テロップ: アーキテック 鎌倉 正典(かまくら まさのり) 社長

鎌倉社長: 今回、あの、彼に日本のうちの会社に来てもらうことになりました。

映像説明: 木製の大きな椅子に座るハン・ネインさんと鎌倉社長。鎌倉社長がハン・ネインさんの方を手で示しながら、向かいに座る3人に話をしている。ハン・ネインさんはMKCSのロゴの入った長袖のシャツを着ている。

テロップ: ハン・ネインさん

ナレーション: 通訳をするのは、実習生のOB。高知にいるあいだに、日本語検定2級を取得した。

映像説明: テーブルを囲み談笑する5人。 鎌倉社長が身振りを交えて話をしている。 青いポロシャツを着たミン・ミンさんと両親は、少し緊張したような面持ちでうなずいている。 ハン・ネインさんに目を向けながら、鎌倉社長が話をする。 身を乗り出して話をするミン・ミンさんを隣に座る両親が見つめ、正面の鎌倉社長を見やる。

鎌倉社長: 彼ら(一期生)の時から、あの、日本(にほん)に来る前に、一回ご両親に挨拶するようにしてて。 ただまあ、日本(にほん)に今度来ると、その建設現場で働いてもらうようになるので。 もう、ミャンマーのね、同僚がいるからやりやすいと思うし。 反対に、日本語頑張って、仕事はそれから覚えたらいいから。

ミン・ミンさん・ミャンマー語吹き替え: ミャンマーにも、会社があると聞いています。 帰国したら、私もそこで働きたいです。

映像説明: 柱の上には、家族の写真が入った木のフォトフレームが掛けられている。前列の一番左にはグレーヘアの女性が座り、その横には民族衣装を腰に巻いた若き日のミン・ミンさんの父親と、髪飾りをつけた母親が座り、隣にはロングスカートを履いた少女が立っている。後ろの列には3人の少年がりりしい眼差しで立っている。 平屋の外。父親と並んで立つミン・ミンさんが鎌倉社長の話をじっと聞いている。

ナレーション: ミン・ミンさんは4人兄弟の3番目、26歳。建設関連の仕事をしていた。

映像説明: 平屋の中。お菓子やぬいぐるみが並べられた棚の前で、ミン・ミンさんがインタビューに答える。

ミン・ミンさん・ミャンマー語吹き替え: 一度、日本(にほん)に行ったことがあります。 日本の技術を見て、もっと勉強したいと思いました。

映像説明: 平屋の家の中。木製の椅子に腰かけたミン・ミンさんの両親が、リラックスした笑顔を浮かべて話をしている。

ナレーション: 父は大工、母は小学校の先生だ。

映像説明: 茶色い板張りの壁の部屋。ブレーカーや電源タップ、スイッチが取り付けられた木製の板の前で、ミン・ミンさんの母がインタビューに答える。

テロップ: ミン・ミン さんの 母

ミン・ミンさんの母・ミャンマー語吹き替え: サッカーが好きな子どもでした。 私たちの給料は、決して高くはありません。 でも、できるだけのことをしてきたつもりです。 しっかりとした大人になって、成功して欲しいです。

映像説明: 平屋の外。開け放たれた薄い茶色の扉の前で、ハン・ネインさんとミン・ミンさんの父が話をしている。その脇で、笑顔のミン・ミンさんと鎌倉社長が握手を交わす。ミン・ミンさんの母がにっこりと笑っている。鎌倉社長が満足した様子で笑顔を浮かべて歩き出す。

鎌倉社長: 頑張ってね。

ミン・ミンさん・日本語: はい、頑張ります。

映像説明: 薄く切った木を組み合わせて作られた素な塀で区切られた砂利道。左側には緑色の葉の茂った木が、右側には葉の落ちた木々(きぎ)が生えている。その道路を、花柄のロングスカートを履いた女性が、古びた自転車を押して歩いていく。荷台には大きな荷物がくくり付けられている。

ナレーション: 実習生が育った環境。

映像説明: ミン・ミンさんの家の前。スマートフォンをハン・ネインさんに手渡すミン・ミンさんの母。左からミン・ミンさん、鎌倉社長、両親の順に並び、笑顔を作って前を向く。

ナレーション: 子を思う親の気持ち。それを経営者が受け止め、信頼関係を築いていくことで、国際ビジネスは進んでいく。

映像説明: 金色の装飾が施された朱色の門の前で、鎌倉社長が穏やかな笑みを浮かべてインタビューに答える。奥には、葉の落ちた枝ばかりの木が並んでいる。 明るい光が差す道路の脇で、バイクの前に立って話をするミン・ミンさん。 朱色の柱の門の前で鎌倉社長が話を続ける。 灰色のビルの前のスペース。ビルの壁に赤い円の中に白い文字で「確実」、青い円の中に白い文字で「安心」と書かれている。天井にネットをかぶせた足場の前で、作業服にヘルメット、防じんマスクをつけた男性がホースの先端のノズルを持って地面に液体を吹きかけている。後ろには白い作業服姿の3人の男性が長いホースのところどころを持って、真っすぐになるように延ばしていく。 屋外に続く壁の角(かど)をビニールで養生した白い建物の陰で、地面にあぐらをかいて、カップラーメンや弁当を食べる実習生たち。 資材が置かれた建物の中。重機にもたれかかり、談笑する白い作業服姿の3人の実習生と、青いシャツの上に白いジャンパーを羽織った湯浅主任。その前をグレーヘアの西森さんがダンボールを抱えて入ってくる。

テロップ: アーキテック 鎌倉 正典(かまくら まさのり) 社長

鎌倉社長: 向上心がすごくあるので、 学びたい、技術学びたい。また、ミャンマー帰ってやりたい、ということをずっと言ってるので、 期待も持てるし、これからも任せていけそうな感じなのかな、というイメージを持ってます。 いろいろ問題、起こった時に、やっぱ家族の顔が浮かぶっていうのは、やっぱ一番大切なことだと思うんですよ。 そういうのがあるから、やっぱりこっちもやれることはやってあげよう、いうのが僕の、まあ、思いです。

スタジオの八木(やぎ)キャスター: 技能実習生の実家まで訪問する企業の経営者がいらっしゃるんですね。驚きました。 受け入れる時から、長い視点で考えることで、その後の海外ビジネスの可能性が広がるのではないでしょうか。

映像説明: 八木(やぎ)キャスターがお辞儀をする。

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