外資に関する規制

最終更新日:2024年01月22日

規制業種・禁止業種

「外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)(2021年版)」(2022年1月1日施行) により、制限、禁止業種を指定。
「自由貿易試験区外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)(2021年版)」において、自由貿易試験区における外国投資者の参入における制限措置を列挙。
「海南自由貿易港外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)(2020年版)」(2021年2月1日施行)において、海南島における外国人投資者の参入における制限措置を列挙。
「海南自由貿易港越境サービス貿易特別管理措置(ネガティブリスト)(2021年版)」(2021年8月26日施行)において、海外のサービス提供者が海南自由貿易港内の市場主体または個人に対しサービスを提供する場合の提供禁止事項および制限措置を列挙。
また、工商投資分野の重複を避けるため、投資禁止リスト(2004年4月~)を発表。

根拠規定

  • 「外商投資方向の指導規定」(2002年2月11日公布・2002年4月1日施行)
  • 「産業構造調整指導目録」(淘汰類は外商投資企業に適用、2024年版の目録については、2023年12月27日公布・2024年2月1日施行)
  • 「外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)」(登録資本金、高級管理職に関する要求)

制限業種(条件付きで参入可能な領域)

  1. 「外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)」に定める外国投資者の「出資比率」の制限

    「外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)」の制限業種への投資については、原則として外資100%による投資は認められないが、外資の参入許認可を受けた場合には、外国投資者は中国において投資することができる。

    「外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)」では、外商投資プロジェクトについて、「合弁・合作に限定」、「中国側の持分支配」、「中国側の相対的持分支配」という条件が定められている。「合弁・合作に限定」とは中外合弁または中外合作企業のみが認められることを指し、「中国側の持分支配」とは中国側投資者の外商投資プロジェクトにおける出資比率の合計が51%以上であることを指し、「中国側の相対的持分支配」とは中国側投資者の外商投資プロジェクトにおける出資比率の合計が外国投資者のいずれかの出資比率を上回ることを指す。外国投資者は、これらの条件に合致すれば中外合弁企業などの形態で当該制限業種に投資することができる。ただし、制限業種に対するその他の制限条件については特別法の規定に従わなければならない。なお、外国企業または個人は、パートナーシップ企業の形態で、持分要求のある業界に投資することはできない。

  2. 特別法の規定に基づく「その他の制限条件」

    国務院および各業種主管部門が制定する特別法にも「制限業種」の具体的条件が定められている。原則として「制限業種」について外資100%による投資は認められないが、「特別法」に定める投資条件に合致すれば「制限業種」に投資することが可能である。

詳細はPDFファイル参照。
ジェトロ「中国 外資に関する規制 制限業種・禁止業種」PDFファイル(308KB)

自由貿易試験区

2015年5月8日より、「自由貿易試験区外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)」が施行された。自由貿易試験区における外国投資者の参入に適用されるネガティブリストで、全国的なネガティブリストと比べると制限、禁止業種の緩和がなされている。最新のものとして、2022年1月1日より、「自由貿易試験区外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)(2021年版)」が施行された。

海南自由貿易港

2021年2月1日より、「海南自由貿易港外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)(2020年版)」が施行された。株式保有に関する要求、高級管理職に関する要求など、外国投資者の参入における制限措置を列挙したものであり、海南島全島に適用される。2021年8月26日より、「海南自由貿易港越境サービス貿易特別管理措置(ネガティブリスト)(2021年版)」が施行された。海外のサービス提供者が海南自由貿易港内の市場主体または個人に対しサービスを提供する場合に適用されるもので、提供禁止事項および制限措置が列挙されている。

出資比率

「外商投資法」の施行により、2020年1月1日をもって、「中外合資経営企業法」、「中外合作経営企業法」が廃止され、これにより中外合弁企業、中外合作企業への外国投資者の出資比率についての25%以上という制限がなくなった。

外商投資法の施行

「外商投資法」の施行により、2020年1月1日をもって、「中外合資経営企業法」、「中外合作経営企業法」が廃止され、これにより中外合弁企業、中外合作企業の外国投資者の出資比率についての25%以上という制限がなくなった。現在は、中国の法律により中国国内で登記され設立した企業は、外国投資者の出資比率を問わず、すべて外商投資企業に分類され、「外商投資法」およびその実施細則の規制を受ける。従前の規定においては、外国投資者の出資比率が25%を下回る外商投資企業については、法律、行政法規に別途規定がある場合を除き、その投資総額の範囲内で輸入する自社用設備、物資についての税金減免の優遇措置を受けることができず、その他の徴税についても外商投資企業への優遇措置を享受することができなかったが、現行の法律では外資独資企業、中外合弁企業、中外合作企業に対し、特別な審査認可手続きや、出資比率が25%を超過してはじめて租税優遇を享受できるという規定はなくなっている。

現地法人の種類

「外商投資法」の施行により、2020年1月1日をもって、「中外合資経営企業法」、「中外合作経営企業法」、「外資企業法」が廃止され、現地法人について中外合弁企業、中外合作企業、外資独資(100%)企業の分類がなくなり、外商投資企業に統一された。

出資比率による制限

  1. 「外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)」の規定
    「外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)」では、外商投資プロジェクトについて、「合弁・合作に限定」、「中国側の持分支配」、「中国側の相対的持分支配」という条件が定められている。「合弁・合作に限定」とは中外合弁または中外合作企業のみが認められることを指し、「中国側の持分支配」とは中国側投資者の外商投資プロジェクトにおける出資比率の合計が51%以上であることを指し、「中国側の相対的持分支配」とは中国側投資者の外商投資プロジェクトにおける出資比率の合計が外国投資者のいずれかの出資比率を上回ることを指す。
  2. 特別法の規定
    国務院および各業種主管部門が業種別に制定する特別法に外国投資者の「出資比率」に対する具体的制限が定められている。

中国はWTO加盟の約束に基づき、2002年から外資に対する規制を段階的に緩和し、外資の投資分野を拡大している。

詳細はPDFファイル参照。
ジェトロ「中国 外資に関する規制 投資規制緩和 詳細」PDFファイル(329KB)

外国企業の土地所有の可否

土地の所有権は原則として国家または農民集団に帰属し、外商投資企業の土地所有は認められない。ただし、土地の使用権は認められる。

  1. 土地所有権、開発権、使用権について
  2. 非居住者または外商投資企業の土地所有の可否、手続き、所有・使用年限
  3. 土地に関する各種制限規定

詳細はPDFファイル参照。
ジェトロ「中国 外資に関する規制 土地所有権、使用権について」PDFファイル(174KB)

資本金に関する規制

近年の改正により、登録資本金に関する規制が緩和されているが、外商投資企業などの登録資本金の減額は、引き続き政府機関の認可が必要となる可能性がある。

最低払込資本金の一般規定

2005年の会社法は、有限責任公司の登録資本金の最低限度額について定めていたが、2013年12月28日の改正により、最低限度額の規制はなくなった。

企業形態・業種別の最低資本金の制限

株式を発行する外商投資株式有限公司の場合、その登録資本金については、「外商投資株式有限公司の若干の問題に関する暫定規定」に基づき登録資本金の最低限度額が3,000万元とされ、外国投資者が投資して設立する投資性会社の登録資本金については、「外国投資者が投資により投資性会社を設立・運営することに関する規定」に基づき登録資本金の最低限度額が3,000万ドルとされていたが、2015年10月28日の改正により、これらの最低限度額の規制はなくなった。
また、中国政府は外商投資による投資性会社の経営権限およびサービス範囲を拡大しており、例えば、商務部は2004年4月16日に「外商投資商業領域管理規則」を公布している。同規則は中国政府の販売サービスに関するWTO加盟の約束に基づき、商業領域における対外開放の地域、スケジュール、業種領域を明確にしたものであり、外国投資者の持分比率に対する規制が緩和され、登録資本金および投資者の規模などの規制が廃止された。これにより、2004年12月11日より外商独資商業企業の設立が可能となった。
また、商務部は2004年11月17日に「外国投資者が投資により投資性会社を設立・運営することに関する規定」を改正公布している。同規定により、投資性会社は「外商投資商業分野管理規則」の関連規定に合致し、かつ法に従い相応に経営範囲を変更すれば、コミッション代理、卸売、小売およびフランチャイズを行うことが可能となった。

登録資本金引受登記制度

登録資本金を法律で定められた期間内に実際に払い込むことを要求する従前の規制が廃止され、2014年3月1日より、出資者が引き受けた出資金額を登録資本金として登記し、具体的な出資時期については出資者間で約定したうえで会社定款に記載する登録資本金引受登記制度が実施されている。ただし、2024年7月1日より施行される改正会社法では、有限責任会社の登録資本金について、会社の定款の規定に従って会社が設立された日から5年以内に払い込むこととされている。改正会社法施行前にすでに登記し設立された会社については、登録資本金の納付期限が改正会社法に規定される期限を超える場合、改正会社法に規定される期限内に調整する必要がある。納付期限、登録資本金の金額が明らかに異常な場合、会社の登記機関は、法律に従って調整を求めることができる。期間内に出資金を払い込まない出資者は、登記機関より是正を命じられ、虚偽の出資金額の5%以上15%以下の過料に処される可能性がある。
なお、法律、行政法規および国務院の決定に別段の規定がある場合は、それに従うこととされており、商業銀行、証券会社など計27種類の業界については、従来どおり法律に規定された期間内に登録資本金を実際に払い込む必要がある。

また、投資性会社の場合は、営業許可証の交付日から2年以内に3,000万ドルを下回らない出資金を払い込み、登録資本金のうち残りの部分の出資金は営業許可証の交付日から5年以内に払い込むこととされていたが、2015年10月28日の改正により、これらの制限はなくなった。

登録資本金の減額

会社は登録資本を減らす場合、貸借対照表と財産リストを作成しなければならない。会社は株主会が登録資本の減少を決議した日から10日以内に債権者に通知し、30日以内に新聞上または国家企業信用情報公示システムで公告しなければならない。債権者は、通知を受けた日から30日以内に、通知を受けていない場合は公告の日から45日以内に、会社に対して債務の弁済または担保を求めることができる。
会社は登録資本を減らす場合、株主の出資または所有の株式の割合に応じて出資額または株式を減らすものとする(法律に別の規定がある場合、有限責任会社の全株主に別の約定がある場合、または株式会社の定款に別の規定がある場合を除く)。
会社の任意積立金、法定積立金、資本積立金により損失を補てんした後、なお損失が生じた場合には、資本金を減額して損失を補てんすることができる。登録資本を減らして損失を補った場合、会社は株主に分配してはならず、また、株主が出資金を納める義務を免除してはならない。
損失の補てんにより登録資本を減らす場合は、債権者へ通報、債権者へ弁済、担保提供の規定は適用されないが、株主会が登録資本を減らすことを決議した日から30日以内に新聞上または国家企業信用情報公示システムで公告しなければならない。
会社は損失の補てんによって登録資本を減らした後、法定積立金と任意積立金の累積額が会社の登録資本の50%に達するまで、利益を分配することができない。

投資総額

従前は、外商投資企業に対して、登録資本金と投資総額の比率に関する規定があり、登録資本金の額によって、投資総額の上限が決まっていたが、外商投資法が施行されるとともに各法令が廃止されたことにより、外資と内資の扱いの統一が進み、外商投資企業も投資総額を登記する必要がなくなった。しかし、登録資本金と投資総額の比率に関する前記の規定は外債枠と関わるため、実務上は、引き続き適用される可能性がある。

根拠規定:

中外合資経営企業法(2020年1月1日廃止)、中外合作経営企業法(2020年1月1日廃止)、外資独資企業法(2020年1月1日廃止)、会社法、外商投資株式有限公司の若干問題に関する暫定施行規定(2020年1月1日廃止)、外国投資者が投資により投資性会社を設立・運営することに関する規定、外商投資商業領域管理弁法(2016年11月3日廃止)、会社登記管理条例、外商投資会社の審査認可および登記管理における法律適用の若干問題に関する実施意見(2020年12月1日廃止)、工商行政管理職能の役割を充分に発揮し、さらに外商投資企業発展のためのサービス提供業務を推進することに関する若干意見(2016年5月31日廃止)、「海洋環境保護法」など7つの法律の改正に関する決定、一部の行政法規の廃止および修正に関する決定、外商投資企業の投資総額と登録資本の調整についての規定と手続に関する通知(2020年1月1日廃止)、中外合資経営企業の登録資本金と投資総額の比率に関する暫定規定など。

その他規制

その他の規制として、地域制限規制、事業者集中規制、国家安全規制、外貨管理規制などがある。

地域制限規制

外商投資プロジェクトの地域制限は、保険業、法律サービス業、流通業、電信業などの外商投資プロジェクトの設立地区の制限および業務経営範囲に関する地域制限など、サービス業に多く規定されている。国務院およびその部・委員会が制定する業種別の法規には、この外商投資プロジェクトの地域制限規定について、当該業種の主管部門が具体的に制定するものと規定されており、例えば、「外商投資電信企業管理規定」などに地域制限規定がある。

事業者集中規制

「独占禁止法」(2008年8月1日施行、2022年8月1日改正)により、外資による中国企業買収またはその他形式による事業者集中が、国務院が規定する申告基準に達する場合、事業者は事前に国務院独占禁止法執行機構に申告しなければならず、申告していない場合、集中を実施してはならない。

国家安全規制

2011年2月3日に公布された「外国投資者による国内企業の買収に係る安全審査制度の確立に関する通知」により、外国投資者による国内の軍事企業および軍事関連企業、重点・要注意軍事施設の周辺に位置する企業ならびに国防安全にかかわるその他の企業の買収にあたり、実質支配権を外国投資者が取得する可能性のある場合は、買収安全審査を行わなければならない。
また、2020年12月19日に公布された「外商投資安全審査弁法」により、2021年1月18日から外商投資安全審査・許可制度が施行されている。
この制度では、軍事産業や国家安全に関わる重要農産品、重要インフラ、重要技術などに対する以下の外商投資について、外国投資者が国家発展改革委員会に設置される「業務メカニズム弁公室」に対して、「投資計画」や「外商投資が国家の安全に影響を及ぼすか否かの説明」などに関する資料を事前に申告し、同弁公室が資料を受領した日から15営業日以内に、申告があった外商投資について安全審査を行う必要があるかを決定する。
安全審査を行う必要がないと決定された場合には、外国投資者は投資を実施することができるが、安全審査を行う必要があると決定された場合には、一般審査(実施決定から30営業日以内)や特別審査(審査開始から60営業日以内、必要に応じて期限を延長)を経ることになる。
対象となる「外商投資」については、外国投資者が直接、または間接的に中国国内で実施する以下の投資活動と定められている。

  1. 外国投資者単独または他の投資家と共同で国内における新規プロジェクトへの投資、または企業設立をする場合。
  2. 外国投資者が合併買収により、国内企業の持ち分または資産を取得する場合。
  3. 外国投資者がその他の方式により、国内において投資する場合。

外貨管理規制

外貨の借入れ、外貨での支払いなどは「外貨管理条例」「外貨の決済、売却、支払管理規定」などの外貨管理に関する諸規定により制限、管理される。

2011年10月12日、商務部は「クロスボーダー人民元直接投資の関連問題に関する通知」を公布しており、同通知により、外国投資者が合法的に取得した人民元で中国へ直接投資することが認められた。なお、2013年12月3日に商務部が公布した「クロスボーダー人民元直接投資の関連問題に関する公告」により、同告知の実施日である2014年1月1日から、「クロスボーダー人民元直接投資の関連問題に関する通知」は執行を停止されているが、前記直接投資に関する規定の内容は同公告において引き続き規定されている。

根拠規定:

外商投資方向の指導規定、外商投資電信企業管理規定、独占禁止法、外貨管理条例、外国投資者による国内企業の買収に係る安全審査制度の確立に関する通知、外商投資安全審査弁法、クロスボーダー人民元直接投資の関連問題に関する通知、クロスボーダー人民元直接投資の関連問題に関する公告など。