外国人就業規制・在留許可、現地人の雇用

最終更新日:2024年03月11日

外国人就業規制

外国人がスイスで就労を希望する場合、労働許可および在留許可の両方が必要となり、ともに雇用者が各州当局に申請する。EUとの二国間協定により、「人の移動の自由(就労と居住の自由化)」が段階的に実施されており、EEA(欧州経済領域、EUおよびEFTA)の国籍者が優遇される一方、EEA外国籍者の就労については審査が厳しくなっている。

スイスにおける就労許可の取得は、容易ではない。スイスでは、既に国民の2割以上が外国籍であるため、スイス政府は新規の外国人労働者の受け入れを極めて厳格に制限すると同時に、就労許可証の発給枠を国別に定めている。
発給枠が大きいのはEEA(欧州経済領域)加盟国、次いで、過去にスイスからの移民を受け入れた米国、カナダ、オーストラリアなどが続く。

日本人が就労許可を取得するには、その仕事が日本人にしかできないものであること、もしくはスイスに明確な経済利益(雇用創出など)をもたらすことを証明する必要があった。
しかし、2009年9月に発効した日本・スイス経済連携協定により、日本人駐在員に対する労働許可割当枠は、概ね緩和された。また、同協定に基づくヤング・プロフェッショナル・プログラムにより、スイス国内で企業研修を受ける日本の若者に対し、最大で18カ月の労働ビザが発給されることになった。

なお、労働許可の発行は各州当局が管轄するため、州によって対応に差があり、申請企業が大企業か中小企業かによっても状況が異なる場合がある。

State Secretariat for Migration(SEM):ヤング・プロフェッショナル・プログラム "Young professionals (trainees)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

在留許可

スイス国内において3カ月を超える滞在を希望する人、労働、営業活動、企業経営に携わること等を希望する人は、各州の移民局から許可を受ける必要がある。許可は1年ごとに更新。

EUおよびEFTA加盟国の国民は、「人の自由な移動に関する協定」(AFMP)により、スイスの国内労働市場において、スイス国民と対等な扱いを受ける。ただし、EU27カ国のうちブルガリアとルーマニアの国籍保持者については、流入が一定数を超えたため、2017年6月1日以降、一時的に一定の制限(受入割当など)が課されている。
2013年7月にEUに加盟したクロアチアについては、スイスとの間で自由な移住を認める協定を実現するための交渉が行われてきたが、2014年2月9日に実施された国民発議(イニシアチブ)による国民投票で「外国人移民流入に関する制限案」が可決されたことを受けて、交渉は中断していた。しかし、中断中の一時措置としてスイスが適用した割当制を継続する形で、2017年1月1日より、EU‐スイス間の「人の自由な移動に関する協定」が、クロアチアにも適用された。

現地人の雇用義務

スイスに設立される法人の取締役については、従来、その過半数がスイス在住のスイス国籍者(またはEEA国籍者)であることが義務付けられてきたが、2008年1月に同条項を規定していた債務法が改正され、国籍要件は撤廃された。現在、取締役のうち代表者1人がスイス在住であればよいことになっている。

2008年1月に施行された債務法改正案(2005年12月16日に連邦議会によって可決)により、「株式会社の取締役に対する国籍・居住要件」を規定する条項が撤廃され、新たに「株式会社はスイスに居住する者1人(会社の取締役会メンバーの1人、または会社の代表者、マネージャー)によって代表されなくてはならない」との要件が設けられた(第718条3項)。
また、国籍要件が撤廃されただけでなく、かつては従業員の過半数相当の現地人労働者を雇用する義務があると言われていたが、EUとの人の自由移動に関する二国間協定が段階的に実施されるにつれ、現地人労働者の雇用義務も大幅に緩和されている。ただし、現地社会における雇用確保の観点から、雇用規模の大きい企業については、現在も州当局の行政指導の対象になっているようである。

その他

特になし。