貿易管理制度

最終更新日:2023年11月10日

管轄官庁

各省・機関が、担当分野ごとに管轄する。

国家税関徴税統合庁(Servicio Nacional Integrado de Administracion Aduanera y Tributaria:SENIAT外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

経済財務貿易省(Ministerio de Poder Popular de Economia, Finanzas y Comercio Exterior

2020年9月15日法令4310号および同日付官報41965号にて名称が変更された。外国貿易銀行(Banco de Comercio Exterior:BANCOEX)と国家貿易センター(Centro Nacional de Comercio Exterior:CENCOEX)が同省の傘下組織となった。
直接外国投資、貿易および外国投資の推進、非石油、非金融および非鉱物資源の外国機関との貿易関係の開発など、貿易および投資に関するすべてを管轄する。

2018年5月4日より貿易統一窓口(Ventanilla Única de Comercio Exterior:VUCE)の運用が始まった。輸出に関連するすべての手続きを実施・管理するために使用されるが、輸入に関しては使用されない。

農業生産性・土地省(Ministerio del Poder Popular para la Agricultura Productiva y Tierras:MPPAPT)

国家漁業養殖業院(Instituto Socialista de la Pesca y Acuicultura:INSOPESCA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

漁業・水産省管轄の機関。水産品の輸出入に関する衛生証明書を発行。

保健省(Ministerio del Poder Popular para la Salud外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

環境省(Ministerio del Poder Popular para Ecosocialismo外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

旧環境・水資源省。2018年6月15日法令3466号および同日付特別官報6382号にて名称が変更された。同省は、環境保全および環境保護、環境衛生、天然資源、生物多様性、および廃棄物および残留物の管理を行う。

国家貿易センター(Centro Nacional de Comercio Exterior:CENCOEX)

為替管理制度に基づき、外貨の取得・清算許可を発給。2013年11月29日付特別官報6116号により公布された政令601号により、それまで為替管理を行っていた外貨管理委員会(CADIVI)を廃止して設立された。
2017年5月19日付特別官報6300号により公布された政令2877号により、CENCOEXの機構組織・機能を輸入に関する国家政策の実施機関に変更。

外国貿易銀行(Banco de Comercio Exterior:BANCOEX)

非石油部門に関する輸出振興機関。原産地証明等の発行。

輸入品目規制

輸入禁止品目は、中古タイヤ、古着、各種廃棄物、中古車、デモやゲリラの戦闘に流用の可能性のあるもの等。賭博用品等が政府留保品目。その他関係省の許可、衛生登録、輸入ライセンス等を要する品目がある。
関税率表の“Regimen Legal”の欄に1~20までの番号記載のあるものが輸入規制対象。

Regimen Legal

  1. 禁止品目の輸入
  2. 政府留保品目
  3. 保健分野を管轄する省の衛生許可
  4. 産業分野を管轄する省の許可品目
  5. 原産国における衛生証明書を要する品目
  6. 農業分野を管轄する省の衛生許可を要する品目
  7. 防衛分野を管轄する省の許可品目
  8. 食糧分野を管轄する省が発行する輸入ライセンスを要する品目
  9. 商業分野を管轄する省が発行する輸入ライセンスを要する品目
  10. 環境分野を管轄する省の許可品目
  11. 石油および鉱業分野を管轄する省の許可品目
  12. 保健分野を管轄する省が発行する衛生登録を要する品目
  13. 農業分野を管轄する省が発行する衛生登録を要する品目
  14. 食糧分野を管轄する省の許可品目
  15. 科学技術分野を管轄する省の許可品目
  16. 産業分野を管轄する省が発行する輸入ライセンスを要する品目
  17. 電気エネルギー分野を管轄する省の許可品目
  18. 水産養殖分野を管轄する省が発行する衛生登録を要する品目
  19. キンバリー・プロセス証明書が必要な品目
  20. ベネズエラ工業規格(COVENIN)または標準化・品質・度量衡・技術制度独立庁への規格登録が必要な品目

それぞれの対象品目詳細については、国家税関徴税統合庁(SENIAT)ウェブサイトに掲載されている関税率表(2016年12月30日付特別官報6281号で公布された政令2647号により規定:Decreto 2647)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(6.62MB)を参照。

法的規制4号の手続きについては、tramite.control@mppef.gob.veまたは+58 212-596.95.98にメールまたは電話で問い合わせること。

輸入地域規制

輸入禁止地域は特になし。

輸入関連法

税関組織法(Ley Organica de Aduanas)・同細則など。

  • 税関組織法(Ley Organica de Aduanas)・同細則(2020年1月29日付特別官報6507号にて改正)
  • 解除、停止その他の特別関税制度に関する税関組織法の細則(1996年12月30日付特別官報5129号)
  • 自動通関システムに関連する税関組織法の一部規定(2004年6月25日付官報37967号)
  • 自動車部門のための一時停止関税制度に関する関税組織法の一部規定(2002年10月3日付官報37541号)
  • 関税率の範囲および税率に関する関税組織法の一部規定(2014年12月4日付官報40555号)
  • 2010年12月28日密輸犯罪法(2010年12月30日付特別官報6017号)
  • 税関および税務に関する一般管理部門の設立(2009年1月28日付官報39108号)
  • 税関申告額の電子送信に関する規則(2010年9月10日付官報39507号)
  • 2016年関税率(2016年12月30日法令2647号、同日付特別官報6281号。2020年2月5日法令4111号、2022年5月2日法令4684号、2022年8月23日法令4728号、2022年9月2日法令42454号、2022年12月29日法令4758号、2023年7月1日法令4822号で一部改訂)。
    法令4684号および4728号では、いくつかの品目が追加された。現在、1万1,337品目が掲載されている。第98章に掲載され、法令4684号および4728号で追加された品目以外のすべてに対し、3%の関税が課税される。法令4684号および4728号で追加された品目については、さまざまな税率の従価税が課され、税率は変動的である。ベネズエラの関税は従価税であり、WHOが定める最高税率40%までである。しかし、現在の最高税率は35%となっている。法令4684号による改訂では、第98章に追加された新たな品目では、変動税率が定められている。
  • 国家税関徴税統合庁法(SENIAT、2015年12月30日付、特別官報6211号)
  • 付加価値税法(2018年8月21日付特別官報第6396号)
    輸入製品の付加価値税は、製品に応じて16%または8%があり、さらに15%相当の追加の税率が適用される可能性もあるため、確認する必要がある。
    2020年1月29日付特別官報6507号で公表された付加価値税に関する政令改定によると、法律第17条および第18条に、付加価値税が免除される対象製品が明記されている。
    また、製品が特別な、または追加の税率の適用対象となっているか第61条、63条、64条および65条で確認する必要がある。

輸入管理その他

強制規格、ラベリング、輸入決済用外貨取得許可

  1. 強制規格
    輸入する商品がベネズエラの強制規格(Comision Venezolana de Normas Industriales:COVENIN)や技術規則の対象となっていないかを確認する必要がある。COVENINには、強制のものと任意(推奨)のものがある。照会先は標準化・品質・度量衡・技術制度独立庁(SENCAMER)。
  2. ラベリング
    2001年2月13日付官報37139号に公示された生産商業省決議629号に、ラベル、容器、パッケージ等に最低限表示しなければならない事項が示されている。最低限の表示義務事項は次のとおり。
    1. 製品を特定できる名称
    2. 正味容量(個数あるいはメートル法)
    3. 主成分
    4. 製品の使用により生じる可能性のある、科学的に証明された健康や環境に対するリスクに関する注意書き
    5. 有効な法律に基づく消費期限
    6. 製造国
    7. 製造者および/あるいは輸入者の住所
    8. 有効な法律に基づく使用および保存方法

    なお、ラベルあるいは容器の表示は、スペイン語で、消費者が判読しやすいものでなければならない。また、製品の性質や産地について誤った印象を与えるような、虚偽表示やあいまいな表記等をしてはならない。ラベルあるいは容器にスペイン語の表示がない輸入品の場合、輸入者は追加でスペイン語表示のラベルを貼付しなければならない。

    これに加え、2002年10月15日付官報37549号に公示された関係各省の共同決議が靴および衣料品に関するラベル表示規則を、2005年8月9日付官報38246号に公示された関係各省の共同決議がマグロ缶詰および同二次製品(人が消費するもの)に関するラベル表示規則を規定。

    また、2013年8月23日付官報40235号に公示された関係各省の共同決議で、冷蔵庫・冷凍庫の電気使用量に関するラベル表示規則を規定した。それと同時に、政府の定める電気使用量規制をクリアしない冷蔵庫・冷凍庫の商業目的での輸入が禁止され、関税番号8418.10、8418.21、8418.30、8418.40、8418.50.10および8418.50.90に該当する中古冷蔵庫・冷凍庫の商業目的の輸入も禁止された。

    その他、2014年3月17日付官報40373号に公示された関係各省の共同決議で、蛍光灯の消費電力に関するラベル表示規則が規定され、政府の定める消費電力要件を満たしていない商品の輸入が禁止された。同規制の対象は、関税番号8539.31.00および8539.32.00に該当する商品に適用される。

    2019年4月29日付特別官報6454号にて、自動車産業競争力強化のため、商業目的でない場合に限り、個人が新車や中古車を輸入することが認められた。

  3. 輸入決済用外貨取得許可
    1. 中央銀行が公表する実効為替レート
      2019年5月13日より、新たな為替管理の枠組みが定められた(2019年5月1日中央銀行決議)。実効為替レートは中央銀行のウェブサイトに掲載され、各銀行はその日の為替レートを公表する。
    2. 2018年8月21日付為替協定第1号(2018年9月7日付特別官報第6405号)

      国内通貨の自由な交換が確立され、有効あるいはシステムの中断を規制していた為替協定は廃止された。本協定では、通貨の取得、売買および管理に関する規則が定められている。官報第6405号で新たに定められた為替協定によると、国内全土で通貨の自由な交換が可能であり、為替業務の制限は解除される。基準為替レートは、売り手と買い手が規制なしに参加する外国為替制度を通じて、個人および法人の需要と供給に応じて、中央銀行により運営される。為替レートは、中央銀行のウェブサイトに掲載される。両替所専用に保有されていた小売取引は、今後は公的および私的へも移される。

      輸出部門の個人および法人は、外貨で受け取った所得の80%を保持し、管理することができる。残りは中央銀行に売却される。新しい為替協定の目的は、経済回復成長繁栄計画の枠組みの中で戦略的部門と位置付けられている農業、観光および非伝統産品の輸出などのセクターを強化することである。

      中央銀行:為替協定第1号(Convenio Cambiario No1.外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

  4. その他

    動物、食品、自動車、爆発物、ガス炭化水素、武器等について規制がある。その他、国内外の法定通貨や金の輸入・流通についても中央銀行の規制がある。

    なお、2018年1月5日付官報41314号に掲載された、2017年12月27日付共同決議第531号により、従来型白熱電球の輸入を規制している。現行の規制では、対象となる関税番号は特定されていないため、同決議の第4条を慎重に確認する必要がある。製品分類などに関する問い合わせ先は、国家税関徴税統合庁(SENIAT)。

    2020年、2021年および2022年に発表された輸入規制は次のとおり。

    1. 2020年9月18日決議84号により、鉱業デジタル機器および同部品を輸入する者は、暗号資産・関連活動監督局(Superintendencia Nacional de Criptoactivos y Actividades Conexas:SUNACRIP)の許可を得なければならない(2020年9月21日付官報41969号)。
    2. 2021年1月19日保健省決議20号により、PMMA、PHEMA、アクリルアミドなどの化学物質を、エステ、理美容院、美容サロン、ジム、マッサージ施設、スパ、ホテルなどにおいて美容目的で使用することが禁じられた(2021年3月26日付官報42096号)。
    3. ミバエが付着した果実
      2018年9月27日付行政規定第69号(2018年10月17日官報第41504号)により、ミバエまたは害虫が付着した果実の輸入が禁止された。輸入が認められている生鮮果実は、ミバエ無発生地域または低発生地域と証明された地域からの輸入、および、INSAIが承認した検疫処理を施された果実のみである。詳細は、同規定第9条を参照。
    4. ココヤシの実
      2018年9月27日付行政規定第72号(2018年10月17日官報第41504号)により、ココヤシの実の輸入が禁止された。詳細は、同規定第7条を参照。
    5. アボカドの種および果実
      2018年9月27日付行政規定第73号(2018年10月17日官報第41504号)により、アボカドの種および果実の輸入が禁止された。詳細は、同規定第7条を参照。
    6. 医薬品
      2019年4月2日付決議第75号(2019年4月4日官報第41610号)により、ベネズエラ国内に所在しない製薬会社を対象とした一時的な制度が確立された。本制度は、国内で登録されていない、または認証されていない医薬品の輸入および流通に関する問題について、ベネズエラの衛生管理基準に従ってタイムリーに対応するために定められた。
    7. ANPPおよびNPP
      2019年7月30日決議第17号(2019年8月5日官報第41687号)により、4‐アニリノ‐1‐フェネチルピペリジン(ANPP)および1‐フェネチルピペリジン‐4‐オン(NPP)と、これらの塩類は、特定麻薬向精神薬原料に指定された。これらの物質は、麻薬や向精神薬の製造、精製、抽出に使用されるおそれがあるため、規制対象とする。これらの物質を取り扱う事業者は、規制化学物質取扱事業者単一登録(Registro Único de Operadores de Sustancias Químicas Controladas:RESQUIMIC)に事前登録を行う必要があり、薬物法による規制対象となる。
    8. 細菌の宿主となりうるもの
      2021年12月20日決議第17号(2021年12月21日官報第42281号)により、細菌の宿主となりうる物質の輸入が禁止された。INSAIが発行する植物検疫証明書が添付され、生産保健保証委員会に承認されたものについては輸入が認められる。また、原産国の植物検疫証明も添付されなければならない。
    9. 炭化水素を原料とする投入物、添加剤等の免税
      2023年1月13日法令4767号(2023年1月13日官報42548号)により、ガソリンの品質向上を目的とした投入物および添加物に関する輸入・販売については付加価値税、関税、手数料、その他の税金を免除。
    10. 電子タバコの輸出入禁止
      2023年6月28日決議414号(2023年8月1日官報414号)により、ニコチン含有の有無を問わず電子タバコに関する消耗品、カートリッジ、付属品等の輸出入を禁止。

輸出品目規制

輸出禁止品目、関係省庁への登録や許可を要する輸出許可品目がある。

病理廃棄物・危険廃棄物、体内に残留する化学汚染物質、核兵器・化学兵器・生物兵器、知的所有権の侵害品、ポルノ商品、犯罪を誘発し得る言及や描写を含む商品、麻薬・向精神薬等の輸出が禁止されている。
また、国内の需給が逼迫すると、一時的に輸出を禁止することがある。近年では、牛乳、食肉、砂糖、コーヒー、コメ、生活資材、衣料資材の輸出が禁止された例がある(2014年8月22日付官報40481号公示・大統領政令1190号)。

また、2008年4月3日付官報38902号に公示された財務省、食糧省、農業土地省による共同決議(その後2009年2月4日付官報39113号の共同決議〔経済財務省決議2239号、食糧省決議007号、農業土地省決議009号〕にて一部修正)に基づき、関税率表01類から04類、07類から12類、15類から17類、19類、21類、23類の一部の品目については「国内需要充足証明書(Certificado de Demanda Interna Satisfecha)」の提出を求められることがある。

なお、たばこ・葉巻、鉱物、金、ダイヤモンド、マッチ、カカオ、コーヒー、野菜・植物・花卉、動物、リキュール、麻薬・向精神薬、治療用の天然製品、鋼鉄、放射線使用機器、オゾン層を破壊する物質など、輸出時に特別な手続きを要するものがある。
輸入と同様、関税率表の “Regimen Legal” の欄に、1~20までの番号記載のあるものが規制対象となる。

2017年3月30日付官報41125号に公示された政令2795号に基づき、廃棄物(アルミニウム、銅、鉄、青銅、鋼、ニッケルまたはその他の金属などの固形廃棄物・スクラップ、また非金属固体廃棄物(光ファイバー、リサイクル段ボールや紙などの二次繊維製品など)の輸出を禁止した。

2017年12月4日決議第043-17号第41条(2017年12月7日官報41295号)により、ニシン科の魚アラチャ(学名Sardinella aurita)の輸出が禁止された。

2021年1月28日決議210104号(2021年2月10日官報第42066号)により、金の輸出に規制が設けられた。個人使用目的の宝飾品を除く。

2021年2月24日法令4445号(2021年3月22日官報42092号)により、リサイクル可能な戦略物資(金属くず、鉄くず、アルミニウムくず、銅くず、鉄くず、青銅くず、鋼くず、ニッケルくず、その他の金属くず、海軍使用品くず、航空関連くず、電気・電子製品くず、非金属固形廃棄物、光ファイバー、二次繊維、紙・段ボールのリサイクル製品)の輸出を禁止。

2021年4月8日行政規則第010/2021号(2022年5月30日官報42387号)により、文化遺産財および文化財の一時または最終的な輸出を申請するための規則・手続きを制定。

輸出地域規制

輸出禁止地域は特になし。

輸出関連法

税関組織法(Ley Organica de Aduanas)・同細則など。

  • 税関組織法(Ley Organica de Aduanas)・同細則(2020年1月29日付特別官報6507号)
  • 解除、停止その他の特別関税制度に関する税関組織法の細則(1996年12月30日付特別官報5129号)
  • 自動通関システムに関連する税関組織法の一部規定(2004年6月25日付官報37967号)
  • 関税率の範囲および税率に関する関税組織法の一部規定(2014年12月4日付官報40555号)
  • 2010年12月28日密輸犯罪法(2010年12月30日付特別官報6017号)
  • 2016年関税率(2016年12月30日法令2647号、同日付特別官報6281号。2020年2月5日付法令4111号、2022年8月23日法令4728号、2022年9月2日法令42454号、2022年12月29日法令4758号、2023年7月1日法令4822号で一部改訂)
  • 2018年8月21日付為替協定第1号(2018年9月7日特別官報第6405号)

輸出管理その他

輸出奨励制度がある。

輸出奨励制度については、「外資に関する奨励」の「各種優遇措置」の項を参照。