外資に関する奨励

最終更新日:2023年07月19日

奨励業種

外資のみを対象にした奨励業種はない。ハイテク産業誘致とノウハウ蓄積に対する間接奨励が、各自治州政府によって行われている場合がある。

各種優遇措置

外資のみを対象にしたものではないが、インダストリー4.0や電気自動車といった分野における研究開発(R&D)や設備投資に対しては、中央政府による優遇税制措置がある。EUでは、域内における自由競争維持の観点から、特定業種に対する直接的な優遇措置は禁止されているが、特定の優遇税制については継続する方向にある。投資プロジェクトによっては、各地方自治体による優遇制度などがある。

次世代分野における主な助成

  1. インダストリー4.0分野の研究開発助成
    中小企業のデジタル化推進補助金、中小・大企業へのID4分野へのプロジェクトファイナンス、スタートアップ企業と大企業のコラボ推進、サイバーセキュリティ―補助金などのプログラムがある。
  2. 代替燃料車の購入補助金
    燃料電池車や電気自動車(EV)などの代替燃料車購入に、補助金やEV充電設備の設置への助成を実施。

中央政府による優遇策(法人税額の特別控除など)については、次のとおり。

法人の欠損金繰越控除

2015年以降、企業が欠損金を繰り越せる期間は、従来の18年間から無期限となった。
その一方で、2016年より単年度の課税所得(税務上の黒字)が100万ユーロを超える場合、控除限度額に制限が導入され、2017年以降は課税所得の70%までとなった。

なお、年商2,000万以上6,000万ユーロ未満の企業は課税所得の50%、年商6,000万ユーロ以上の企業は同25%までという制限がある。

また2023年に限り、企業グループの欠損金控除が変更され、課税所得と相殺できるのは、同年度の欠損金の50%に制限される。つまり、同年度の連結課税所得は、連結納税グループに属する各法人の課税所得額の合計から、欠損金の合計額の半分を差し引いた金額となる。これにより相殺できなかった分は、2024年より10年間にわたり均等に控除される。

新規設立会社に対する優遇税制

新設の会社に対する擁護策として、会社が設立後、初めて利益を計上する年度から2年間は、軽減法人税率15%が適用される。

法人税の税額控除

  1. 税額控除の限度枠
    法人税の税額控除額は、確定法人税額の25%を超えることはできない。ただし、一定の条件が整った場合は50%まで可能。この限度枠には国際税額控除や特定の寄付金の控除は含まれない。
  2. 控除可能期間
    15年間。研究開発・技術イノベーションおよび情報通信技術の振興にかかる控除については、18年間。
  3. 控除対象費用
    1. 研究・開発・イノベーション(R&D&I)
      1. 対象は、素材、製品、生産工程、生産システム、新技術(ニューテクノロジー 関連含む)などのほか、デザイン、サンプル品開発も含めた研究開発投資など。
      2. 単年度該当投資額に対して25%。
      3. 課税対象期間の投資額が過去2年間の投資平均額を超える場合、その超過部分 に対して42%。
      4. 研究開発のために購入した機器類、特許などの資産に対して8%、技術革新 12%、研究開発スタッフ人件費17%。
      5. いずれの場合も、控除繰越期間は、費用発生年度の翌事業年度より18年。
      6. 2013年度より導入された企業キャッシュフロー改善措置により、赤字決算や 控除限度額超過などの理由で税額控除が適用されなかった場合も、一定の条件(R&Dスタッフの雇用維持、研究開発への再投資など)を満たせば、当該年度控除額の80%に該当する金額を、翌々年度以降に現金還付申請ができる。
    2. 映画製作:投資額の30%まで(100万ユーロを超える分は25%)
      対象は、スペイン映画(長編)、スペイン・オーディオビジュアル製品(フィクション・アニメーション・ドキュメンタリー)。出資者(プロデューサー)は、出資額100万ユーロまでは20%、それを超える分については18%の控除が可能(各種条件あり)。
    3. 新規雇用創出:9,000ユーロ(年間1人当たり)まで。
      1. 国家雇用庁を通じて身体障害者を正社員として無期限雇用契約した場合、前事業年に同様の条件の下で雇用されていた身体障害者平均社員数との比較によって当該年の平均増加数が算出され、この数に応じて9,000ユーロの控除が可能となる。この平均増加数は、現行労働法に定められた方式で計算される。
      2. 控除繰越期間は、費用発生年度の翌事業年度より15年。

      この雇用創出概念の下で控除を受けた場合、勅令法7/1994および勅令法2/1995に定められた雇用創出のための投資に関する償却、および小規模企業のための特別償却については、適用対象外となる。

その他優遇措置

  1. のれん(営業権など)の償却
    既に償却を開始していたものは、引き続き償却が認められている(合併のれんや、一部の国外企業の株式取得M&Aに伴うのれん、すなわち買収額と対象企業の時価純資産との差額など)。
    しかし、2015年度以降、売買されたのれん(営業権など)のみ、20年償却が可能となった。
  2. パテントボックス税制
    パテントボックス税制は、特定の無形資産(ノウハウを含む)の創作者や所有者に有利な税法を適用し、高付加価値を生む企業の誘致を促進することで研究開発拠点の育成を目指すものである。
    一定の要件を満たす会社や恒久的施設は、特許権、設計図や模型、図面、処方や機密手続などの権利を他社に使用させたり譲渡することによって得られる収入、および商工業権や科学的経験知識などの使用や譲渡によって得られる収入から成る純所得の60%を、無期限で所得から控除できる。
    しかし、2016年7月1日以降、国外から取得したパテントに関しては、控除率を引き下げる仕組みが導入された(2021年6月30日までの5年間は移行措置が設けられた)。

その他

特になし。