スリランカの貿易と投資(世界貿易投資動向シリーズ)

要旨・ポイント

  • 外貨不足に起因する経済危機により、2022年のスリランカの実質GDP成長率はマイナス7.8%。
  • スリランカ・ルピーの下落や世界的なエネルギー価格上昇などの影響で、コロンボのインフレ率が前年同月比69.8%に達するなど、大幅に物価が上昇。
  • 対内直接投資は、新型コロナ禍からの回復により、前年から37.9%増加したものの依然低調。
  • 日本からスリランカへの輸出額および直接投資額はともに大きく下落。

公開日:2023年11月24日

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マクロ経済 
IMFなどによる支援の下で、経済危機からの脱却を図る

スリランカ経済は、2022年に深刻な経済危機に直面した。燃料価格の上昇やスリランカ・ルピー安に伴い物価が大きく上昇し、2022年9月にはコロンボのインフレ率は前年同月比69.8%に達した。2022年の実質GDP成長率はマイナス7.8%となり、1972年の独立後最大の経済の停滞を迎えた。国内の外貨不足に伴い、海外債権者に対して債務不履行に陥るとともに、中間・資本材の輸入が不足したことから、企業による生産活動の低迷も招いた。

2022年7月以降は、経済の安定化に向けた動きが着実に進行している。物価の上昇は、金融引き締め政策や世界的なエネルギー・食料価格高騰の緩和により、徐々に落ち着きを見せた。2023年9月のコロンボの物価上昇率は1.3%となっている。経済危機の要因となった外貨不足も、スリランカから海外への出稼ぎ労働者の郷里送金や外国人観光客の拡大、輸入規制などを通じ、回復傾向にある。外貨準備高の回復により、2022年夏ごろに顕著だったガソリンスタンドでの長蛇の列が解消され、2023年9月には燃料供給に関する制限も解除された。また、1日10時間を超えることもあった深刻な停電は、2023年2月以降、電気料金の大幅な引き上げとともに解消に向かった。

スリランカ政府は、IMFや世界銀行、アジア開発銀行(ADB)など国際機関からの支援を通じて経済再建を目指している。2023年3月のIMFによる金融支援の承認が契機となり、下落していたスリランカ・ルピーの為替レートは若干回復した。IMFの支援の確保に当たり、スリランカ政府は国内外債権者への債務再編を通じ財政の持続性の回復に取り組んでいる。併せて、税制改革や国有企業の売却、腐敗防止等によりガバナンス強化を図っている。

貿易 
貿易赤字幅が縮小

スリランカでは深刻な外貨不足により、2022年4月以降に対外債務の返済の停止や、1,000を超す品目に対する輸入制限などの措置を課した上で、限られた外貨を原油やガス、医薬品などの必需品や輸出産業向けの資材の輸入に充当した。

2022年の貿易(通関ベース)は、輸出が前年比4.9%増の131億640万ドル、輸入は11.4%減の182億9,100万ドルとなった。貿易収支は51億8,460万ドルの赤字となり、2010年以降で最少の赤字額となった。GDPに占める貿易赤字の割合は、2021年の9.2%に対し、2022年は6.7%に縮小した。貿易赤字の縮小は、外貨不足や国内需要の低迷、輸入規制による輸入の減少と、対ドルのスリランカ・ルピー安による輸出の増加が主な要因である。

スリランカの経済構造をみると、財の輸出競争力が高くない中、慢性的な経常収支赤字が続いている。単価が一般的に低い繊維製品・衣料品(2022年の構成比45.4%)や茶(9.6%)が輸出の主力品になる一方、単価が高い機械・機器の輸入ウエートが大きい(10.8%)ために、必然的に貿易赤字を計上する構造となっている。加えて、燃料の輸入構成比が2022年で26.8%と高い点は、石油・天燃ガスや石炭などの市況が上昇した場合、さらなる貿易赤字の拡大を招くことになる。

輸出を品目別にみると、海外市場における衣料品の需要拡大により、輸出総額の45.4%を占める繊維・衣料品の輸出額が9.5%増加した。他方、2021年に実施した化学肥料の輸入禁止の影響により、茶やココナッツなどの農産物の輸出額は減少した。

輸入を品目別にみると、世界的な原油価格の上昇の影響を受け、中間財のうち燃料の輸入額のみが拡大した。中間財全体での2022年の輸入額は前年比1.1%増の124億3,880万ドルとなった。消費財に関しては、特にその他消費財の輸入額が44.8%減の12億510万ドルと大幅に減少した。医薬品の輸入額は、新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)の収束に伴い、ワクチンへの支出が減少したため、39.6%減の5億3,340万ドルと大幅に減少した。

表1-1 スリランカの主要品目別輸出(FOB)[通関ベース](単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
品目 2021年 2022年
金額 金額 構成比 伸び率
農産品 2,730 2,568 19.6 △ 5.9
階層レベル2の項目 1,324 1,259 9.6 △ 5.0
階層レベル2の項目ゴム 42 41 0.3 △ 1.9
階層レベル2の項目ココナッツ 425 400 3.1 △ 5.9
階層レベル2の項目香辛料 455 369 2.8 △ 18.9
階層レベル2の項目野菜 29 27 0.2 △ 6.3
階層レベル2の項目未加工たばこ 32 24 0.2 △ 22.8
階層レベル2の項目その他農産品 149 179 1.4 20.2
階層レベル2の項目海産品 274 269 2.1 △ 1.9
工業製品 9,702 10,465 79.8 7.9
階層レベル2の項目食品・飲料・たばこ 587 520 4.0 △ 11.5
階層レベル2の項目繊維製品・衣料品 5,435 5,952 45.4 9.5
階層レベル2の項目ゴム製品 1,050 977 7.5 △ 7.0
階層レベル2の項目宝石・ダイヤモンド・宝飾品類 277 451 3.4 62.8
階層レベル2の項目機械・機器 501 581 4.4 16.0
階層レベル2の項目木材・紙製品 130 137 1.0 5.4
階層レベル2の項目石油製品 506 568 4.3 12.2
階層レベル2の項目ケミカル製品 223 224 1.7 0.1
階層レベル2の項目卑金属および物品 156 177 1.3 13.0
階層レベル2の項目動物飼料 149 171 1.3 14.1
階層レベル2の項目その他工業製品 687 710 5.4 3.3
鉱業品 45 50 0.4 12.4
その他 23 23 0.2 2.7
合計 12,499 13,106 100.0 4.9

〔注〕2022年は暫定値。
〔出所〕スリランカ中央銀行「Annual Report 2022」を基にジェトロ作成

表1-2 スリランカの主要品目別輸入(CIF)[通関ベース](単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
品目 2021年 2022年
金額 金額 構成比 伸び率
消費財 3,849 2,813 15.4 △ 26.9
食料品・飲料品 1,667 1,608 8.8 △ 3.5
階層レベル2の項目 73 293 1.6 300.7
階層レベル2の項目砂糖・菓子類 289 258 1.4 △ 10.7
階層レベル2の項目乳製品 318 225 1.2 △ 29.1
階層レベル2の項目レンズ豆 143 117 0.6 △ 18.3
階層レベル2の項目ココナッツオイル 166 27 0.1 △ 83.6
階層レベル2の項目その他 678 688 3.8 1.5
その他消費財 2,182 1,205 6.6 △ 44.8
階層レベル2の項目通信機器 383 69 0.4 △ 82.0
階層レベル2の項目医薬品 883 533 2.9 △ 39.6
階層レベル2の項目家庭用品 257 86 0.5 △ 66.7
階層レベル2の項目衣類・アクセサリー 221 216 1.2 △ 2.6
階層レベル2の項目家庭用品・家具 161 116 0.6 △ 27.9
階層レベル2の項目その他 277 185 1.0 △ 33.1
中間財 12,309 12,439 68.0 1.1
階層レベル2の項目燃料 3,743 4,897 26.8 30.8
階層レベル2の項目繊維製品 3,067 3,065 16.8 △ 0.1
階層レベル2の項目ベースメタル 866 323 1.8 △ 62.7
階層レベル2の項目化学製品 1,074 966 5.3 △ 10.1
階層レベル2の項目紙・板紙およびその製品 469 466 2.5 △ 0.6
階層レベル2の項目プラスチックおよびその製品 766 651 3.6 △ 15.0
階層レベル2の項目ゴムおよびその成形品 401 335 1.8 △ 16.5
階層レベル2の項目その他中間財 1,923 1,736 9.5 △ 9.7
資本財 4,463 3,031 16.6 △ 32.1
階層レベル2の項目機械・機器 2,810 1,969 10.8 △ 29.9
階層レベル2の項目建設資材 1,249 926 5.1 △ 25.8
階層レベル2の項目輸送機器 399 132 0.7 △ 66.9
階層レベル2の項目その他資本財 6 3 0.0 △ 48.3
その他 17 9 0.0 △ 48.5
合計 20,637 18,291 100.0 △ 11.4

〔注〕2022年は暫定値。
〔出所〕スリランカ中央銀行「Annual Report 2022」を基にジェトロ作成

表2-1 スリランカの主要国・地域別輸出(FOB)[通関ベース](単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
国・地域 2021年 2022年
金額 金額 構成比 伸び率
アジア・大洋州 1,427 1,348 10.3 △ 5.5
階層レベル2の項目日本 227 231 1.8 1.8
階層レベル2の項目中国 277 255 1.9 △ 7.9
階層レベル2の項目オーストラリア 260 256 2.0 △ 1.5
SAARC 1,259 1,259 9.6 0.0
階層レベル2の項目インド 829 860 6.6 3.7
欧州 2,967 3,035 23.2 2.3
階層レベル2の項目EU27 2,029 2,072 15.8 2.1
階層レベル2の項目英国 938 963 7.3 2.7
中東 1,185 1,159 8.8 △ 2.2
階層レベル2の項目アラブ首長国連邦(UAE) 287 355 2.7 23.7
北米 3,424 3,682 28.1 7.5
階層レベル2の項目米国 3,108 3,321 25.3 6.9
階層レベル2の項目カナダ 316 361 2.8 14.2
合計(その他含む) 12,499 13,106 100.0 4.9

〔注〕(1)2022年度は暫定値。
(2)アジア大洋州は、ASEAN+6(日本、中国、韓国、オーストラリア、
ニュージーランド、インド)に香港、台湾を加えた合計値。
(3)アジア大洋州は、中国、日本、オーストラリア、香港、インドネシア、
マレーシア、シンガポール、韓国、台湾、タイ、ベトナム
(4)SAARC(南アジア地域協力連合)は、インド、パキスタン、バングラデシュ、
スリランカ、ネパール、モルディブ、アフガニスタン、ブータン
(5)中東はアラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、イラン、イラク、イスラエル、
ヨルダン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、シリア、トルコ、イエメン
(6)北米は米国、カナダ
〔出所〕スリランカ中央銀行「Annual Report 2022」

表2-2 スリランカの主要国・地域別輸入(CIF)[通関ベース](単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
国・地域 2021年 2022年
金額 金額 構成比 伸び率
アジア大洋州 9,367 6,910 37.8 △ 26.2
階層レベル2の項目日本 419 252 1.4 △ 39.9
階層レベル2の項目中国 4,756 3,285 18.0 △ 30.9
階層レベル2の項目シンガポール 792 871 4.8 10.0
階層レベル2の項目マレーシア 803 969 5.3 20.7
階層レベル2の項目タイ 398 293 1.6 △ 26.4
階層レベル2の項目インドネシア 470 343 1.9 △ 27.0
SAARC 5,323 5,319 29.1 △ 0.1
階層レベル2の項目インド 4,625 4,738 25.9 2.4
階層レベル2の項目パキスタン 394 342 1.9 △ 13.2
欧州 1,479 1,241 6.8 △ 16.1
階層レベル2の項目EU27 1,242 1,047 5.7 △ 15.7
階層レベル2の項目英国 237 194 1.1 △ 18.1
中東 2,243 1,254 6.9 △ 44.1
階層レベル2の項目アラブ首長国連邦(UAE) 1,413 666 3.6 △ 52.9
北米 630 480 2.6 △ 23.8
階層レベル2の項目米国 511 378 2.1 △ 26.0
合計(その他含む) 20,637 18,291 100.0 △ 11.4

〔注〕(1)2022年度は暫定値。
(2)アジア大洋州は、ASEAN+6(日本、中国、韓国、オーストラリア、
ニュージーランド、インド)に香港、台湾を加えた合計値。
(3)アジア大洋州は、中国、日本、オーストラリア、香港、インドネシア、
マレーシア、シンガポール、韓国、台湾、タイ、ベトナム
(4)SAARC(南アジア地域協力連合)は、インド、パキスタン、バングラデシュ、
スリランカ、ネパール、モルディブ、アフガニスタン、ブータン
(5)中東はアラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、イラン、イラク、イスラエル、
ヨルダン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、シリア、トルコ、イエメン
(6)北米は米国、カナダ
〔出所〕スリランカ中央銀行「Annual Report 2022」

通商政策 
アジア諸国への積極的なFTAの拡大へとかじを切る

スリランカはこれまでに、インド、パキスタン、シンガポールとの間で二国間の自由貿易協定(FTA)を締結している。

スリランカ政府は国内経済を強化するべく、戦略的に重要な東アジア地域とのFTA交渉を進めている。南西アジア地域の主要な海路・航路上に位置する同国の地理的特性を生かした輸出および輸出を目的とした海外直接投資誘致を強化するためである。

2023年7月には、東南アジアや東アジアの市場へのアクセス向上を図るため、地域的な包括的経済連携(RCEP)への加入意向表明書をASEAN事務局に提出した。

中国との間では、2014年にFTA交渉を開始し、2017年までに5回の協議を実施したが、締結には至らず交渉が停滞している。スリランカ政府の意向としては、今後改めて再開を図る予定だ。新型コロナ禍とスリランカ側の関連機関の再編などが原因で、2018年以降FTA締結に向けた交渉が途絶えていたタイとは、2023年1月に交渉を再開した。2024年2月には、タイ・スリランカFTAへの署名を予定している。また、シンガポールとの間では、2018年にシンガポール・スリランカFTAが発効していたものの、野党や労働組合などが「スリランカに対して利益をもたらさない」といった理由で反対していたため、履行されていなかった。スリランカ政府内では、FTAの履行に向けて障害となっている条項を解消するため、2022年11月に検討作業に着手した。

また、一部品目に係る優遇措置を行う2国間特恵貿易協定(PTA)の拡大も進めており、インドネシアとの交渉開始を2023年7月に閣議決定したほか、バングラデシュとの間でも交渉を進めている。

対内直接投資 
スリランカへの対内直接投資は伸び悩み

2022年のスリランカへの対内直接投資(FDI)は、新型コロナ禍からの回復もあり、前年比37.9%増の10億7,563万4,000ドルとなった。項目別では、インフラ関連への投資額が全体の53.6%、製造業が37.0%、サービス業が9.4%となった。国別では、米国からの投資額が最も多く2億2,050万7,000ドル、次いでインドから1億5,486万2,000ドル、英国から1億555万,4000ドルとなった。「一帯一路」に絡んだ投資を進めるなど存在感を高める中国からの投資は6,343万6,000ドルにとどまった。中国は政府系企業を中心にスリランカとの関係を強め、インフラをはじめとする各種投資を実行してきた。だが、2019年以降、中国はシェアを落としてきている。

長期的にみれば、スリランカへの投資は近年伸び悩んでいる。関連省庁からの投資にかかる承認手続きに時間を要することや、現地で調達可能な資材不足などが停滞の主な要因である。加えて、2022年には対外的な債務不履行が国際的な信用低下をもたらすとともに、対ドルでの急激なルピー安とスリランカ中央銀行の金融引き締め政策により、大幅な投資コスト上昇をもたらした。また、同国の燃料不足や停電などは、企業の経営に深刻な影響を及ぼした。

他方、スリランカ政府は、戦略的な立地や教育水準の高さ、港湾などのインフラ設備や生活水準の高さ、低い賃金などを投資誘致の魅力として推進している。ジェトロが2022年に実施した投資コスト比較調査によると、スリランカはアジア大洋州地域で最も賃金が低廉な国の一つとなっている。ただし、他国との賃金格差は海外への人材流出につながる要因にもなっており、進出企業にとって人材確保は課題にもなっている。

スリランカ政府は、投資促進に向けて投資委員会(BOI)と輸出促進庁(EDB)、輸出信用保険公社(SLECIC)を一つの投資促進機関として集約することを検討している。またBOIは、事業計画の相談や申請書を受け付けるワンストップ窓口として、2022年10月に「投資円滑化センター(IFC)」を設置し、投資認可にかかるリードタイムの短縮化を図っている。

表3 スリランカの国・地域別対内直接投資[国際収支ベース、ネット、フロー](単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
国・地域 2021年 2022年
金額 金額 構成比 伸び率
アジア大洋州 395 385 35.8 △ 2.6
階層レベル2の項目日本 17 9 0.9 △ 44.3
階層レベル2の項目中国 76 63 5.9 △ 17.0
階層レベル2の項目香港 46 10 0.9 △ 78.5
階層レベル2の項目マレーシア 44 91 8.4 106.0
階層レベル2の項目シンガポール 21 40 3.7 90.2
階層レベル2の項目タイ 4 1 0.1 △ 82.6
階層レベル2の項目インド 161 155 14.4 △ 3.6
階層レベル2の項目オーストラリア 17 7 0.6 △ 59.2
欧州 330 334 31.1 1.1
階層レベル2の項目EU27 179 228 21.2 27.2
階層レベル2の項目英国 151 106 9.8 △ 30.0
中東 3 3 0.2 △ 12.0
階層レベル2の項目アラブ首長国連邦(UAE) 2 1 0.1 △ 69.2
北米 33 221 20.5 560.9
階層レベル2の項目米国 33 221 20.5 560.7
階層レベル2の項目カナダ 0 0 0.0
合計(その他含む) 780 1,076 100.0 37.9

〔注〕(1)BOI法に基づく認可案件。
(2)アジア大洋州は、日本、中国、香港、台湾、韓国、マレーシア、シンガポール、タイ、インドネシア、インド、モルディブ、オーストラリア、ニュージーランド
(3)EUはオランダ、イギリス、スウェーデン、ルクセンブルク、スイス、ベルギー、 ドイツ、マルタ、ノルウェー、フランス、イタリア、スペイン、ブルガリア
(4)中東はアラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビア、ヨルダン、オマーン
(5)北米は米国、カナダ
〔出所〕スリランカ投資委員会(BOI)

表4 スリランカの業種別対内直接投資[国際収支ベース、ネット、フロー](単位:100万ドル、%)
項目 2021年 2022年
金額 金額 構成比 伸び率
製造業 223 398 37.0 78.5
階層レベル2の項目食品・飲料・たばこ 9 7 0.6 △ 20.9
階層レベル2の項目繊維・衣料・皮革製品 102 138 12.9 36.2
階層レベル2の項目木材・木材製品 10 4 0.4 △ 59.4
階層レベル2の項目紙・紙製品、印刷・出版 1 2 0.2 82.2
階層レベル2の項目化学・石油・石炭・ゴム・プラスチック製品 68 208 19.3 203.7
階層レベル2の項目非金属鉱物製品 5 2 0.1 △ 67.1
階層レベル2の項目金属加工・機械・輸送機械 7 6 0.6 △ 7.8
階層レベル2の項目その他製造業 23 32 3.0 40.0
農業 1 0 0.0
サービス業 123 101 9.4 △ 17.9
階層レベル2の項目ホテル・レストラン 70 54 5.0 △ 22.9
階層レベル2の項目IT、ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO) 44 7 0.6 △ 84.7
階層レベル2の項目その他サービス 9 41 3.8 331.7
インフラ関連 434 576 53.6 32.9
階層レベル2の項目住宅物件開発・店舗・オフィス 202 193 17.9 △ 4.4
階層レベル2の項目電話・通信ネットワーク 223 350 32.5 56.8
階層レベル2の項目発電、燃料、ガス、石油、その他 1 2 0.1 12.4
階層レベル2の項目港湾コンテナターミナル 7 32 3.0 330.6
合計(その他含む) 780 1,076 100.0 37.9

〔注〕 BOI法に基づく認可案件。
〔出所〕スリランカ中央銀行「Annual Report 2022」

対日関係 
輸入制限措置の影響により、日本との貿易に大きな打撃

2022年の日本とスリランカの貿易は、スリランカによる非必需品に対する輸入制限により、日本からの輸出額は前年比39.9%減の2億5,200万ドルに減少した。スリランカにとって日本は14位の輸入先である。外貨不足に悩むスリランカでは、自動車やバイクの輸入禁止措置が2020年から続いている。自動車やバイクの輸入が禁止される以前で内需が旺盛だった2018年には、日本からの輸出額が15億8,500万ドルに達していたが、減少が顕著になっている。スリランカへの主な輸出品は電気・電子製品、合成ゴム、自動車・部品、プラスチックおよびその製品、卑金属製品(鉄・アルミニウム・銅など)、織物、ニット製品、化学製品、有機化学製品だった。2022年のスリランカから日本への輸出額は前年比1.8%増の2億3,100万ドルで、日本は13位の輸出先である。主な日本への輸出品は茶、動物飼料、エビ・エビ類、ココピート(ヤシから作る土壌改良剤)、繊維髄・成型品、ティーパケット、工業用・手術用ゴム手袋、アウターウエア、電気・電子製品、クレープゴムだった。

日本からスリランカへの投資も低調である。2022年の日本からのFDIは前年比44.3%減の942万ドルで、国別では15位にとどまった。ジェトロ・コロンボ事務所は2022年7月、スリランカに拠点を置く日系企業74社を対象に、直面する課題に関する調査をスリランカ日本商工会と共同で実施した。指摘された主な課題としては、輸入制限や外国送金に関する制限などの規制措置が突然導入されること、税制や契約の突然の変更、税負担の拡大、人件費の上昇、柔軟性に欠ける労働法制や労働組合、労働供給地の偏り、政府からの支払いの遅れ、投資インセンティブの弱さ、ビザ取得手続きの複雑さ、関係省庁からの許認可取得に時間を要することなどが挙げられた。

基礎的経済指標

人口
2,218万人 (2022年、暫定値)
面積
6万5,610平方キロメートル(2022年)
1人当たりGDP
3,362米ドル (2022年)
(△はマイナス値)
項目 単位 2020年 2021年 2022年
実質GDP成長率 (%) △4.6 3.5 △7.8
消費者物価上昇率 (%) 6.2 7.0 50.4
失業率 (%) 5.5 5.1 4.7
貿易収支 (100万米ドル) △6,008 △8,139 △5,184.6
経常収支 (100万米ドル) △1,187 △3,284 △1,453
外貨準備高(グロス) (100万米ドル) 5,257 2,962
対外債務残高(グロス) (100万米ドル) 49,041 51,775 49,678
為替レート (1米ドルにつき、スリランカ・ルピー、期中平均) 185.59 198.76

注:
貿易収支:通関ベース
出所:
人口、面積、実質GDP成長率、消費者物価上昇率、失業率、貿易収支、経常収支:スリランカ中央銀行「Annual Report 2022」
1人当たりGDP、外貨準備高(グロス)、為替レート:IMF
対外債務残高(グロス):スリランカ中央銀行「Quarterly External Debt Statistics as at End Quarter (2012 4Q to Latest)」