WTO・他協定加盟状況

最終更新日:2023年12月15日

協定加盟状況に関しては、投資貿易産業省(MITI)が管轄しており、同省のウェブサイトで直近の情報が入手可能である。なお、2023年4月12日より、MITIは、国際貿易産業省(Ministry of International Trade and Industry)から投資貿易産業省(Ministry of Investment, Trade and Industry)に名称が変更された。

投資貿易産業省(Ministry of Investment, Trade and Industry:MITI外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

世界貿易機関(WTO)

1995年1月1日加盟(GATT加盟は1957年10月24日)

アジア太平洋経済協力会議(APEC)

1989年11月7日加盟

東南アジア諸国連合(ASEAN)

1967年8月8日加盟

ASEAN地域および非ASEAN地域の自由貿易協定(FTA)

  1. ASEAN自由貿易地域(AFTA)の共通実効特恵関税(CEPT)制度に関する協定

    1993年1月1日に発効。本協定に基づき、ASEAN諸国で生産され、他のASEAN諸国によって輸入されるすべての工業製品には、合意された特恵関税が適用されることになった。
    AFTAには、原加盟国であるインドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイに加え、ブルネイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムの計10カ国が加盟している。

    2008年12月15日には、AFTA加盟国の行動規範である「ASEAN憲章(ASEAN Charter)」が発効した。また、2010年にはASEAN6カ国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ブルネイ)の間で、ごく一部の物品を除き、貿易における完全な自由市場が実現し、2015年には、これにカンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムが加わった。

    CEPTは、ASEAN物品貿易協定(ASEAN Trade In Goods Agreement:ATIGA)が発効したことにより、2010年5月17日をもって、これに置き換えられた。
    マレーシアにおけるサービス・セクターの自由化については、ASEAN枠組み協定の一環として、2009年以降段階的に実施されている。ヘルスケア、観光、通信、教育事業を含むサービス産業の128サブセクターは、2015年末までに自由化される予定であったが、2023年12月現在、自由化されていない。

  2. 地域的な包括的経済連携(RCEP)協定
    ASEAN主導により、ASEAN加盟10カ国に加え、中国、韓国、日本、インド、オーストラリア、ニュージーランドを加えた計16カ国が経済連携を目指すRCEPは、2012年より締結に向けた交渉が進められてきた。
    RCEPは、ルールや手続きが個別に異なる現行の「ASEAN+1カ国」のFTAよりも簡便で、物品・サービス・投資・知的財産・競争などの各分野で、調和のとれた包括的協定を目指している。

    2020年11月15日、ASEAN10カ国(ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)、日本、中国、韓国、豪州およびニュージーランドの計15カ国による、RCEP首脳会議および協定署名式が開催された。日本からは、菅総理大臣とともに出席した梶山経済産業大臣がRCEP協定に署名した。
    当初参加予定だったインドは離脱したが、「RCEPに係る共同首脳声明」および「インドのRCEP参加に係る閣僚宣言」が同日に発出され、地域において重要な役割を果たすインドに対して、RCEPが引き続き開かれていることが具体化・明確化された。
    その後、2021年11月2日にオーストラリア、ニュージーランドの両国がRCEP協定を批准し、RCEP協定の発効要件が充足された。これにより、RCEP協定は2022年1月1日に発効した。
    マレーシアは、2022年1月17日に批准手続きを終え、3月18日に発効した。
    RCEP協定は、加盟15カ国で、世界のGDP、貿易総額および人口の約3割を占める広域な経済連携協定である。RCEPにより、地域の貿易・投資の促進およびサプライチェーンの効率化に向けて、市場アクセスが改善され、発展段階や制度の異なる多様な国々の間で知的財産、電子商取引などの幅広い分野のルールの構築が期待される。

  3. オーストラリアおよびニュージーランド(ASEAN‐オーストラリア・ニュージーランド自由貿易協定:AANZFTA)
    2009年2月27日、ASEAN(東南アジア諸国連合)10カ国とオーストラリア、ニュージーランドの間で、自由貿易協定(AANZFTA)が調印された。同協定は、ASEANが締結したFTAあるいはEPAの中では最も包括的なもので、物品・サービス・投資・知的財産権などを含み、加盟12カ国で計6億人規模に達する自由貿易地域である。2009年8月15日にタイのバンコクで行われたASEAN経済相とオーストラリア・ニュージーランドとの協議に基づき、2010年1月1日に発効した。
    2022年11月13日、第40回・第41回ASEAN首脳会議において、ASEANとオーストラリア・ニュージーランドは、2020年9月から行われていたAANZFTAのアップグレードの交渉について実質的に妥結されたことを公表した。透明性の向上、輸出入にかかる費用と時間の削減、貿易に関する技術的なソリューションの利用、デジタル技術、持続可能な開発、教育サービス分野における協力、政府調達を含む経済活動への零細・中小企業の参加の拡大、危機発生時における必要物資の円滑な流通等の内容が盛り込まれている。2023年8月21日の第28回ASEAN経済相経済緊密化協定会合において、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、シンガポール、オーストラリアおよびニュージーランドの経済相は、これらアップグレードに関する第2議定書に署名した。
  4. 中国(ASEAN‐中国FTA:ACFTA)
    2008年6月30日、ASEANと中国との間で、アーリー・ハーベスト・プログラムおよび包括的経済協力の枠組み協定に基づく物品令、すなわち「2008年関税令」が発効した。2009年8月15日、タイで行われたASEAN経済相とMOFCOM(中国)との第8回の協議では、ASEAN・中国間の自由貿易区投資協定が締結され、ASEAN・中国FTAが完成した。これにより、人口17億人、GDP2兆ドルという新たな市場が形成された。2015年11月22日、ASEAN・中国間でさらに経済協力の強化と充実を図るため、枠組み協定の修正に関するプロトコールが調印された。
    2022年11月11日に開催された第25回ASEAN中国首脳会議において、ASEANと中国は、ACFTAのアップグレード版、いわゆる「ACFTA3.0」に向けた交渉を開始すると公表した。2023年6月24日から27日にかけて第3回交渉が実施された。ACFTA3.0には、デジタル経済、グリーン経済、サプライチェーン、消費者保護、零細・中小企業等の分野に関する内容が盛り込まれている。中国とASEANは2024年内に交渉を妥結することを目標としている。
  5. 香港(ASEAN‐香港(中国)FTA:AHKFTA)
    2013年3月8日、ベトナムのハノイで行われた第19回ASEAN経済相会議において、ASEAN諸国は香港との自由貿易協定の締結を目指すことで合意し、2014年7月より、香港との間で交渉が開始された。また、それと並行して、香港との間で自由投資協定(AHKFIA)の交渉も行われることとなった。自由貿易交渉と自由投資協定の双方について、これまでにそれぞれ9回の交渉が行われ、2017年11月の第31回ASEANサミットにおいて、両協定の調印がなされた。マレーシアにとって主要輸出先である香港とのAHKFTAの締結は、中国が押し進める一帯一路の広域経済圏構想とも相まって、マレーシアの香港向け輸出を増大させるものとみられている。2019年6月11日に香港、ラオス、ミャンマー、シンガポール、タイ、ベトナムで発効。マレーシアでは、2019年10月13日に発効した。
  6. インド(ASEAN‐インドFTA:AIFTA)
    2009年8月13日、タイのバンコクで開催されたASEAN経済相とインドとの協議により、ASEAN・インド物品貿易協定(ASEAN-India Trade in Goods Agreement)が締結され、2010年1月1日に発効した。マレーシアから輸出される物品の約80%について、2016年末までにインド側の関税が撤廃された。なお、サービス貿易と投資については、ASEAN6カ国(ブルネイ、マレーシア、ミャンマー、シンガポール、タイ、ベトナム)とインドの間で、2015年7月1日にまず発効し、その後サービス投資については2015年9月15日にラオスで、2016年12月6日にはフィリピンで、投資については2016年3月17日にフィリピンで、それぞれ発効した。
  7. 日本(ASEAN‐日本FTA:AJCEP)
    AJCEPは、ASEAN諸国と日本の間でのさらなる貿易・投資連携強化を目指す。2008年4月、日本はASEAN側のすべての国との署名を終えた。2015年には、ASEAN-6と呼ばれるブルネイ、インドネシア、フィリピン、シンガポール、タイ、マレーシアと日本との間で、センシティブ品目を除く、ほとんどの物品で関税が撤廃された。マレーシアは、ノーマル・トラックの93.57%の関税を撤廃している。また、金融、通信、自然人の移動の自由化を含むサービス貿易および投資に関する合意についても妥結しており、調印を目指し法的文書化が進められている。
  8. 韓国(ASEAN‐韓国FTA:AKFTA)
    2009年6月2日、韓国チェジュ島においてASEAN韓国投資協定が調印され、ASEAN‐韓国包括的経済協力枠組み協定が完成した。また、2009年3月13日には、ASEANとの貿易拡大や文化交流などを支援するASEAN韓国センターがソウルに設立され、同年8月15日にバンコクで開催されたASEAN経済相-韓国協議では、相互の貿易・投資の拡大に向けた議論が交わされた。韓国は、マレーシアを含むASEAN6との間では2012年までに、ベトナムとは2018年までに、カンボジア、ラオス、ミャンマーとは2020年までに、ほとんどの物品で相互に関税を撤廃した。また通関手続き、人材育成、観光などのサービス・投資面においても、一定の期限内に自由化が実行されることになっている。
  9. EU(ASEAN‐EU FTA:AEUFTA)
    2003年4月、EU‐ASEAN間の貿易・投資拡大のための枠組みである「EU‐ASEAN地域間貿易イニシアチブ(TREATI:-Trans Regional EU-ASEAN Trade Initiative)」が合意された。これを受けて、両地域メンバーによる共同委員会が設けられ、AEUFTA締結に向けた交渉が開始されたが、2012年以降交渉が中断している。
  10. TPP(環太平洋戦略的経済連携協定:Trans-Pacific Partnership Agreement
    環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)は、2015年10月、ニュージーランド、チリ、シンガポール、ブルネイ、米国、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシア、メキシコ、カナダ、日本の12カ国で大筋合意し、2016年2月4日、ニュージーランドにおいて、12カ国の担当閣僚らが同協定に署名した。日本とニュージーランドは、それぞれ国内手続きを完了したが、米国は2017年1月、トランプ大統領がTPPからの離脱を表明した。2017年11月、米国を除く参加11カ国は、ベトナムのダナンにおいて、一部項目に関する実施凍結と高水準の包括的内容の維持について合意し、2018年3月8日には、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定閣僚声明」が表明され、11カ国の閣僚がTPP11協定の署名を行った。TPP協定は"Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership(CPTPP)"、「包括的かつ先進的TPP協定」に改められ、11カ国のうち6カ国が国内の批准手続きを終えることで発効することになった。
    日本は2018年7月6日に、協定の寄託国であるニュージーランドに対し、国内手続きの完了を報告した。その後、2018年10月31日にオーストラリアが6カ国目の国内手続きを完了し、TPP11協定が2018年12月30日に発効した。
    マレーシアは、2022年9月30日に寄託国であるニュージーランドに対し、国内手続きの完了を報告し、9番目の批准国となった。これにより、CPTPPは2022年11月29日にマレーシアで発効した。CPTPPの批准・発効により、2033年1月1日までにマレーシアからの輸出に対するCPTPP加盟国の関税がほぼ100%撤廃される。
    CPTPPは、2023年12月現在、英国が加入手続きを進めているほか、中国、台湾、エクアドル、コスタリカ、ウルグアイおよびウクライナが正式に参加を申請している。英国は、2023年3月31日に加盟交渉を終了し、同年7月16日に議定書に署名した。英国での発効は2024年後半に実現すると予想されている。

二国間協定

マレーシアは、現在、日本、パキスタン、ニュージーランド、チリ、インド、オーストラリア、トルコとの間で、それぞれ二国間FTA協定を締結しており、イラン、EU、欧州自由貿易連合(アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、スイスの4カ国)とも協議している。2019年6月27日には、韓国との二国間FTAの交渉を開始したとMITIが発表している。また、2023年5月23日には、アラブ首長国連邦(UAE)と包括的経済連携協定(CEPA)の交渉を開始することで合意した。

協定締結済み
  1. 日本(日本‐マレーシア経済連携協定:JMEPA)

    2005年12月13日にJMEPAが調印され、2006年7月13日に発効した。これはマレーシアが締結した最初の二国間経済連携協定であり、日本にとってもマレーシアは、シンガポール、メキシコに次ぐ3番目のFTAパートナーである。すべての農産物および工業製品の関税は、2016年末までに、漸進的に引き下げられるか撤廃された。

    例えばマレーシアは、エンジン排気量2,000cc以上の完成乗用車の関税を2010年までに撤廃し、2,000ccを下回る排気量の完成乗用車の関税についても2016年までに撤廃した。また、マレーシアで組み立てを行っている日本の自動車メーカー向けの組み立て用部品の関税も撤廃された。

    マレーシアの関税減免実行表(投資貿易産業省):Malaysia - Schedule of Tariff Commitments-JADUAL KEDUA/SECOND SCHEDULEPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.82MB)

    農産物については、日本はマレーシアから輸入されるマンゴー、マンゴスチン、ドリアン、パパイヤ、ランブータンなどの熱帯果実類に対する関税を撤廃している。

  2. パキスタン(マレーシア‐パキスタンFTA:MPFTA)
    2005年4月18日に開始されたパキスタンとのFTA交渉では、物およびサービスの貿易、投資、経済協力活動の自由化が対象とされた。2006年1月1日には、114品目についてマレーシア側で関税を先行して引き下げるアーリー・ハーベストが開始され、2007年12月31日に終了した。MPFTAは2008年1月1日に発効し、マレーシア・パキスタン両国は、5年ごとに見直すことで合意している。
  3. オーストラリア(マレーシア‐オーストラリアFTA)
    2012年5月22日、マレーシアとオーストラリア間でFTAが締結され、批准手続きを経て、2013年1月1日に発効した。物品・サービス・投資の各方面で進められた自由化により、マレーシアのオーストラリア向け輸出においては、FTAの発効と同時に100%の物品について関税撤廃が実行され、さらに民間病院、マレーのマッサージやアーユルベーダ、漢方などの伝統的な医療サービスについても、100%マレーシア資本の事業者のオーストラリアへの市場参入が認められることになった。教育・通信・金融分野でも、70~100%のオーストラリア資本保有が認められることになった。
  4. ニュージーランド(マレーシア‐ニュージーランドFTA:MNZFTA)
    両国の貿易相により、2009年10月26日にMNZFTAが締結され、2010年8月1日に発効した。これは、2010年1月1日に発効したASEANとオーストラリア・ニュージーランドとの間の自由貿易協定であるAANZFTAより、さらに貿易促進の効果があるものと期待されている。2016年1月1日より、マレーシアから輸出されるすべての物品について、ニュージーランド側の関税は撤廃された。
  5. チリ(マレーシア‐チリFTA)
    2010年11月13日、マレーシアとチリとの間のFTAが横浜において調印された。これを受け、マレーシアでは2012年2月25日、関税(マレーシア-チリ物品に関する自由貿易協定)令であるCustoms Duties (Goods under the Free Trade Agreement Malaysia - Chile) Order 2012が発効した。
  6. インド(マレーシア‐インド包括的経済協力協定:MICECA)
    2011年2月18日、マレーシアとインドの間でCECAへの調印がなされ、2011年7月1日に発効した。また同日付で、関税(マレーシア・インド包括的経済協力協定に基づく物品)令であるCustoms Duties order 2011、すなわちGoods under the Malaysia-India Comprehensive Economic Cooperation Agreementも施行されることとなった。
  7. トルコ(マレーシア‐トルコ自由貿易協定:MTFTA)
    2015年8月1日、マレーシアとトルコとの間でMTFTAが発効。これにより70%のタリフラインについて関税が即時撤廃され、以降8年間で、タリフラインの86%について関税が軽減・撤廃されることになった。
    マレーシアとトルコの両政府は、2021年7月13日に、サービス、投資、電子商取引に関する内容を協定に含めるために、自由貿易協定の拡大に関する共同宣言に署名。2023年1月1日からは関税減免の対象となる品目を拡大した。
協議中
  1. EU(マレーシア・欧州連合(EU)自由貿易協定:MEUFTA、マレーシア‐EUパートナーシップ協力協定:MEUPCA)
    マレーシアとEU諸国連合は、経済連携・協力を深化させて将来の自由貿易協定締結につなげる第一歩として、2010年7月20日、スイスのジュネーブで共同宣言を行った。
    2010年10月5日、ベルギーのブリュッセルで開催された「第8回東南アジア諸国連合(ASEAN)‐EU会議」に出席したマレーシアのナジブ首相(当時)は、欧州委員会のホセ・マニュエル・バローゾ委員長(当時)とともに、MEUFTAおよびMEUPCAの交渉開始を発表した。2012年9月の交渉後、MEUFTAの交渉は中断している。MEUPCAについては、2015年12月に妥結、2022年12月に署名した。
  2. 欧州自由貿易連合(マレーシア‐EFTAパートナーシップ:MEEPA)
    マレーシアとEU非加盟のアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、スイス4カ国から構成される欧州自由貿易連合は、2014年3月よりパートナーシップ協定の交渉を開始し、2022年10月には13回目となる交渉が行われた。ここでは特に残りの課題である、物品貿易および貿易と持続可能な開発の分野について議論がなされた。
自由貿易協定、関税同盟、特恵貿易協定、その他の貿易協定

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ジェトロ:世界のFTAデータベース