技術・工業および知的財産権供与に関わる制度

最終更新日:2024年03月15日

技術・工業および知的財産権供与に関わる制度

EUの特許制度、欧州連合商標(EUTM)の登録制度、欧州共同体意匠(RCD)の登録制度、地理的表示(GI)保護制度、知的財産権の権利行使

欧州連合知的財産庁(European Union Intellectual Property Office:EUIPO外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

所在地:Avenida de Europa, 4, E-03008 Alicante, SPAIN
Tel:+34 96 513 9100

EUの特許制度

  1. 欧州特許庁
  2. 欧州単一特許

最新の動向は「知的財産に関する情報」のページの欧州知的財産ニュースもご参照ください。

欧州連合商標(EUTM)の登録制度

  1. 基本法令
  2. 概要
    EUでは、域内全域で効力を持つ「欧州連合商標(EUTM)」を「欧州連合知的財産庁(EUIPO)」が管理・運営している。
    欧州連合商標(EUTM)を取得することで、権利保有者は排他的権利を付与され、商業活動において第三者が同意なく、同様のまたは類似の商標を、同一のもしくは関連の製品およびサービスに使用することを阻止することができる。

    商標登録の出願は、欧州連合知的財産庁(EUIPO)に直接もしくは各加盟国の知的財産権を扱う中央機関(特許庁、商標庁など)で行う。EUIPOでは、オンライン申請か郵送、ファックスなどで出願を受け付けており、使用する言語はEU言語23カ国語のうちいずれか。ただし、異議申し立てがあった場合などのため、第二言語として英・独・仏・西・伊語のうちからいずれかを指定しなければならない。

    欧州連合商標(EUTM)の内容、要件、出願手続きなどについては、欧州連合商標に関する欧州議会・理事会規則2017/1001で規定されている。また、同規則と関連するルールや手続きは欧州委員会委任規則2018/625および欧州委員会実施規則2018/626に規定されている。なお、規則2017/1001は、先行法令である共同体商標に関する理事会規則207/2009とその複数の改正法を法典化したものであり、2017年10月1日から適用されている。

    また、各加盟国の商標法統一のための欧州議会・理事会指令2015/2436/ECは、商標に関する加盟各国法と手続きの接近・統一を図るために制定された。商標権者の排他的権利などについては、規則2017/1001と共通する内容も含まれる。

    加盟各国の当局が発行する国の商標と、欧州連合知的財産庁(EUIPO)が発行するEU加盟国で効力を持つEUTMの2種類が併存する格好となるが、加盟各国間の商標登録制度の相違点を解消する方向での調整を加速し、登録手続きの簡易化を目指している。

    (参考)EU商標規則の概要(EUIPO-New EU trade mark regulation外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

欧州共同体意匠(RCD)の登録制度

  1. 基本法令
  2. 概要
    欧州連合商標(EUTM)と同様、単一の手続きで取得でき、EU全域で有効となる「登録共同体意匠(Registered Community Design:RCD)」についても、2003年よりOHIM(現EUIPO)が管轄している。RCDの保有者は、当該の意匠の使用に関し排他的権利を有し、EU域内で第三者が許可なくこれを使用することを阻止することができる。この権利は、当該デザインを含む製品の製造、提供、販売、輸出入、使用、これらを目的とした在庫保持についてもカバーする。

    出願についても、EUTMと同様、直接EUIPOに、もしくは各国の知的財産権を扱う機関を通じて行う。EUIPOでは、オンライン、郵送、ファックス、直接の提出での申請を受け付けており、複製可能な意匠の描写(描画もしくは写真)などを提出する。出願日より5年間有効で、その後5年から最大25年まで更新可能である。

    このほか、EUでは出願不要で、当該意匠がEU域内で初めて公衆の利用に供された日から3年間保護される「非登録共同体意匠(Unregistered Community Design)」も認められている。
    いずれも、権利内容、要件、登録手続きなどは、共同体意匠規則6/2002で規定されている。また、同規則の実施規則として欧州委員会規則2245/2002、登録手数料などについては欧州委員会規則2246/2002が制定されている。

地理的表示(GI)保護制度

  1. 基本法令
  2. 概要

    地理的表示(GI)は、ある製品の特性や品質等が原産地と結び付きがある場合に、製品の原産地となる国や地域を特定する表示であり、その一部は、特に農産品等の名称として、知的財産の保護対象となっている。その地域的特性や品質を保持している場合に、これを明示するものである。現在EUでは、理事会規則1151/2012が農産品のGIの保護の枠組みを定める他、ワインやスピリッツに関してもGIが保護されている。非農産品に関しては従来、各加盟国制度に依拠していたが、2025年12月から、理事会規則2023/2411により、土地固有の陶器、木工品、織物などの工芸品や工業製品もGIの保護対象となる。
    英国のEU離脱に伴う2020年12月31日の移行期間終了前に、EUで登録済みのGIは、離脱協定に基づき、移行期間の終了後も、英国において引き続き保護の対象となる。また、移行期間終了前に、英国で登録済みのGIも、EU法に基づき、EUにおいて引き続き保護される。今後、EUにおいて、新たに英国産品のGI登録を申請する際は、英国はEU域外国としての手続きに依ることになる。
    日EU経済連携協定(EPA)では、双方の農産品および酒類のGIの保護が盛り込まれた。これにより、神戸牛や八丁味噌などの日本のGIも、EU市場において保護される。

    日EU・EPAにおけるGI保護対象品目については、次のウェブページで確認できる。

    EUのGI保護制度についての詳細は、次を参照。

知的財産権の権利行使

日EU・EPAは、知的財産権の国境措置についても規定している。知的財産権を侵害する物品に対しては、権利者による通関差止めの申立制度に加え、税関当局に、職権による差止め権限を付与、また、権利者への情報提供や税関当局間の協力など、国境措置に係る権利行使について定めている。