外資に関する奨励

最終更新日:2023年10月26日

奨励業種

2019年1月、国家改革「ビジョン2030」の下での産業成長戦略プログラム「NIDLP」が発表された。

NIDLP(National Industrial Development & Logistics Program)によると、重点産業/業種として次の4分野が挙げられ、外資の奨励業種とされている。

  1. 鉱物資源(Mining
  2. 産業(Industry
  3. エネルギー(Energy
  4. 物流(Logistics

プログラム詳細および投資機会については、次のビジョン2030内のNIDLPについてのウェブページを参照。

各種優遇措置

サウジ工業開発基金(SIDF)が、サウジアラビア国内に投資する外資に対して低利・長期の融資を行っている。その他、公的投資基金(PIF)による公的インフラ・プロジェクトへの投資や、産業クラスター(IC)による外資製造業の投資誘致活動も行われている。また、製品の現地生産や原材料の現地調達に係る優遇措置や、原材料・設備機械への関税免除措置もある。

政府系融資機関・投資振興機関

サウジ工業開発基金(Saudi Industrial Development Fund:SIDF)

政府融資機関の1つとして、民間部門の産業開発推進のために設立された。
従来は、サウジアラビア側の出資比率が25%未満の場合、融資は認めなかったが、2000年4月の外国投資法の改正により、外国資本の出資比率が100%の場合も融資を認めるようになった。融資可能なセクター、融資比率、融資期間等は、プロジェクトによって条件が異なる。

SIDF "Saudi Industrial Development Fund:SIDF外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

公的投資基金(Public Investment Fund:PIF)

ムハンマド・ビン・サルマン皇太子が会長を務めるソブリン・ウェルス・ファンド。PIFは、社会公共性の高いインフラ・プロジェクトに対して、政府が将来のキャピタルゲインなどを目的とする場合やサウジアラビア経済の多角化を担う国内外の分野に投資を行っている。投資のみならず、ファイナンス機能も備えている。2016年以降の国家・経済改革「ビジョン2030」と並行し、PIF自身が、娯楽などの特定分野で外国投資家とともに事業会社を立ち上げる事例も見られている。

産業発展センター(National Center for Industrial Development (Industrial Cluster)

2007年に産業多角化の推進のために設立されたNational Center for Industrial Development(旧Industrial Cluster)は、外資製造業の投資誘致を中心に活動しており、各企業のサウジアラビアへの投資の際に必要な情報提供や側面支援など、個別相談に応じている。商業省およびエネルギー・産業・鉱物資源省は、同センターを国家産業戦略(National Industrial Strategy:NIS)の推進機関として位置付けている。

製品の現地生産や原材料の現地調達に係る優遇措置

サウジアラビアで製品の現地生産を行う企業や、原材料の現地調達比率が高い企業は、政府調達や入札において各種優遇措置を受けることができる。

1987年閣議決定およびGCC(湾岸協力会議)統一法に基づき、すべての政府調達において、サウジアラビア国産品およびGCC産品は10%の価格優遇措置を受けることが可能となっている。

WTO "Trade Policy Review:Saudi Arabia外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます" Secretariat report-Full report(71頁の3.180)

“Industry” ライセンスを保有する企業の外国人に対する人頭税免税措置

サウジアラビアで事業を行う企業のうち、サウジアラビア投資省(MISA)ライセンスのカテゴリが“Industry“である企業については、2019年10月1月から5年間の時限措置として、外国人の人頭税(月額700リヤル、もしくは800リヤル、企業内の外国人比率によって異なる)が免除となっている。サウジアラビア人雇用政策「サウダイゼーション」を進めるため、政府は外国人に対して高い税金を課してきたものの、事業コストの上昇を抑制して産業自体の発展のため、時限措置を設けたもの。

その他

2019年1月に発表されたNational Industrial Development and Logistics Program(NIDLP)に基づき、Economic Cities and Special Zones Authority(ECZA)が経済特区の管理・監督を行う。

ムハンマド・ビン・サルマン皇太子兼首相は世界の投資先としての同国の地位を強化するとの公約に基づき、経済特区の新設を発表(2022年4月)。新しい経済特区は、首都リヤド、南西部のジャザーン、東部のラス・アル・カイール、西部のアブドゥッラー国王経済都市(KAEC)の4カ所に設置された。4カ所の特区は受け入れ対象とする産業をそれぞれ定めており、リヤドでは情報・クラウドコンピュータ分野、ジャザーンでは金属加工、食品、物流分野、ラス・アル・カイールでは造船、オフショア関連、KAECでは軽産業と物流(ヘルスケア、自動車組み立てなど)が対象となる。国内の経済特区は2022年10月にリヤドに設立された総合物流特区と合わせて、合計5カ所。

参考
ジェトロの記事:2023年4月14日付「サウジアラビア政府が新たに4カ所の経済特区を公表
ジェトロの記事:2023年5月31日付「4カ所の新経済特区に開業ライセンスを発行、総投資額は470億サウジアラビア・リヤル
経済特区については、「Saudi Special Economic Zones Authority外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」のウェブページを参照。