関税制度

最終更新日:2023年12月01日

管轄官庁

内務省(Department of Home Affairs)が管轄する。

関税率問い合わせ先

関税率の問い合わせ・照会先は内務省である。

内務省(Department of Home Affairs

所在地:PO BOX 25, Belconnen ACT 2616 Australia
Tel:61 2 6264 1111(海外から)、02 6264 1111(国内から)
問い合わせ・照会先:オーストラリア国境警備隊 “Australian Border Force外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

関税率表 “Current tariff classification外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

関税体系

一般税率、特恵税率(FTA・二国間取決め、途上国向け)がある。
従価税、従量税、併用税、選択税(従価税と従量税のいずれか高い方)。ただし、従価税に置き換えられる傾向にある。

特恵税率

  1. 自由貿易協定(FTA)
    • ASEAN・オーストラリア・ニュージーランド自由貿易地域
    • ニュージーランド
    • シンガポール
    • 米国
    • タイ
    • チリ
    • マレーシア
    • 韓国
    • 日本
    • 中国
    • CPTPP(TPP11)
    • 香港
    • ペルー
    • インドネシア
    • PACER Plus
    • RCEP
    • インド
    • 英国
  2. 二国間取り決め
    • カナダ
    • 南太平洋諸国
    • パプアニューギニア(一方的特恵供与)
  3. 途上国向け(一般特恵)

外務貿易省:オーストラリアの自由貿易協定 “Australia's free trade agreements (FTAs)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
オーストラリア国境警備隊 “Schedule 1 - Classes of countries and places in relation to which special rates apply外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
オーストラリア国境警備隊 “Current tariff classification外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

品目分類

HS分類

2022年1月より、HS2022体系。
オーストラリア統計局 “Australian Harmonized Export Commodity Classification (AHECC) - Electronic Publication外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

関税の種類

従価税、従量税、併用税、選択税(従価税と従量税のいずれか高い方)。ただし、従価税に置き換えられる傾向にある。

課税基準

ほとんどの場合、FOB価格と同額である。

正確には「Customs Value」であるが、ほとんどの場合はFOB価格と同額。

オーストラリア国境警備隊:関税課税基準 “INSTRUCTIONS AND GUIDELINES CUSTOMS VALUATIONPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(986KB)

対日輸入適用税率

一般税率、特恵税率(日豪EPA対象品目)が適用される。

特恵等特別措置

ASEAN、ニュージーランド、シンガポール、米国、タイ、日本などでは自由貿易協定(FTA)による税率が適用される。カナダ、南太平洋諸国、パプアニューギニアでは二国間取り決めによる税率が適用される。途上国向けは一般特恵税率が適用される。

自由貿易協定(FTA)によるもの

  1. ASEAN・オーストラリア・ニュージーランド自由貿易地域
    ASEAN・オーストラリア・ニュージーランド自由貿易地域(AANZFTA)により、2010年1月、参加12カ国のうち8カ国の間で発効。その後、ASEAN各国と順次発効し、2012年1月にはインドネシアと発効して全12カ国との間でFTAが開始された。ASEAN諸国への輸出品目の96%の関税が段階的に撤廃され、2020年に完了した。
  2. ニュージーランド
    オーストラリア・ニュージーランド経済緊密化協定(CER)により、1988年までに全品目の関税、1990年までに関税割当が撤廃されたとともに、2000年までに航空業や沿岸海運などを除くサービス分野の自由化が図られた。
    また、両国間の統一食品基準コード(FSANZ)が作成され、2002年末より実施。
  3. シンガポール
    シンガポール・オーストラリア自由貿易協定(SAFTA)の発効(2003年7月)により、すべての品目の関税が撤廃されるとともに、サービス分野での大幅な規制撤廃が図られた。なお、セーフガードを発動しないことも合意されている。
  4. 米国
    オーストラリア・米国自由貿易協定(AUSFTA)の発効(2005年1月)により、米国から輸入される鉱工業品の99%以上と農産物のすべての関税が撤廃された。2011年5月、オーストラリア連邦議会の関連委員会で、AUSFTAの繊維・衣服(ビスコースレーヨン(人絹))の原産地規則改正が提言され、原料の糸の原産国にかかわらず、両国の製造業者が特恵関税を受けられることが可能となり、2012年6月に発効した。
  5. タイ
    タイ・オーストラリア自由貿易協定(TAFTA)の発効(2005年1月)により、完成車の輸入関税が即時撤廃され、2010年1月にはタイ側の94%品目の関税が撤廃された。脂肪分1.5%超の粉ミルク、ホエイ(乳清)、チーズ、バター、無水乳脂肪(AMF)など一部の乳製品については2025年まで関税割当てが行われ、その他の乳製品、クリーム、乳飲料、無脂肪の粉ミルクなど残りの品目については2020年1月1日から全廃された。
  6. チリ
    チリ・オーストラリア自由貿易協定(ACI-FTA)の発効(2009年3月)により、チリ側の品目の97%のうち約92%の関税が即時撤廃され、2015年末で完全撤廃された。
  7. マレーシア
    マレーシア・オーストラリア自由貿易協定(MAFTA)の発効(2013年1月)により、オーストラリア側の関税が撤廃。マレーシア側は、97.6%の品目で関税が撤廃された。
  8. 日本
    日豪経済連携協定(JAEPA)は2015年1月15日に発効した。日本の牛肉の輸入関税については冷凍牛肉を38.5%から19.5%に18年をかけて、冷蔵牛肉を38.5%から23.5%に15年をかけて段階的に削減される。乳製品等の他の農産品も関税割当が拡大。コメは関税撤廃等の対象外となった。オーストラリアの関税は、自動車の完成車輸出額の約75%が即時に関税撤廃、中でも主力の1500cc超3000cc以下のガソリン車はすべて即時撤廃された。残る完成車も3年目には関税が撤廃されたほか、自動車部品は即時を含め主に3年目までに撤廃された。日本製電化製品等の関税も即時撤廃された。
  9. 韓国
    豪韓自由貿易協定(KAFTA)の発効(2014年12月)により、牛肉、小麦、砂糖、ワイン、海産物といったオーストラリアの主要農産品や鉱物、エネルギー、製造品などを含む輸出品目に課せられている最大300%の関税が削減される。
  10. 中国
    豪中自由貿易協定(ChFTA)の発効(2015年12月)により、両国はそれぞれ、輸出貿易量の85.4%にあたる品目に関して発効時に関税を即時撤廃し、過渡期を経て最終的にオーストラリア側が中国に対して品目総数および輸入額のほぼ100%にかかる関税を、中国側は品目総数の96.8%、輸入額の97.0%にかかる関税を撤廃することになる。
  11. 環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP (TPP11))
    CPTPP(TPP11)は2018年12月30日、11カ国のうちオーストラリア、カナダ、日本、メキシコ、ニュージーランド、シンガポールで先行して発効し、ベトナムでは2019年1月14日に発効した。ペルーでは2021年9月20日に発効した。オーストラリア外務貿易省によると、域内では98%の関税が撤廃され、主に畜産・酪農・砂糖・穀物・ワイン等のオーストラリアの農業生産者が恩恵を受けるほか、サービス分野のルールの透明化、標準化により、オーストラリア企業の海外進出促進にも寄与する見通し。
  12. 香港
    豪・香港自由貿易協定(A-HKFTA)の発効(2020年1月)により、輸入関税の相互撤廃が行われた。
  13. ペルー
    豪・ペルー自由貿易協定(PAFTA)の発効(2020年2月)により、オーストラリアが輸出する酪農製品7,000トンの関税が撤廃された。また、発効から5年以内に99%を超える関税を撤廃する予定。
  14. インドネシア
    豪・インドネシア自由貿易協定(IA-CEPA)の発効(2020年7月)により、インドネシアからオーストラリアへのすべての輸出品は関税が撤廃され、オーストラリアからインドネシアに対する輸出品の99%以上は関税が撤廃されるか、または大幅削減される。また、オーストラリアからインドネシアに輸出する冷凍の牛肉と羊肉の関税は直ちに5%から2.5%に削減され、5年後に廃止される。インドネシア向けの小麦と大麦、ソルガムは毎年5万トンについて関税が免除され、免除となる量は毎年5%増加する。かんきつ類は関税の削減または免除の恩恵を受け、最終的にはすべての乳製品の関税が撤廃される。
  15. 太平洋諸国経済緊密化協定(PACER Plus)
    PACER Plusの発効(2020年12月13日)によって、オーストラリアとニュージーランドは太平洋諸国からの関税を段階的に撤廃する。また、オーストラリア製品の輸出関税に関しては国によって取り決めが異なるが、例えばクック諸島へのワインやコンピューター部品、サモアへの乳製品、トンガへの牛肉など、対象となる製品は多岐に及ぶ。
  16. 地域的な包括的連携協定(RCEP)
    RCEPの発効(2022年1月1日)によって、物品については、オーストラリアからのRCEP加盟国への輸出の85%が関税即時撤廃され、RCEP加盟国からオーストラリアへの輸入の76%が関税即時撤廃される。
  17. インド
    オーストラリア・インド経済協定(AI-ECTA)は、2022年12月29日に発効。オーストラリア産品のインド輸入時の関税率は85%の品目で撤廃されるほか、5%の品目で軽減される。対象となる品目には、野菜・果物、羊毛などの農畜産品、ワイン、天然資源などが含まれる。
  18. 英国
    オーストラリア・英国自由貿易協定(A-UKFTA)は2021年12月17日に署名され、2023年5月31日に発効した。豪州から英国への輸出関税が99%の品目に対して、英国から豪州への輸出関税が98%の品目に対して撤廃された。

二国間取り決めによるもの

  1. カナダ
    カナダとの相互貿易協定により、カナダの原産品に対して適用。
  2. 南太平洋諸国
    南太平洋地域貿易経済協力協定により、南太平洋フォーラムに加盟する国および地域の原産品に対して適用。
  3. パプアニューギニア(一方的特恵供与)
    パプアニューギニアとの貿易商業関係協定により、同国の原産品に対して適用。

一般特恵(途上国向け)

開発途上国の原産品に対して適用。

その他

WTO情報技術協定(ITA)参加により、2000年1月に情報・通信機器の輸入関税を撤廃。

関連法

関税法、関税定率法などがある。

関税以外の諸税

財・サービス税(GST)、ワイン均一化税(WET)、奢侈自動車税(LCT)がある。

財・サービス税(Goods and Services Tax:GST)

一部の基礎的食料品を除くほぼすべての財・サービスに関し、輸入価格に関税額、輸送料・保険料(ワインの場合はワイン均一化税(後述:WET))を加えた総額の10%が徴収される。
2000年7月1日より、卸売上税(Wholesale Tax)に替わって導入された。

ワイン均一化税(Wine Equalisation Tax:WET)

ワインの輸入価格に関税、輸送料・保険料を加えた総額の29%が徴収される。なお、日本産の清酒のうち100%純米酒についてはWETの税率が適用される。
本税目は一般的に卸売業者と小売業者の間で行われるワインの最後の卸売販売時に支払われるように設計されており、課税対象はGST登録をした(または登録が求められる)事業者に限定される。

オーストラリア国税局:ワイン均一化税 “Wine equalisation tax外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

奢侈自動車税(Luxury Car Tax:LCT)

GSTを加えた価格が特定価格(2022/2023年度は7万1,849豪ドル、2023/2024年度は7万6,950豪ドル)を超える乗用車(積載量2トン未満・9座席未満、トラック・バス等の商用車を除く)に関し、輸入価格と特定価格との差額からGST相当分を除いた額の33%が徴収される。低燃費車(燃料消費量が100キロ当たり7リットル以下)に関しては同8万4,916豪ドル(2022/2023年度)または8万9,332豪ドル(2023/2024年度)の特定価格が適用される。

オーストラリア国税局:奢侈自動車税 “Luxury car tax外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

その他

関税払戻制度、関税免除制度、保税倉庫の延長利用制度などがある。輸入業者はオーストラリア事業者番号(ABN)を取得する必要がある。

関税払戻制度(Refund of Customs Duty / Duty Drawback Scheme

  1. Refund of Customs Duty
    輸入品の所有者が自家用に輸入した場合など、一定の条件を満たす場合に当該製品が再び輸出されることがなくても申請により関税の払い戻しを受けることができる制度。
  2. Duty Drawback Scheme
    輸出業者が輸出用に処理、加工、もしくは他の物品に含める目的で輸入したもの、または未使用のまま輸出する輸入品に対し、輸出後の申請により関税の払い戻しを受けることができる制度。

オーストラリア国境警備隊:

関税免除制度(Tariff Concession System

オーストラリア国内で代替品が生産されていない商品を輸入する場合には、申請により関税が免除される。ただし、食品、衣類、乗用車は対象外。

オーストラリア国境警備隊:関税免除制度 “Tariff Concession System外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

保税倉庫の延長利用制度(Customs Warehouses - Deferment of Duty

関税が未払いの輸入品について、輸入業者が支払可能となり、オーストラリア国内で消費される目的で物品が通関されるまで、ライセンスを持つ保税倉庫に輸入品を留め置くことができる。

オーストラリア国境警備隊:保税倉庫 “For Warehouses外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

物品税対象相当品目(Excise Equivalent Goods

次の各特定商品分類に該当する輸入品目には、当該品目が仮にオーストラリア国内で生産された場合に課される物品税が、通常関税のほかに課税される。

  • アルコール類
  • たばこ類
  • 燃料類

オーストラリア国税局:物品税対象相当品目の所管 “Excise equivalent goods (imports)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

低額輸入品関税免除制度(Low value import threshold

課税基準額が1,000豪ドル以下の輸入品(国際郵便などを含む、たばこ、酒類を除く)は、これまで輸入に際して関税・GSTなどの諸税が免除されてきた。しかし、この制度が海外の小売業者を不当に優遇しているとの批判が、かねてから国内の小売業界から出ていた。このため制度が見直され、2018年7月1日以降、個人が輸入する1,000豪ドル以下の商品についても、10%のGSTが適用された。ただし、低額輸入品に掛かるGSTは、オンラインショッピングサイトや輸入業者などの供給業者がGSTを課税して販売し、供給業者がGSTをオーストラリア国税局(ATO)へ申告納税する。

オーストラリア国税局:低額輸入品に掛かるGST制度の変更について “GST on low value imported goods外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

ジェトロ:GST(商品サービス税):オーストラリア

オーストラリア事業者番号(Australian Business Number:ABN)の取得

輸入業者はオーストラリア事業者番号(ABN)を取得する義務がある。