関税制度

最終更新日:2023年06月30日

管轄官庁

経済省ならびに大蔵公債省

関税率、関税体系などは経済省、税関、徴税などは大蔵公債省(国税庁)。

関税率問い合わせ先

経済省、経済省の関税率検索サイト(詳細参照)

経済省(Secretaría de Economía外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

Tel:+52-55-5229-6100
01-800-0832-666(メキシコ国内のフリー・ダイヤル)

関税率の設定権限は経済省にあり(ただし、大蔵公債省との協議事項)、経済省は、ウェブサイト上で品別・国別の関税率、輸出入を実施している企業名などの情報を無料公開している。

経済省:Sistema de Información Arancelaria vía Internet(SIAVI 5.0)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

関税体系

一般税率、産業分野別生産促進プログラム(PROSEC)優遇関税、各FTA締結国向け税率、ラテンアメリカ統合連合(ALADI)譲許関税率等の複税制

品目分類

HS分類

1988年1月、世界税関機構(WCO)が定める「商品の名称と分類についての統一システム」に関する国際条約に基づくHSコードを採用。2007年7月1日、関税分類がHS2002年版基準からHS2007年版基準に変更され、2012年7月1日にはHS2007年版基準からHS2012版基準に変更された。HS2017に準拠した新輸出入一般関税法が2020年7月1日に公布され、同年12月28日から適用となった。関税分類のバージョンを世界税関機構(WCO)が定めたHS2017年版に改定し、同時にNICOと名付けた2桁細分コードが追加された。輸出入申告で適用するHSコードは合計10桁となった(2020年11月19日付ジェトロの記事「2020年末から適用される新関税率表を発表、HSコードが合計10桁に」参照)。2022年6月7日、HS2022に準拠した新輸出入一般関税法が連邦官報で公布され、関連規則の策定と公布を経て、2022年12月12日に発行された(2022年12月7日付ジェトロの記事「12月12日以降は2022年版HSコードで輸出入申告を」参照)。

関税の種類

従価税、特定品目については従量税

課税基準

CIF価格

対日輸入適用税率

日本メキシコ経済連携協定(日墨EPA)に基づく特恵関税率、あるいはCPTPP(TPP11)に基づく特恵関税率。ただし、日墨EPAやTPP11の原産地規則を満たさないもの、原産地証明書の提示がないものにはMFN(最恵国)関税率(一般関税率)が賦課される。

特恵等特別措置

メキシコへの輸入に際しては、条件(原産地規則等)を満たせば、各FTA締結国向け関税、ALADI特恵関税が適用される。産業分野別生産促進プログラム(PROSEC)登録企業は、登録業種の優遇関税率が適用される。

二国間・地域間FTAに適用される特別措置

関税削減移行期間におけるFTA締結国への関税率は、通常、毎年、官報にて発表される。

ALADI特恵関税

メキシコ-メルコスール自動車協定(ACE55号)など、ALADIの枠組でFTA以外の特恵貿易協定があり、各協定における締約国産品の当該協定対象品目には特恵税率が適用される。

PROSEC登録企業適用関税率

外資に関する奨励」の説明を参照。

関連法

憲法、連邦行政組織法、輸出入一般関税法、貿易法、税関法、その他

  1. 憲法第131条 公布(170205)、改正(510328)(741008)(160129)
  2. 連邦行政組織法第34条第Ⅳ項、第Ⅴ項 公布(761229)(220405)直近改正(230503)
  3. 輸出入一般関税法 公布(200701)(220607)
    ※HS2022に準拠した新輸出入一般関税法が2022年6月7日に公布され、同年12月12日から適用された。
  4. HS2002-2007、HS2007-2012、HS2012-2017’対照表(070628)(120629)(201118)(221202)
  5. 日本原産品に対して適用される、2012年7月1日以降の輸入税率を定める政令 公布(120629)(220831)
  6. 貿易法 公布(930727)、直近改正(060124)(061221)
  7. 貿易法施行規則 公布(931230)、一部改正(001229)(140522)
  8. 経済省貿易細則・判断基準省令 公布(220507)(221110)(221125)(230125)
  9. 税関法 公布(951215)、(211224)直近改正(221227)
  10. 税関法施行規則 新規則公布(150420)(171222)(201224)(211224)(221227)
  11. 2023年度SAT貿易細則 公布(221227)、一部改正(230216)(230425)
  12. 産業分野別生産促進措置(PROSEC)政令(020802)、一部改正(020904)(021231)(030710)(031231)(040323)(041202)(041228)(050103)(050317)(050907)(051207)(060120)(060905)(061127)(061128)(070630)(071227)(080304)(080527)(091216)(100209)(100923)(111226)(120950)(121129)(151007)(160404)(160728)(161007)(170406)(171017)(190325)(190520)(190920)(201224)(210517)(211118)(221118)
  13. 自由貿易協定(FTA)
    1. 米国・メキシコ・カナダ協定(UCMCA)2020年7月1日発効(米国、カナダ)
    2. G3自由貿易協定1995年1月発効(コロンビア)注:ベネズエラは2006年11月19日に本協定より脱退
    3. コスタリカ1995年1月発効(*)
    4. ニカラグア1998年7月発効(*)
    5. チリ1999年8月発効
    6. イスラエル2000年7月発効
    7. EU(欧州連合)2000年7月発効(ベルギー、デンマーク、ドイツ、ギリシャ、スペイン、フランス、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、オーストリア、ポルトガル、フィンランド、スウェーデン、英国)
      2004年5月新規10カ国追加(チェコ、エストニア、キプロス、ラトビア、リトアニア、ハンガリー、マルタ、ポーランド、スロベニア、スロバキア)、2007年1月新規2カ国追加(ブルガリア、ルーマニア)、2013年7月クロアチア追加
      ※なお、英国は2020年1月末に正式にEUから離脱(ブレグジット)したが、ブレグジット移行期間である12月末までは、英国との貿易について引き続き特恵関税が適用された。同措置を延長する協定が12月15日に署名され、2021年6月1日に官報公示された。2022年5月30日に新たなFTA交渉を正式に開始することに合意し、2022年7月11日から15日にかけて第1回ハイレベル会合が開催された。
    8. 中米北部3カ国(グアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラス)(*)
      グアテマラ、エルサルバドルとは2001年3月15日に発効、ホンジュラスとは2001年6月1日に発効
    9. EFTA(欧州自由貿易連合:ノルウェー、スイス、アイスランド、リヒテンシュタイン)
      ノルウェー、スイスとは2001年7月1日発効、アイスランドとは同10月1日発効、リヒテンシュタインとは同11月1日発効
    10. ウルグアイ2004年7月15日発効
    11. 日本(経済連携協定:EPA)2005年4月1日発効
    12. ペルー2012年2月1日発効
    13. 中米(5カ国)コスタリカ、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア、2012年9月1日発効
    14. パナマ2015年7月1日発効
    15. 太平洋同盟(メキシコ、コロンビア、ペルー、チリ)2016年5月1日発効
    16. CPTPP 2018年12月30日発効

    (*)2011年11月22日、メキシコは中米5カ国(グアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドル、ニカラグア、コスタリカ)と単一の自由貿易協定(FTA)を締結した。従来は対コスタリカ(1995年発効)、対ニカラグア(1998年発効)、対中米北部3カ国(グアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドル、2001年発効)の3つの協定が存在したが、一本化することで協定運用の利便性を高めるとともに、従来は関税削減の例外とされていた品目について、新たな関税削減スケジュールが定められた。中米北部3カ国の自動車輸入関税が段階的に撤廃される。単一協定は、2013年9月1日までにすべての国で発効したため、従来のメキシコと中米諸国との個別協定は失効している。

  14. ラテンアメリカ統合連合(ALADI)
    FTAのほかメキシコは、ALADIの枠内で、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ、エクアドル、ボリビア、キューバなど中南米各国と、経済補完協定(ACE)を含む部分的到達協定(AAP)を締結し、特定の品目について関税を一定割合相互に譲許しあっている。また、AAPを締結していない国や、締結していてもAAPの対象外の品目の場合、ALADIの地域協定(PAR4)に基づく関税削減が行われる(PAR4の例外品目を除く)。

関税以外の諸税

輸入付加価値税(IVA)、通関手数料(DTA)、アンチダンピング税、生産サービス特別税(IEPS、特定品目のみ)

IVAの計算方法
(CIF価格+IGI〔関税〕+DTA〔税関手数料〕+IEPS〔特定品目のみ〕)×16%
DTAの計算方法
CIF価格×0.8% (確定輸入の場合)
IEPSの計算方法
(CIF価格+IGI〔関税〕+DTA〔税関手数料〕)× X %(税率は品目に応じて異なる)

IGI、DTA、IEPSを個別に計算し、計算したIGI、DTA、IEPSをCIF価格に加えたものがIVAの課税ベースとなり、そこに16%を乗じてIVAを計算する。

なお、DTAの税額については、原産国に応じて異なるが、CPTPPを適用した輸入の場合、定額制(2022年時点で1申告当たり378ペソ)になり、一定額以上の輸入申告の場合は、日墨EPAを適用した輸入(輸入申告価格×0.8%)よりも軽減される。2019年1月4日付ジェトロの記事「TPP11の活用で税関手数料(DTA)を軽減」を参照。

その他

特になし。