関税制度

最終更新日:2023年08月18日

管轄官庁

歳入関税庁(HMRC)

関税率問い合わせ先

歳入関税庁(HMRC)

歳入関税庁(HM Revenue & Customs:HMRC外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

  1. 関税分類に関する問い合わせ先

    関税分類について電話での照会は原則として受け付けていない。
    事前に「a.関税分類・関税率」の方法で調べても正確な関税番号を特定するのが困難な場合、後述のb.~d.の方法がある。

    1. 関税分類・関税率
    2. ウェブチャット機能を利用する(Trade Tariff: Chat外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    3. 関税分類問い合わせチームに照会する
      E-mail:classification.enquiries@hmrc.gov.uk
      法的拘束力はないものの分類についてアドバイスを得られる。1商品ごとに1通のメールの送付が必要。回答には5営業日を要する。
    4. 事前教示制度
      輸入者やその他の関係者が、税関に対して、輸入の前に、輸入を予定している貨物の関税分類についての照会を文書により行い、税関から文書により回答を受けることができる制度。オンラインもしくは文書で照会する。回答内容は同一品目であれば3年間利用可能。
      • 「UK グローバルタリフ」による関税分類の事前認定(Advance Tariff Ruling)に関する照会・申請先:
        歳入関税庁関税分類サービス(HMRC Tariff Classification Service
        E-mail:tariff.classification@hmrc.gov.uk

      オンライン申請は、以下のガイダンスに従うこと。

      北アイルランドについては、従来通りEUの拘束的関税分類情報(BTI)が適用される(Apply for a Binding Tariff Information decision外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

      拘束的関税分類情報(BTI)照会・申請先は関税分類の事前認定制度と同じ。原則120日以内に回答を得られる。
      郵送先:
      Tariff Classification Service
      HMRC Customs Policy & Strategy
      3rd Floor, Stratford RC,14 Westfield Avenue, Stratford, E20 1HZ

  2. 輸出入:Imports and exports: general enquiries外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    Tel:+44 (0)30 0322 9434
    ※専用アプリ、専用オンラインサービスからも照会可能。
    郵送先:HM Revenue and Customs - CITEX Written Enquiry Team
    Local Compliance S0000, Newcastle NE98 1ZZ, United Kingdom
  3. 付加価値税(VAT):VAT general enquiry form外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
  4. 物品税:Excise General Enquiry Form外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
  5. その他:歳入関税庁へのコンタクト Contact HMRC外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

※VAT、物品税については、後述の「関税以外の諸税」参照。

関税体系

UKグローバルタリフ制度における実行最恵国税率(MFN税率)と開発途上国貿易制度(DCTS)、自由貿易協定による関税。北アイルランドに関する特別措置を導入。DCTSは、従来の一般特恵関税(GSP)制度に替えて、2023年6月19日から新たに適用されている。

UKグローバルタリフの制度

2021年1月1日から英国に輸入される全品目に「UKグローバルタリフ(UK Global Tariff:UKGT)」における実行最恵国税率(MFN税率)が適用されている。その税率が適用されないのは、貿易協定を締結している国・地域からの輸入で特恵関税の適用を受ける場合、関税賦課一時停止措置などの特例が適用される場合、開発途上国貿易制度(DCTS)の対象となる開発途上国からの輸入である。
関税割当制度(tariff rate quota:TRQ)の対象となる一部物品の場合、限定的な量の輸入に対してゼロ関税または低減関税を適用できる。一部の関税割当制度は、特定の国からの輸入品だけに適用される。

北アイルランドに関する特別措置

2020年1月に英国とEUが批准したEU離脱協定の北アイルランド議定書に基づき、北アイルランドとアイルランドについては次のような取り決めとなっている。

  1. EUと英国は別の関税領域。北アイルランドは英国の関税領域。
  2. 北アイルランドにはEU規制を適用。北アイルランドへの輸入品にはEU共通関税率が適用される。英国政府は「北アイルランド税率」の呼称を使用。
  3. グレートブリテン島(イングランド、ウェールズ、スコットランド)から北アイルランドに物品を輸送する場合、通関などの手続きは北アイルランド、グレートブリテン島間で英当局が実施。
  4. アイルランド、北アイルランド間で通関手続きは発生しない。
  5. 「アイルランド・北アイルランドに関する議定書」の取り決めは、北アイルランド議会の支持が続く限り恒久的に適用。
  1. グレートブリテン島から北アイルランドに輸送する場合、関税は次のとおり賦課される。
    1. EUに輸送されるリスクがない場合(not at risk):無関税
    2. EUに輸送されるリスクがある場合(at risk):EU関税を賦課
    3. EUから北アイルランドに輸出する場合:無関税

    この場合、EUに輸送される可能性がない(not at risk)とみなされる基準は以下のとおり。

    • EUの関税がゼロの物品
    • 「英国トレーダー・スキーム」(UKTS)またはその後継となる「英国域内市場スキーム」で認可された事業者によって、英国の最終消費者に販売・使用されることを目的として移送された物品
  2. EU・英国(グレートブリテン島)以外の第三国から北アイルランドに輸入する場合、関税は次のとおり賦課される。
    1. EUに輸送されるリスクがない場合(not at risk):英国の関税を賦課
    2. EUに輸送されるリスクがある場合(at risk):EU関税を賦課。以下の「北アイルランドオンライン税率」にて確認できる。

    この場合、EUに輸送されるリスクがない(Not at risk)とみなされる基準は以下のとおり。

    • EUの関税が英国の関税と同じか低い物品
    • 「英国トレーダー・スキーム」(UKTS)またはその後継となる「英国域内市場スキーム」で認可された事業者によって、英国の最終消費者に販売・使用されることを目的として移送された物品(該当するEUの関税と英国の関税の差が3ポイント未満)

いずれの場合も、「商業的加工」のために北アイルランドに移送される場合は原則EUに輸送されるリスクがない(not at risk)とみなされる。例外については以下の「英国政府:北アイルランドに入る物品をEUに輸送する可能性がない(not at risk)と申告する」を参照。

ジェトロの記事「英国政府、移行期間終了後の新関税率を発表、EU関税率を大幅に簡素化」(2020年5月20日付)
ジェトロ調査レポート「移行期間終了後の英国ビジネス関連制度(2021年3月)」の『北アイルランドにおける/を介在するEU・英国間の通関手続き、税務、基準認証』を参照。

「ウィンザー・フレームワーク」について

英国のEU離脱協定の一部をなす北アイルランド議定書に起因する諸問題を解決するため2023年3月にEUと採択したもの。「物品の移動」「食品」「小包」「VAT・物品税」「医薬品」「植物・種子・機械・樹木」「補助金管理」「ペット」「動物用医薬品」などの項目から成り、段階的に運用するとしており、物品や食品、ペット、植物の移送は2023年中、その他の取り決めは2024年中に導入する予定。

ジェトロの記事:

品目分類

欧州共同体統合関税率(TARIC)と合同関税品目分類表(CN)を踏襲した英国独自の品目分類。

適用法令

  • 英国法規サイト:2020年関税(確立)(EU離脱)規則(The Customs Tariff (Establishment)(EU Exit) Regulations 2020外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    国際法に基づく品目分類の制度を確立し、EU法で定められた制度を英国法に置き換えるための規則。最新の品目分類と税率の詳細は、参照文書である「英国の関税率(The Tariff of the United Kingdom)」で示される(次のリンク参照)。
  • 英国法規サイト:2020年関税(確立)(EU離脱)規則の参照文書(Reference Document for The Customs Tariff (Establishment) (EU Exit) Regulations 2020外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    品目分類を含む英国の関税率(The Tariff of the United Kingdom)の最新版を掲載。

概要

EUの欧州共同体統合関税率(TARIC)と合同関税品目分類表(CN)を踏襲した英国独自のUKグローバルタリフ(UKGT)の品目分類に移行した。
事業者からの要請に対して当局が品目分類を書面で回答する制度として、グレートブリテンでは「関税分類の事前認定制度(Advance Tariff Ruling)」が設けられた。北アイルランドでは、これまで通りにEUの「拘束的関税分類情報(Binding Tariff Information:BTI)」が適用される。当局の決定には法的拘束力があり、有効期間は3年間。

関税の種類

UKグローバルタリフ(UKGT)。ほとんどが従価税。

UKグローバルタリフ(UKGT)では、ほとんどが従価税。一部の食品などには、従量税または従量税と従価税の併用が導入されている。

課税基準

原則取引価格(CIF価格にロイヤルティーやコミッションなど足したもの)

英国政府:関税・付加価値税・貿易統計のための輸入品の価格算出について(Working out the customs value of your imported goods外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

対日輸入適用税率

日英包括的経済連携協定(EPA)に基づき日本原産と認められる輸入物品には、同EPAに基づく特恵関税が適用できる。

2021年1月1日に発効した日英包括的経済連携協定(EPA)に基づく特恵関税率を利用可能だが、同関税率が適用されるのは、日英EPAで定める原産地規則を満たす場合だけである。
対日輸入品の適用税率は、次のウェブサイトで確認可能。

検索すると通常適用される税率(MFN税率:All countries Third country duty)と日英EPA税率(Japan (JP) Tariff preference)の両方が記載されているため、比較して日英EPA税率がより低い場合には日英EPAの利用検討が推奨される。

段階的に関税が撤廃・削減される品目のスケジュールについては、日英EPAの英国側の協定文(英文)の「附属書2-A 関税の撤廃及び削減」の「第2編B節 英国の譲許表(Part 2-Section B Schedule of the United Kingdom)」で確認できる。

日EU・EPAの関税の維持と相違点

日英EPAの関税は日EU・EPAをほぼ踏襲し、日EU・EPAで定めた関税の撤廃・削減を維持したほか、日EU・EPAで段階的な削減を定めている一部製品について即時撤廃を決めた。こうした製品には、鉄道用車両とその部分品、ターボジェットとその部分品、電気制御盤がある。
また基準税率からの段階的削減については、日EU・EPAの関税の削減・撤廃期間に合わせるため、日英EPAの発効後すぐに日EU・EPAの税率・削減期間に追いつくことを定めた。英国側では毎年2月1日に段階的引き下げを実施するため、2021年2月1日に2年目となり、この時点で関税率が日EU・EPAに追いついた。例えば乗用車の基準税率10%は、2021年2月1日時点で6.3%と日EU・EPAと同水準であり、日英EPAでも2026年に関税が撤廃される。

日英EPAの原産地規則

輸入産品の関税上の特恵待遇を受ける際の原産地規則では、一方の締約国の材料や生産行為を他方の締約国の材料や生産行為として扱う累積があり、日EU・EPAでは累積を相互に相手国の原産品を自国の原産品とみなす二国間累積としている。日英EPAでは、鉱工業製品のほぼすべてについて、日英にEU原産品を加える拡張累積を認めている。これにより、日英・EUにまたがるサプライチェーンを持つ製品に特恵関税が適用されることになった。また日英EPAの原産地規則では、一部の工作機械や繊維、自動車部品などで原産性を認める条件が日EU・EPAよりも緩和され、特恵関税を適用しやすくなっている。

ジェトロ『日英EPA解説書』(「日EU経済連携協定(EPA)/ 日英包括的経済連携協定(EPA)について」ページ内)を参照。

特恵等特別措置

開発途上国貿易制度(DCTS)、自由貿易協定締結国との特別税率。

開発途上国貿易制度(DCTS)

英国はEU加盟国として行ってきた一般特恵関税(GSP)に替えて、2023年6月19日から開発途上国貿易制度(DCTS)を適用している。
対象国は以下のとおり。

  1. 後発開発途上国向けGSP(Least developed countries:LDC)
  2. 世界銀行が低所得国(LIC)および低中所得国(LMIC)に分類する国または地域

世界銀行が3年連続で上位中所得国に分類した国、英国との自由貿易協定(FTA)を締結している国・地域には適用されない。

自由貿易協定に基づく特別税率措置

英国のEU離脱後の移行期間が終了した2021年1月1日よりEUと第三国との通商協定は英国に適用されなくなるため、英国政府は個別に交渉を行ってきた。アルジェリア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、モンテネグロ、グリーンランドの4カ国・地域を除き、個別の協定が発効したか、署名を終えて部分的な適用を行っている(2023年8月15日時点)。各国・地域と締結した協定の詳細は英国政府ウェブサイト「英国の非EU諸国との通商協定(UK trade agreements with non-EU countries外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」から各国・地域別に確認できる。
協定の適用範囲は、物品貿易、サービス貿易、知的財産(地理的表示を含む場合もある)、政府調達が基本となるが、協定によってはこれより限られ、物品貿易だけの場合もある。適用範囲が多い場合もあり、トルコとの協定では貿易の技術的障害、競争、通関、貿易の円滑化、貿易救済措置、紛争解決も対象とされている。
原産地規則では、どの協定でもEUの原産品を英国と相手国・地域の双方の原産に含める拡張累積を認めている。またEU以外の他の国・地域についても、英国と相手国の双方ともに貿易協定を結ぶ第三国も原産とみなすことを定める場合、特定の国や地域を明示して双方の原産とみなすことを定める場合もある。

英国:WTO・他協定加盟状況」も参照。

関連法

一次法は、1979年関税・物品税管理法、2018年租税(クロスボーダー貿易)法、2018年欧州連合(離脱)法、2020年租税(移行期間後)法。

関税に関する枠組みを定めた一次法には以下の法規がある。

  • 英国法規サイト:1979年関税・物品税管理法(Customs and Excise Management Act 1979外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    歳入関税庁(HMRC)の税関に関する権限を明確にするとともに、輸出入の管理や関税に関する諸規定を定める。
  • 英国法規サイト:2018年租税(クロスボーダー貿易)法(Taxation (Cross-border Trade) Act 2018外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    EU離脱後の英国の物品の輸出入に関する関税制度を規定する権限を定めた法規。EUのEU関税法典からの転換、EU離脱後の付加価値税(VAT)と物品税の課税についての修正を規定。税関申告や特別通関手続き、歳入関税庁(HMRC)の権限、発展途上国に関する規定なども定める。
  • 英国法規サイト:2018年欧州連合(離脱)法(European Union (Withdrawal) Act 2018外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    英国法におけるEU法の優越を終了させ、EU法を国内法に置き換える法規。EU離脱後に適切に機能しない法規を修正するため、二次法を策定する一時的権限を規定。
  • 英国法規サイト:2020年租税(移行期間後)法(Taxation (Post-transition Period) Act 2020外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    「アイルランド・北アイルランドに関する議定書」の実行のため、2021年1月1日以降の関税、VAT、物品税の義務や手続きに必要な法的な規定を明確にした。
    一次法に基づいて手続きや修正を定めた二次法、法規の施行に伴う通達や指令、法規則に対する参照文書などは、以下にまとめられている。
  • 英国政府:2021年1月1日以降の関税、VAT、物品税に関する英国法(Customs, VAT and Excise UK transition legislation from 1 January 2021外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

関税以外の諸税

付加価値税(VAT)、物品税

付加価値税(Value Added Tax:VAT)

輸入の際には、通常消費税に相当する付加価値税(VAT)を通関時に支払わなければならない。2021年1月1日からは、EU域内から輸入される物品に対してもEU域外国からの輸入と同じように英国到着時に輸入VATが課税されるようになった。
原則、国内消費と同率(標準税率20%、軽減税率5%)でCIF価格に関税や物品税、ロイヤルティーやコミッションなどの経費を足した価格に課税される。ただし、貨物の価額が135ポンド以下の貨物の場合は、物品税課税対象品目または個人による購入、個人間の贈与品などの例外を除いて輸入VATは免除される。
なお、北アイルランドを介在する物品の移動では、引き続きEUのVATルールが適用される。北アイルランドとEUの間は域内取引となるが、北アイルランドとグレートブリテン(北アイルランドを除く英国)の間では、VATの取り扱いは輸出入となる。

VATの還付

英国でVAT登録をしている事業者は、輸入VATをVATの還付手続きと合わせて処理できるため、輸入時にVATを支払う必要はない。これは輸入する物品が事業に使用されること、税関申告書にVAT登録番号を記入することが必要となる。グレートブリテンでは英国外からの輸入の場合に適用され、北アイルランドでは英国外・EU域外からの輸入に適用される。

特別な手続き

定期的な輸入者で輸入額が大きい場合には、歳入関税庁(HMRC)にアカウントを設けたうえで、輸入関税と合わせて輸入VATの支払いを繰り延べできる。

諸税の詳細については「英国 税制:その他税制」を参照。

物品税

アルコール飲料(ワイン、ビール、サイダー、スピリッツなど)、たばこ製品(たばこ、葉巻、手巻きたばこなど)、燃料(重油・軽油類、無鉛ガソリン、灯油、ディーゼルなど)を輸入する際、物品税が課せられる場合がある。税率は一律ではない。

物品税は、物品が英国に到着した時点で課せられる。免除される場合については、以下の英国政府の各ガイダンスを参照。なお、北アイルランドはEUの物品税制度が適用されるため、EU域内国から北アイルランドへの輸入および北アイルランドとグレートブリテンの間の物品の移動は規定が異なる。これも以下のガイダンスを参照。

その他

一時輸入に関する税の減免措置、再輸出入関連の関税減免措置、特別目的の輸入、保税倉庫、原産地規則に関する事前教示制度。

一時輸入に関する税の減免措置

展示会やオークションへの出品、デモンストレーション用、あるいは商品サンプル・職業用具としての一時的な使用を目的に輸入する場合、一定の条件下で関税・輸入VATなどが減免される。
この一時措置(Temporary Admission:TA)の適用を受けるには、輸入時に歳入関税庁(HMRC)による認可が必要となる。申請では、グレートブリテンと北アイルランドで別々に申請書を用意する必要がある。
また、輸入した製品を一定期間内(品目により異なるが、通常最長2年)で再輸出することが義務付けられているほか、一時輸入期間中は、当該製品に対し輸入時の状態の保持に必要とされる所定のメンテナンスを除き、加工や修理を施すことが禁じられるなどの制約がある。
多くの場合、輸入時の関税額相当の保証金が求められるが、製品が再輸出される際に返却される。

再輸出入関連の関税減免措置

  1. 再輸出加工減免措置(Inward Processing Relief:IPR)
    再輸出加工(IP)制度により、加工処理または修繕のために輸入され、再輸出される製品には、輸入時に関税および輸入VAT、アンチダンピング関税、相殺関税等に関し、減免措置の適用が可能である。
  2. 再輸入加工減免措置(Outward Processing Relief:OPR)
    再輸入加工(OP)制度により、事業者が加工や修繕のために、製品を一時的に輸出する場合、再輸入の際に、輸入関税と輸入VATの減免措置の適用が可能となる。関税は修繕や交換のための費用に再輸入の輸送料と保険料を加えた金額に課せられる。
    英国政府は再輸入加工減免措置を利用した関税の支払い遅延に関するガイダンスも発表している。

特別目的の輸入(Authorised use

加工処理や特別な使用目的で輸入される一部製品については、関税の減免措置がある(品目と用途の詳細は以下のガイダンスを参照)。歳入関税庁(HMRC)の認可を申請する際には、グレートブリテンと北アイルランドで別々に申請書を用意する必要がある。

保税倉庫(Customs Warehousing

保税倉庫は、取引の円滑化と中継貿易の発展を目的に設けられたもので、ここに積下ろし・保管された輸入品は、出庫されるまで、関税や輸入VAT、物品税などの支払いが保留される。
輸入品のうち、再輸出が予定されている物品や、最終仕向け地が決まっていない物品、輸入ライセンスの取得待ちとなっている物品などが対象となる。公共倉庫(public warehouse)と自社倉庫(private warehouse)があり、自社倉庫の運営には運営者としての認可を申請する必要がある。

原産地規則に関する事前教示制度

原産地基準などが不明な場合の事前教示制度として、英国はEU離脱により独自の「原産性の事前認定制度(Advance Origin Ruling: AOR)」を設けた。ただし北アイルランドでは、これまで通りEUの「拘束的原産地情報(Binding Origin Information:BOI)」が適用される。

AORに関する照会・申請先:HMRC, Customs Duty Liability Team

E-mail:dutyliability.policy@hmrc.gsi.gov.uk
申請にはGBで始まるEORI(事業者登録識別)番号の取得が必要で、専用フォームで申請する。

BOIの申請先(北アイルランドへの輸入):AORと同じ

申請にはXIで始まるEORI番号が必要で、専用フォームで申請する。