外国企業の会社設立手続き・必要書類

最終更新日:2024年02月13日

外国企業の会社設立手続き・必要書類

外国企業がベルギー国内に会社を設立するには、公証人による会社設立証書の作成、会社設立証書の官報への掲載、会社の登記、商業登記番号ならびに該当する場合は付加価値税番号の取得、社会保険機関(ONSS)への登録が必要となる。

  1. 手続きの手順
    1. 設立される法人の名義で銀行口座を開き、資本金が必要な場合は、同口座に送金する。
    2. 発起人(またはその代理人)は、会社の設立趣意書(statuts)、財務計画書(plan financier)、銀行口座証明書(attestation bancaire)を持参し、公証人(notaire)の面前に出頭する。公証人は会社設立証書(acte de constitution)を作成する。
    3. 公証人は、各地区の商業裁判所(Tribunal de Commerce)において、会社設立証書の登録手続きを行う。この手続きを終了すると、クロスロード企業データバンク(Banque-Carrefour des Entreprises:BCE)に企業情報が登録され、企業登録番号(numéro d’entreprise)が入手可能となる。
    4. 会社設立証書の抜粋が、ベルギー官報(Moniteur belge)に公告される。
    5. 付加価値税(VAT)を管轄する税務署、または連邦経済・中小企業・自営業・エネルギー省が認可した企業窓口(Guichets d’entreprises agréés)を介し、VAT番号の取得を申請する。VAT番号は、商業登録番号から先頭の「0」を取り除き、「BE」を付けた番号。
      例えば、企業登録番号が「0123.456.789」であった場合、VAT番号は「BE123.456.789」となる。
    6. ベルギー国内で従業員を雇用する場合は、ベルギーの給与所得者向け社会保険機関(ONSS)に登録することが必要。
    7. 発起人は、発行済株式総数、株式の種類、株主名、各株主が保有する株式数、払込拠出金、譲渡制限、各株式に付随する議決権および利益請求権、清算時残余財産分配額等に関する情報を登録する。なお、2017年9月18日施行のベルギー法令および2018年7月20日施行の王政令に基づき、マネーロンダリングまたはテロ資金供与を目的とした金融システム使用防止および現金使用制限に関する新たな義務が規定された。2020年10月11日から、株式登録管理者は、変更が生じた後1カ月以内に電子的手段によって最終受益者(UBO)登録簿を更新する必要がある。
    8. 2021年8月から、申請当事者が公証役場へ行かず、リモートによる会社設立も可能となった。公証人はオンラインで手続きを支援する。申請はベルギー王立公証人連盟(Royal Federation of Belgian Notaries)にて管理される電子プラットフォームを通じてのみ可能となる。
    9. 2023年11月に労働法が改正され、職場における心理的・社会的な安全性の確保やリスク防止に努める担当者(Person of trust)の任命を義務化した。担当者は従業員からの相談窓口としての機能が求められる。従業員が50人以上の企業は、少なくとも1人の担当者を任命しなければならず、最低1人は会社の従業員である必要がある。従業員数が50人未満の企業は、労働組合を代表するすべての従業員、または労働組合が存在しない場合には全従業員が任命を要求しない限り、担当者を任命する法的義務はない。
  2. 関連機関

    ベルギー官報(Moniteur belge外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    所在地:Chaussée d’Anvers 53, 1000 Bruxelles
    Tel:+32 (0)800 98 809(ベルギー国内からのみ通話料無料)
    E-mail:info.moniteur@just.fgov.be

    次のウェブサイトでVATの管轄税務局の確認が可能。
    連邦財務省:Service Public Fédéral (SPF) Finances 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

    確認方法は、フランス語の場合、次のとおり。

    1. 画面左のメニューから「Compétences」をクリック。
    2. Administration générale」欄で「de la Fiscalité」を選択。
    3. Compétence」欄で「(23037) Déclaration TVA」を選択。
    4. Commune」欄で会社設立地を記入し、「CHERCHER」をクリック。
    5. Catégorie」欄で会社規模を選択し、「CHERCHER」をクリック。

    連邦財務省(Service Public Fédéral (SPF) Finances外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    Tel:+32 (0)2 572 57 57

    連邦経済・中小企業・自営業・エネルギー省 クロスロード企業データバンク運営課(Service de gestion de la Banque-Carrefour des Entreprises(BCE), Service Public Fédéral(SPF) Economie, P.M.E., Classes moyennes et Energie
    所在地:Boulevard du Roi Albert II, 16 1000 Bruxelles
    Tel:+32 (0)800 120 33(代表/ベルギー国内からのみ通話料無料)
    E-mail:helpdesk.bce@economie.fgov.be
    Banque-Carrefour des Entreprises外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

    ベルギーの給与所得者向け社会保険機関(Office National de Sécurité Sociale:ONSS外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    所在地:Place Victor Horta 11, 1060 Bruxelles
    Tel:+32 (0)2 509 59 59

外国企業の会社清算手続き・必要書類

ベルギー国内に設立された外国企業が会社を清算するためには、公証人立会いの下、臨時株主総会による解散の決議、清算人の任命、債権者間の資産の分配案に対する商業裁判所の事前承認、株主総会による清算完了の決議、清算完了を公表する文書および5年分の財務諸表の保管先に関する官報への掲載が必要となる。

  1. 自発的解散、清算手続き

    自発的解散、清算手続きは以下の手順に従って行う。

    1. 株主に提示する文書一式の作成
      1. 解散の議案
      2. 取締役会による解散理由の説明文書
      3. 解散を決議する株主総会の開催日から3カ月前までの間に作成された貸借対照表
      4. 同貸借対照表に関する法定監査人あるいは外部監査人の報告書
    2. 公証人立会いの下、臨時株主総会において、会社の解散を決議する。
    3. 清算人を任命し、赤字解散の場合は商業裁判所長官に当該任命の届出を行う。管轄裁判所は清算決定日において当該事業所が登録されている管区を管轄している商業裁判所となるが、解散決議前の6カ月間に事業所を移転していた場合は、移転前に事業所が所在していた管区管轄する商業裁判所が管轄裁判所となる。
    4. 赤字解散の場合は債権者間の資産の分配案について、商業裁判所の事前承認を取得する。
    5. 清算配当を、株主に対して持ち株数に比例して分配する。
    6. 清算完了を決議する株主総会開催日の遅くとも1カ月前に、会社が登記された事務所に、会社清算に関する計算書類を、文書証拠とともに備置する。
    7. 株主総会を招集し、清算完了を決議する。公証人の立会いは不要。
    8. 清算完了を公表する文書、会社の5年分の会計帳簿、および記録を保管する場所を記した文書を、官報に掲載する。

    清算手続きの開始から6カ月以内に清算が完了しない場合には、7カ月目から13カ月目までの間に、収支、引当等の情報を含む清算の状況に関する報告書を、商業裁判所登記局に提出する。
    また、年次株主総会において、年次財務諸表を提示する際に、清算手続きが完了できない理由を明示する必要がある。
    なお、年次財務諸表は、通常期末日より7カ月以内、当該年度の年次株主総会の30日以内に、ベルギー国立銀行に提出しなければならない。

  2. 公正証書を用いた解散、清算手続き

    次の要件を満たす場合には、公正証書を用いた簡易的な解散、清算手続きが可能となる。

    1. 清算人を任命しない。
    2. 第三者に対するすべての負債が支払済みであること、または負債の支払に必要な資金が供託されていること。ただし、法定監査人/報告書を作成する外部監査人/会計士等が作成した書面による合意がある場合は、株主または第三者への債務に対する返済または保証義務はない。
    3. 全株主が出席(あるいは代理出席)する臨時株主総会において、解散と清算を満場一致で可決する。
    4. 有限責任会社もしくは協力会社において、少なくとも半数以上の発行済株式もしくは資本を保有する株主が出席(あるいは代理出席)する臨時株主総会において、解散と清算を満場一致で可決する。

    この簡易清算手続きでは、商業裁判所登記局に対する清算の状況に関する報告書の提出と商業裁判所における事前承認を経ずに、臨時株主総会の決議をもって清算を完了することができる。

その他

特になし。