貿易管理制度

最終更新日:2023年12月15日

管轄官庁

投資貿易産業省、税関、マレーシア貿易開発公社(貿易促進機関)

投資貿易産業省(Ministry of Investment, Trade and Industry外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

税関(Royal Malaysian Customs Department外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

Call Centre:603-7806 7200

2013年3月21日、政府機関への問い合わせなどを1カ所で対応する「1 Malaysia One Call Centre」(1MOCC)が設置された。問い合わせ先は次のとおり。

マレーシア政府公式ポータル(The Government of Malaysia’s official Gateway外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
Tel:603-8000 8000
Fax:603-8888 3721
Short Messaging System(SMS):603-8000 8000
X(旧Twitter外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
Facebook外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

マレーシア貿易開発公社(Malaysia External Trade Development Corporation外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

  • 東京事務所
    〒104-0061
    東京都中央区銀座8-14-14 銀座昭和通ビル6階
    Tel:03-3544-0712/3
    Fax:03-3544-0714
    E-mail:tokyo@matrade.gov.my
  • 大阪事務所
    〒530-0001
    大阪市北区梅田 3-4-5毎日インテシオ18階
    Tel:06-6451-6520
    Fax:06-6451-6521
    E-mail:osaka@matrade.gov.my

輸入品目規制

1967年関税法(Customs Act 1967 (CA))に基づき、輸入業者は輸入製品を税関に申告し、課税対象となる場合は関税を支払う。輸入規制は、1.完全に輸入が禁止される品目、2.輸入ライセンスを要する品目、3.保護措置等のために輸入ライセンスを要する品目、4.輸入方法に条件が付される品目、という4分野に分かれる。

2023年4月15日に施行された「2023年関税(輸入禁止)令」により、特定製品の輸入は規制されており、完全に輸入が禁止されるものと条件付きで禁止されるものとに分かれる。
条件付きで輸入が禁止されるものについては、投資貿易産業省などの省庁、国家機関または関係政府部署が発給する輸入ライセンスを取得すれば輸入が許可されるもの(後述の「自動車輸入について」を参照)と、輸入ライセンスは不要であるが、所定の輸入方法を順守しなければ輸入できないもの(後述の「強制適合性検査(Certificate of Approval:COA)制度」を参照)に分かれる。詳細については、次の法令を参照。

税関、政府法令サイト:

自動車輸入について

  1. 自動車輸入における輸入許可証(AP)

    マレーシアで自動車(中古車含む)を輸入するには、輸入許可証(AP)が必要である。

    2009年国家自動車政策(NAP2009)では、フランチャイズAP(特定メーカーの新車に限り輸入を許可)は2020年末日までに段階的に終了し、オープンAP(車種や仕入先などに制限がない輸入許可証)は2015年末日までに終了するとしていた。しかし、2015年12月、投資貿易産業省は、オープンAP制度は自動車産業およびマレーシアの社会経済の発展、特にブミプトラ(マレー系と先住民族の総称)資本の自動車産業への参加に寄与してきたことを理由としてこれを廃止せず、新たにガイドラインを設け、これを完全に順守できるブミプトラ事業者(新規も含め)にライセンスを付与するという政策を発表した。その後、100%ブミプトラ資本の会社を対象として、新たなオープンAP制度が2019年1月1日より実施されている。
    2020年2月に発表された2020年国家自動車政策(NAP 2020)においても、新オープンAP制度の継続が示されている。NAP 2020においては、フランチャイズAPの継続も示唆されており、NAP 2009において示されていた2020年末での終了は実現していない。

    1. 完成車(Completely Built-Up Motor Vehicles:CBU)、もしくはすべての部品を輸入して現地で組み立て・溶接・塗装・仕上げなどを行った自動車(Complete Knocked-Down Motor Vehicles:CKD)に関する現行の輸入税および物品税の詳細については、政府法令サイト:2022年関税令(Customs Duties Order 2022外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(24.9MB))および2022年物品税令(Excise Duties Order 2022外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(1.15MB))を参照。

      参考:
      Malaysian Automotive AssociationDuties & Taxes on Motor VehiclesPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(298KB)

    2. 電気自動車(EV)に関しては、2022年度税制改正により、以下の免税が導入された。
      1. CKD部品の輸入:輸入関税の免税(2022年1月1日から2025年12月31日まで)(2023年度税制改正により2年間延長され、2027年12月31日まで)
      2. CKD車の国内生産:物品税と売上税の免税(2022年1月1日から2025年12月31日まで)(2023年度税制改正により2年間延長され、2027年12月31日まで)
      3. CBU車の輸入:輸入関税と物品税の免税(2022年1月1日から2023年12月31日まで)(2023年度税制改正により2年間延長され、2025年12月31日まで)
    3. 中古車に関しては、2013年12月12日に発効した2013年関税(輸入完成車の価額)(中古)令 / CUSTOMS(VALUES OF IMPORTED COMPLETELY BUILT-UP MOTOR VEHICLES)(USED)ORDER 2013により、関税をかけるべき車両の価額が改定された。詳細については、次のウェブサイトを参照。

      政府法令サイト:2013年関税(輸入完成車の価額)(中古)令PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(706KB)

    4. 新車に関しては、2011年関税(輸入完成車の価額)(新車)(改定)令 / CUSTOMS(VALUES OF IMPORTED COMPLETELY BUILT-UP MOTOR VEHICLES)(NEW)(AMENDMENT)ORDER 2011、および2011年関税(輸入完成車の価額)(新車)(改定)令2号 / CUSTOMS(VALUES OF IMPORTED COMPLETELY BUILT-UP MOTOR VEHICLES)(NEW)(AMENDMENT)ORDER 2011(No.2)により車両価額が改定された。それぞれ、2011年9月20日および同年12月16日に発効している。その後、2013年以降にも改定されており、改定詳細については、次のウェブサイトを参照。

      税関、政府法令サイト:

      なお、日本マレーシア経済連携協定(JMEPA)によって、日本から輸入される自動車には軽減税率が適用される。
      マレーシアの関税減免実行表(MITI):Malaysia - Schedule of Tariff Commitments-JADUAL KEDUA/SECOND SCHEDULEPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.82MB)

  2. 国家自動車政策(National Automotive Policy:NAP)

    マレーシアの自動車振興策としては国家自動車政策(NAP)があり、2014年に発表されたNAP 2014の改訂版として、NAP 2020が2020年2月に発表された。
    NAP 2020の目指す方向性としては、以下の3つの領域が対象となる。

    1. 技術・エンジニアリング
    2. 投資
    3. 市場の拡大

    また、戦略面では、NAP 2020は次の3点を重視する。

    1. バリューチェーンの発展
    2. 人的資本の開発
    3. 安全性、環境、消費者保護

    さらに、NAP2020では、NAP2014において掲げられた主な目的は継承しつつ、次のとおり、新たな目的を追加している。

    NAP 2014の目的
    1. 国産車メーカーを含む、競争力があって持続可能な国内自動車産業の振興と育成。
    2. エコカー生産拠点としてのマレーシアの域内ハブ化。
    3. 高付加価値の生産活動の振興。
    4. 自動車および部品の輸出促進。
    5. ブミプトラ企業の自動車産業界全体への参加促進。
    6. より安全かつ高品質の製品を、競争力ある価格で消費者に提供すること。
    NAP 2020の目的
    1. 次世代車(NxGV)技術のエコシステムを発展させ、マレーシアを次世代車生産の地域ハブとする。
    2. MaaSの分野において、技術開発のみならず交通エコシステム全体を視野に入れ、国内自動車産業の参加を拡大する。
    3. インダストリー4.0の発展に密接に関連する自動車産業において、国内のプレイヤーの新しいパラダイムへの対応を支援する。
    4. 消費者、国内産業および政府を含むエコシステム全体が次世代車の全般的な導入から得る恩恵を、最大化する。
    5. 100km当たり5.3リットル(ガソリン)というASEANにおける燃費のロードマップに歩調を合わせ、燃費レベルの向上により、2025年までに自動車による二酸化炭素排出量を削減する。

    NAP 2014の施行時と同様、NAP 2020の考え方に沿った投資や事業に対しては、税制上の優遇措置を考慮するとしている。なお、詳細は投資貿易産業省(MITI)が2020年2月に発表したマレーシア国家自動車政策(NAP2020)を参照。

    NATIONAL AUTOMOTIVE POLICY (NAP) 2020外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

強制適合性検査証(Certificate of Approval:COA)

COAの取得が必要な品目については、2023年関税(輸入禁止)令の第4表を参照。
政府法令サイト:2023年関税(輸入禁止)令 "Customs (Prohibition of Imports) Order 2023PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(3.3MB)"

鉄鋼製品・アルミ製品等については、粗悪な製品の国内流入を防ぐとの理由から、輸入者は、建設資材については建設業開発庁(Construction Industry Development Board:CIDB)より、製造のための原材料については試験・検査・証明機関であるSIRIM QASより、それぞれCOAまたはCOAを免除する旨のレターを入手することが必要である。

SIRIM QAS:

建設資材のガラス、断熱材、断熱・防音用の鉱物性材料や繊維ガラスの製品、繊維セメント板等については、2014年1月31日よりCOAが必要となった。本件については、CIDBのリスト(The following construction materials need to be certified with COA by CIDB外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を参照。また、ブリキ板(HSコード7210.12.200)についても、2015年8月1日よりCOAが必要となった。

さらに、2023年関税(輸入禁止)令の第4表にある建設資材については、輸入者は、COAの申請を行う前にStandard Compliance Certification Certificate(PPS)を取得する必要があることが、CIDBより2017年5月19日付で発表された。輸入者は、CIDBのウェブページより、PPS番号の申請が可能である。
CIDB:
PPS申請 "Certification of Construction Product & Material(CCPM)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"
COA申請 "ePermit外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

なお、CIDBへのCOA申請手続きは、2017年7月1日より変更となっている。手続きの詳細については、CIDBのウェブサイトよりアクセス可能である。
CIDB:COA申請ガイドライン(Procedures for Importing Construction ProductsPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(2.0MB)

鉄筋用棒鋼、線材・バーインコイル(鉄筋用)については、近年、輸入増加が懸念されたことから、日本を含む40カ国以上からの輸入を対象とするセーフガード関税が、2018年から2020年までの3年間課せられた。税率は年ごとに定められ、1年目の税率は、鉄筋用棒鋼が13.42%、線材・バーインコイル(鉄筋用)が13.90%とされた。詳細については、次のMITIのウェブサイトを参照。
Final Determination Of Safeguard Investigations With Regard To The Imports Of Steel Concrete Reinforcing Bar (Rebar) And Steel Wire Rods & Deformed Bar In Coils (SWR & DBIC) Into Malaysia Under The Safeguards Act 2006PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(243KB)

(参考)2017年税関(セーフガード関税)規則:Customs (Definitive Safeguard Duties) Order 2017PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(395KB)(政府法令サイト)

輸入ライセンス

2016年8月1日施行の2016年関税(輸入禁止)(改定)令(2号)により、2012年関税(輸入禁止)令が一部改正され、次の物品について輸入ライセンスが不要となった。ただし、b, c, dについては、所轄官庁の課す条件に従うものとする。

  1. 救急車、ゴーカートに加え、ゴルフカー、ゴルフバギー、全地形車両(all-terrain vehicles (ATV))、モーター・ホーム
  2. オートバイ用ヘルメット
  3. 中古タイヤ
  4. 小麦粉

政府法令サイト:2016年関税(輸入禁止)(改定)令(2号) "Customs (Prohibition of Imports) (Amendment) (No.2) Order 2016外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

また2017年4月1日付けで、2017年関税(輸入禁止)令が施行された。各品目の輸入条件等の詳細については、2017年関税(輸入禁止)令(Customs (Prohibition of Imports) Order 2017PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(2.48MB))を参照。

2017年8月1日施行の2017年関税(輸入禁止)(改定)令により、鉄鋼製品のうち、熱延鋼板、冷延鋼板、表面処理鋼板、鋼管類については、輸入ライセンスが不要となった。輸入ライセンスが必要な鉄鋼製品のリストについては、AppendixⅠPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(178KB)を参照。AppendixⅠに記載されている品目以外は、輸入ライセンスの取得が不要となり、COAの取得のみが必要となった。

政府法令サイト:2017年関税(輸入禁止)(改定)令 "Customs (Prohibition of Imports) (Amendment) Order 2017PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(406KB)"

2022年1月10日施行の2022年関税(輸入禁止)(改定)令(2号)により、古紙および板紙、ならびに、金属の廃棄物およびスクラップについては、輸入ライセンスが不要となり、COAの取得のみが必要となった。
政府法令サイト:2022年関税(輸入禁止)(改定)令(2号)"Customs (Prohibition of Imports) (Amendment)(No.2)Order 2022外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(718KB)"

2023年4月15日付けで、2023年関税(輸入禁止)令が施行された。各品目の輸入条件等の詳細については、2023年関税(輸入禁止)令(Customs (Prohibition of Imports) Order 2023PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(3.3MB))を参照。

輸入地域規制

インドネシアからの輸入については丸太などの木材で、イスラエルからの輸入については全品、輸入ライセンスが必要である。

輸入関連法

輸入に関する法律には、1967年関税法(Customs Act 1967)、ワシントン条約に基づく絶滅の恐れのある生物を保護するための輸入関連法規、2010年戦略貿易法(Strategic Trade Act 2010)等がある。

輸入に関連する主たる法規は、1967年関税法(Customs Act 1967)である。

また、ワシントン条約に基づく絶滅の恐れのある生物を保護するための輸入関連法規には、次のものがある。

  • 1953年動物保護法(Animals Act 1953
  • 1972年野生保護法(Protection of Wildlife Act 1972
  • 1985年漁業法(Fisheries Act 1985
  • 2008年絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引法(International Trade in Endangered Species Act 2008

輸入ライセンスは、マレーシア検疫所(Malaysian Quarantine & Inspection Services)が発給する。

また、2010年戦略貿易法(Strategic Trade Act 2010)は、兵器および兵器になりうる機器・設備等の輸出・積み替え・通過を規制する法律である。

輸入管理その他

輸入ライセンスを要する品目以外はない。

輸出品目規制

1967年関税法(Customs Act 1967(CA))、および2023年4月15日より施行された2023年関税(輸出禁止)令(Customs (Prohibition of Exports) Order 2023)により、輸出規制は、1.完全に輸出が禁止される品目、2.輸出ライセンスを要する品目、3.輸出方法に条件が付される品目、の3分野に分かれる。

マレーシアからの製品の輸出に関しては、CAに基づく2023年関税(輸出禁止)令によって、特定の製品について規制が実施されている。同令に記載される製品については、完全にまたは条件付きで輸出が禁止されている。特定の製品については、輸出ライセンスなしでは輸出できない。輸出ライセンスは、製品の種類に応じて、投資貿易産業省、マレーシア検疫所など、各省庁、国家機関、または関係する政府部署が発給する。特定の製品に関しては、規定された輸出方法を順守しなければ、マレーシアから輸出することができない。詳細については、次の税関ウェブサイトの法令を参照。

輸出地域規制

輸出に関しては、イスラエル向けの全品目について輸出ライセンスが必要である。

輸出関連法

輸出に関する主たる法律は、1967年関税法(Customs Act 1967)である。

  • 1967年関税法(Customs Act 1967
  • 1977年関税規則(Customs Regulation 1977
  • 1993年相殺関税およびアンチダンピング関税法(Countervailing and Anti-Dumping Duties Act 1993

ワシントン条約に基づく、絶滅の恐れのある生物を保護するための輸出関連法規は次のとおり。輸出ライセンスは、マレーシア検疫所(Malaysian Quarantine & Inspection Services)が発給する。

  • 1953年動物保護法(Animal Act 1953
  • 1972年野生保護法(Protection of Wildlife Act 1972
  • 1985年漁業法(Fisheries Act 1985
  • 2008年 絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引法(International Trade in Endangered Species Act 2008

輸出管理その他

兵器および兵器になりうる機器・設備等の輸出、積み替え、通過を規制するため、2010年戦略貿易法が2010年6月に公布され、2011年7月1日から完全施行された。

国際的義務の遂行と国家安全の観点から、2010年6月に「2010年戦略貿易法(Strategic Trade Act 2010)」が公布された。実際の運用は、2011年1月から段階的に施行が開始され、7月1日から完全施行された。同法は戦略品目、すなわち兵器および兵器になりうる機器・設備等について、その輸出、積み替え、通過を規制するものである。ブローカーも含めて当該品目を扱う者は、MITIに登録し、輸出ライセンスを取得する必要がある。関連法、ガイドライン、戦略品目リストなどについては、投資貿易産業省のウェブサイトを参照。