外資に関する規制

最終更新日:2024年02月15日

規制業種・禁止業種

原則として、すべての外国企業は 、事前認可や届出なしで、フランスに直接投資を行うことができる。ただし、例外的に事前認可、届出を必要とする直接投資は「外資規制に関する2019年12月30日付デクレ(首相政令)第2019-1590号」(「外資規制に関する2005年12月31日付デクレ(大統領政令)第2005-1739号」を改正)、2019年12月31日付アレテ(省令)、2020年4月27日付アレテ(省令)、2021年9月10日付アレテ(省令)、2023年12月28日付デクレ(政令)、2023年12月28日付アレテ(省令)で規定している(根拠法:通貨金融法典L151-1条~7条、R151-1条~17条、R165-1条~2条)。公安・治安・国家防衛・国の利益を脅かし得る投資、武器・弾薬・火薬・爆発物の研究・製造・売買といった業種については、経営権掌握、あるいは、25%(上場企業の議決権は10%)超の議決権を取得する場合は、経済・財務・産業およびデジタル主権省の事前認可を要する。

事前認可

外国企業が フランス企業あるいは外国企業の支店の経営権掌握をはかる場合、あるいはEU域外企業がフランス企業の議決権の25%(上場企業の議決権は10%)超を取得する場合、国益に直接関係する次の分野への外国企業による投資については、事前認可が必要である。

  1. 公権力の行使に関与することで、国防上の利益を侵害する可能性または公共の秩序および公共の安全を侵害する可能性がある以下の事業
    1. 軍事、戦争用などの武器、弾薬、火薬、爆発物に関わる事業
    2. デュアルユース・テクノロジー関連品および技術
    3. 国防上の機密を保有する企業が行う事業
    4. 国防に関わる情報システムを管理している公共・民間事業者への情報システムのセキュリティー関連分野の事業(下請け業も含む)
    5. a.~c.、f.の分野で、直接あるいは下請けを通して、国防省と契約を締結した企業が行う事業
    6. 暗号の手段およびサービス
    7. 傍受・盗聴、情報データ傍受関連技術および関連機器
    8. IT製品およびシステムのセキュリティー評価サービス
    9. カジノを除く賭博事業
    10. 病原物質、毒物の不正使用対策および不正使用による健康面の影響防止対策に関する事業
    11. 所持、提供、漏洩などが1.のa.~j.または2.の事業に損害を与える可能性があるデータの処理、転送、保管事業
  2. 公権力の行使に関与することで国防上の利益を侵害する、または公共の秩序および公共の安全を侵害する可能性がある以下の不可欠なインフラ、財、サービスに関する事業
    1. エネルギー源の保全、安全性、調達の保障
    2. 水源の保全、安全性、調達の保障
    3. 運輸サービス・ネットワークの保全、安全性、運営の保障
    4. 宇宙活動の保全、安全、活動の保障
    5. 電子通信サービス・ネットワークの保全、安全性、運営の保障
    6. 警察、憲兵隊、市民保護、刑事施設のセキュリティー、税関の安全確保、民間警備企業の職務遂行
    7. 国防の観点から、極めて重要な施設、設備、作業の保全、安全性、運営の保障
    8. 公衆衛生の保護
    9. 食料安全保障に関わる農産品の生産、加工、流通
    10. 政治・一般情報の報道出版物の編集、印刷、配布、オンライン・サービス
    11. 重要原材料の採掘・加工・リサイクルの完全性、安全性、調達の保障
  3. 以下の事業で、公権力の行使に関与することで国防上の利益を侵害する可能性がある場合、または公共の秩序および公共の安全を侵害する可能性がある場合
    1. 国家重要基幹技術(サイバーセキュリティ、AI、ロボット工学、付加製造技術、半導体、量子技術、エネルギー貯蔵、バイオテクノロジー、低炭素エネルギー生産に関する技術、フォトニクス(光工学))に関する研究・開発事業
    2. 2021年5月20日付のEU規則の附則Ⅰのリストに記載されているデュアルユース・テクノロジーに関する研究・開発事業

事前認可申請に当たって明記すべき事項は、投資家に関する情報、投資理由、投資計画の概要等に関する情報である。投資家側情報(企業の登記証明書、上場企業の場合は、5%以上の株を保有する株主、および代表取締役会のメンバーリスト、組織図、事業概要、過去5年間のEU域外の国または公的機関との資本的関係または財政的支援など)、投資対象企業情報(会社形態、SIREN番号、組織図、最新の業績など)、投資オペレーションの内容(金額、投資形態など)、投資オペレーションの実施日程の予定を明記した上で、オンラインのプラットフォーム(plateforme IEF外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)上で経済・財務・産業およびデジタル主権省宛に提出する。
経済・財務・産業およびデジタル主権省は投資申請書類を受理した後、30営業日以内に、[1]投資のオペレーションが事前認可の対象ではない、[2]投資の申請を認可、[3]投資を条件付きで認可するかどうか決定するために補足的な審査が必要、のいずれかを回答する。30営業日以内に回答がない場合、申請は却下されたものとみなされる。[3]の場合、申請者が回答を受理してから45営業日以内に、経済・財務・産業およびデジタル主権省は補足的審査の結果を回答する。45営業日以内に回答がない場合、申請は却下されたものとみなされる。フランス企業が事前認可の要否の判断を仰ぐことも可能で、この場合、経済・財務・産業およびデジタル主権省は2カ月以内に回答する。

事前認可の対象となる上場企業の議決権の保有が10%を超える場合も事前届出・認可の対象となる。投資家は投資案件を経済・財務・産業およびデジタル主権省へメールで通知し、同省は10営業日以内に回答する。

  • 経済・財務・産業およびデジタル主権省(Ministère de l'économie, des finances et de la souveraineté industrielle et numérique
    国庫総局(Direction générale du Trésor
    所在地:Bureau Multicom 4, Télédoc 233, 139, rue de Bercy, 75572 Paris Cedex 12
    Tel:33-1-40-04-04-04
    E-mail:IEFautorisations@dgtresor.gouv.fr

根拠法:通貨金融法典R151-1条~17条、「事前認可を必要とする外国投資に関する2018年11月29日付デクレ(政令)第2018-1057号」、フランスにおける外国投資に関する2019年12月31日付デクレ(政令)第2019-1590、フランスにおける外国投資に関する2019年12月31日付アレテ(省令)、フランスにおける外国投資に関する2020年4月27日付アレテ(省令)、2020年7月22日付デクレ(政令)、2020年12月28日付デクレ(政令)、2021年9月10日付アレテ(省令)、2021年12月22日付デクレ(政令)、2022年12月23日付デクレ(政令)、2023年12月28日付デクレ(政令)、2023年12月28日付アレテ(省令)

行政当局への届出

事前認可の対象となった投資案件の実施後、届出の義務が発生する。
届出(特に規定用紙なし)は、投資実施後2カ月以内に投資オペレーションの実施日、投資オペレーション終了時の投資の対象となる企業の資本の分配、投資額またはその見積もり額、投資の認可公布後の直接的および間接的な支配の変更事項を明記した上で、経済・財務・産業およびデジタル主権省にメールで提出する。

  • 経済・財務・産業およびデジタル主権省(Ministère de l'économie, des finances et de la souveraineté industrielle et numérique
    国庫総局(Direction Générale du Trésor
    所在地:Bureau Multicom 4, Télédoc 233, 139, rue de Bercy, 75572 Paris Cedex 12
    E-mail:IEFdeclarations@dgtresor.gouv.fr

根拠法:通貨金融法典R151-11条、「外資規制に関するデクレ(政令)第2003-196の施行に関する2003年3月7日付アレテ(省令)第5条、第7条」、「企業のための簡素化の諸々の措置に関する2017年5月10日付デクレ(政令)第2017-932」)、フランスにおける外国投資に関する2019年12月31日付デクレ(政令)第2019-1590、フランスにおける外国投資に関する2019年12月31日付アレテ(省令)、フランスにおける外国投資に関する2020年4月27日付アレテ(省令)、2020年7月22日付デクレ(政令)、2020年12月28日付デクレ(政令)、2021年9月10日付アレテ(省令)、2021年12月22日付デクレ(政令)、2022年12月23日付デクレ(政令)、2023年12月28日付デクレ(政令)、2023年12月28日付アレテ(省令)

出資比率

原則として、100%外資による出資も認可される。

通貨金融法典R151-1条~2条によると、認可の対象を判断するための外国投資は、次のように定義される。

投資家:

  1. 外国籍の個人による投資
  2. フランス籍の非居住者個人による投資
  3. 外国法人による投資
  4. 1、2、3の個人、法人に経営権を掌握されているフランス法人

投資 :

  1. 外国企業による、フランス企業あるいは外国企業の支店に対して行われる経営権の掌握
  2. 外国企業による、フランス企業、あるいはフランス企業の一部門の買収
  3. EU域外企業によるフランス企業の議決権取得が25%を超える場合(上場企業の議決権の閾値は10%超)

ただし、国際収支統計上の定義は、資本および議決権が10%を超える場合(通貨金融法典R-152-11条)

外国企業の土地所有の可否

原則として自由。

資本金に関する規制

原則として自由。

ただし、1,500万ユーロを超える直接投資で次に該当する場合は、フランス銀行(中央銀行)に届け出る必要がある。

  • フランス企業における10%以上の資本・議決権の獲得および清算
  • グループ内企業間における貸借
  • 不動産投資

届出先:フランス銀行(Banque de France)統計・調査・国際総局(Direction Générale des Statistiques, des Etudes et de l’Internationales

根拠法:国際収支作成のための統計収集およびユーロ圏・EC内のフランスの対外的地位に関する理事会通貨委員会決定2007-001、通貨金融法典R152-3条、R-152-11条、「外資規制に関するデクレ(政令)第2003-196の施行に関する2003年3月7日付アレテ(省令)第7条」

その他規制

経済・財務・産業およびデジタル主権省のウェブサイトを参照。

経済・財務・産業およびデジタル主権省
"Investissements étrangers en France外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"
"FAQ Foreign Direct Investment Screening in FrancePDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(233KB)"