関税制度

最終更新日:2023年11月01日

管轄官庁

ニュージーランド税関

ニュージーランド税関(New Zealand Customs Service外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

国内21カ所に事務所がある。

関税率問い合わせ先

ニュージーランド税関

現行関税文書(Working Tariff Document外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に、すべての国際貿易の製品に対する一般および特恵関税率(詳しくは次項参照)と前記の減免申請を許可された特定品目に対する減免関税率(Part II ConcessionsPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(155KB))を記載。

問い合わせ先(Custom National Contact Centre
Tel:+64-9-886-4651
問い合わせ:Contact us外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

関税体系

一般関税と特恵関税がある。

ニュージーランドが締結している各貿易協定に基づき、特定の国から輸入される特定の製品やサービスには特恵関税が適用される。
従って、特定の国の特定の商品は、他の国より低い関税率で輸入できる。

特恵関税が適用される場合、前記「現行関税文書」の該当品目の行の一番右側にある「*Preferential Tariff」欄に次のフォーマットで記載される。

依拠する貿易協定または措置対象国名(略称) + 当該税率の発効開始年月(該当する場合、その月の初日から発効) + 提供される税率(「%」を省略した数字)

複数の貿易協定が適用され、かつそれぞれの特恵関税率が異なる場合、複数行に分かれてそれぞれの税率がフォーマットで記載される。特に、そのうち一部の貿易協定対象国のみが免税となっている場合、一番上に「Free」とのみ記載されるが、実際には他の貿易協定対象国にかかる特恵関税がその下の行に記載されることに注意が必要。

記載例:
Free
*See Below
CA Free
RCEP 4.7
1/2023 4

この場合、CA(カナダ)は免税となるが、RCEP加盟国は2023年1月1日以降4%、それまで4.7%の特恵関税率が適用される。
各記号が表す貿易協定の一覧は前出の「現行関税文書」ページの「Introduction to the Working Tariff Document外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を参照。

品目分類

HSコード(統計品目番号)

貿易統計および関税品目分類は、国際的に広く採用されている「統一商品規定・分類体系(Harmonized Commodity Description and Coding System:HS)に基づく。

  • 外務貿易省:自由貿易協定関税検索サイト(Tariff Finder外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

関税の種類

関税率、手数料、および適用される料金は輸出・輸入によって、また製品のタイプによって異なる。商品によっては、関税以外にニュージーランドの政府機関から賦課金(levy)が課せられる場合がある。

前項『管轄官庁』参照。

課税基準

関税評価額は、通常、取引価格(コミッション、包装コスト、外国の国内輸送費、ロイヤルティー、ライセンス費も含む。海外輸送費と海上保険料は取引価格から控除可)を基にした価額となる。

前項『管轄官庁』参照。

対日輸入適用税率

日本との自由貿易協定は、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)と2022年1月に発効した地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の2種類。従って、日本からの該当輸入品目に適用される特恵関税は、「現行関税文書」の「*Preferential Tariff」欄に前記二協定を示す「CPT」「RCEP」の後に記載される税率となる。

特恵等特別措置

ニュージーランドが自由貿易協定を締結した国以外で特恵関税が適用されるのは、開発途上国一般、英国、南太平洋島諸国、カナダ(CPTPP適用範囲外において)である。

適用される特恵関税率は、ニュージーランドに入荷する時に、関連する貿易協定の条項や特恵スキームに基づいて決まる。貿易協定に含まれている原産地規定が重要な判断基準となる。

関税率表の特恵関税の欄に、協定相手国・地域の略号(AAN、AU、CA、CN、CPT、GB、HK、KR、LDC/LLDC、MY、Pac、SG、TH、TPA、TW)により、国・地域別特恵関税率を表示。

自由貿易協定に基づく特恵関税

自由貿易協定締結国への輸出については、自由貿易協定関税検索サイト(FTA Tariff Finder)で、適用関税率を参照できる。また、複数の自由貿易協定が適用される国については、それぞれの協定ごとの適用関税率も参照できる。

なお、各自由貿易協定の詳細は「WTO・他協定加盟状況」の項を参照。

また、各自由貿易協定についてのニュージーランド法規サイトは以下を参照。

自由貿易協定名
(関税率表記載の略語)
1996年税関・物品施行規則
Customs and Excise Regulations 1996)記載箇所
シンガポール(SG) 第51条A
タイ(TH) 第51F~51M条
太平洋4カ国(Pacific 4) 第51N~51Y条
中国(CN) 第51Z~51ZL条
ASEAN-豪州-NZ(AAN) 第51ZM~51ZX条
マレーシア(MY) 第41条
香港(HK) 第51ZY条~51ZZ条
台湾(TW) 第51ZZA~51ZZB条
韓国(KR) 第51ZZC~51ZZD条
環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP) 第51ZZE~51ZZF条

オーストラリア(関税率表記載の略号:AU)

ニュージーランド・オーストラリア経済関係緊密化協定(ANZCERTA)の原産地規定を満たす商品は、両国間の取引において、関税および検疫制限を免除。
検疫は協定に定められていないが、1988 Quarantine Protocolは、両国に検疫手順の一致を求めている。

シンガポール(同SG)

ニュージーランド・シンガポール経済緊密化連携協定(ANZSCEP)に基づき、原産地規定を満たす商品の関税を廃止。

タイ(同TH)

ニュージーランド・タイ経済緊密化連携協定(NZTCEPA)に基づき、タイとの取引商品における関税と輸入割当てを大幅に緩和。

太平洋4カ国間(同 Pacific 4)

シンガポール・ブルネイ・チリとの間で締結した太平洋間戦略経済連携協定に基づく。
シンガポールとは2006年に関税撤廃済み。残るブルネイとチリも2017年に関税撤廃となった。

中国(同CN)

ニュージーランド・中国自由貿易協定(NZCFTA)に基づき、中国から輸入される商品で、協定の原産地規定を満たすものには、特恵関税を適用。
2019年より、ニュージーランドから中国への輸出のほとんどの物品の関税率がゼロに引き下げられた。
NZCFTAの高度化が2019年11月に終結、2021年1月に議定書へ調印。両国の国内手続きを経て発効される。この高度化による関税と通関手続きの撤廃は、輸出業者と輸入業者にとって自由な取引を促進し、貿易障壁を取り除くものとなることが期待されている。

ASEAN‐オーストラリア・NZ(同AAN)

ASEAN・オーストラリア・ニュージーランド自由貿易協定(AANZFTA)に基づき、各国は段階を経て、原産品の関税を減らすか、撤廃。

ニュージーランドは、マレーシア、オーストラリア、タイとの間に個別の協定を結んでいる。個別の協定に基づく関税率の方が有利な場合もあるので、貿易業者はどれを適用するかの検討が望ましい。
カンボジア、ラオス、ミャンマーに関しては、LLDC特恵(開発途上国一般特恵関税)が適用され、原則無税。
シンガポールとの間ではANZSCEPに基づき、またオーストラリアとの間ではCERに基づき、関税を撤廃。
2019年5月、いくつかの主要貿易分野に関しAANZFTAの高度化に向けた交渉を正式に開始し、現在も交渉中。

マレーシア(同MY)

ニュージーランド・マレーシア自由貿易協定(MNZFTA)に基づき、ニュージーランドとマレーシアは原産商品に特恵関税を適用。

香港(同HK)

ニュージーランド・香港経済緊密化連携協定(NZ–HKC CEP)に基づき、香港から輸出される香港原産商品には特恵関税を適用。

台湾(同TW)

ニュージーランド・台湾(台湾、澎湖、金門、馬祖の個別関税地域)経済協力協定(ANZTEC)(TW)に基づき、関税を撤廃または特恵関税を適用。

韓国(同KR)

ニュージーランド・韓国自由貿易協定(KNZFTA)に基づき、両国間の原産商品には特恵関税を適用。

環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)

CPTPPに基づき、オーストラリア、カナダ、日本、メキシコ、ニュージーランド、シンガポール、ベトナム、ペルーとの間の原産商品には特恵関税を適用。本協定に署名済みのブルネイ、チリは、まだ批准しておらず、批准した時点で60日以内に発効予定。マレーシアは批准し、2022年11月29日に発効した。

自由貿易協定以外の規約、合意による特恵関税

カナダ(同CA)

カナダとの総合貿易協定(Agreement on the Trade and Economic Cooperation between New Zealand and Canada)により、50%がカナダ原産である商品に対し特恵関税を適用。

カナダ原産(カナダで生産された)とみなされるには、次の原産カテゴリーの1つを満たす必要がある。

  1. 商品すべてがカナダ産:カナダの自然産物、また自然産物を用いてカナダですべて生産された商品。
  2. 次のすべての条件を満たすカナダで製造された商品。
    1. 商品の最終製造工程がカナダで行われること。
    2. 商品に関連して認められる経費(ニュージーランドに関連して認められる経費も含む)が、最終製品の工場・作業経費の半分を上回ること。

カナダの原産地規定を満たした商品は、他国の商業区域に入ることなく、直接ニュージーランドに輸出されること。
ただし、ニュージーランドへの輸送ルート上の他国に立ち寄ることは、その国の商業区域に入ったとはみなされず、特恵関税の権利を失うことにはならない。
これらの規定は、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)に含まれる規定とは別。

英国、北アイルランド、マン島、チャネル諸島(同GB)

特恵関税協定は、英国、北アイルランド、マン島、チャネル諸島(1996年税関・物品税施行規則ではグループ1として言及)からニュージーランドに輸入される、限られた品目にのみ適用。

グループ1の国で生産された商品とみなされるには、次の原産カテゴリーの1つを満たす必要がある。

  1. 商品全体がグループ1に含まれる国の産物であること。
  2. 加工されていない原材料の全製造工程が、グループ1に含まれる国で行われた商品。
  3. 一部の製造工程がグループ1に含まれる国で行われ、かつ次のすべての条件を満たす商品。
    1. 商品の最終製造工程がグループ1の国で行われること。
    2. 商品に関連して認められる経費が、最終製品の工場・作業経費の半分を上回ること。

開発途上国(同LDC/LLDC)

開発途上国(LDC、LLDC)の原産品に対し、一般特恵関税が適用される。
開発途上国の中には、他の協定で合意された関税率が適用される場合もある。

南太平洋島嶼国(Pac)

ニュージーランドとオーストラリアが、太平洋諸島フォーラムの国々の産物・製品の特恵関税措置を認める非相互的な貿易協定である、南太平洋地域貿易経済協力協定(South Pacific Regional Trade and Economic Co-operation Agreement:SPARTECA)に基づく。
この太平洋諸島フォーラムに加盟する国・地域は、クック諸島、フィジー、キリバス、マーシャル諸島、ミクロネシア連邦、ナウル、ニウエ、パラオ、パプアニューギニア、サモア、ソロモン諸島、トンガ、ツバル、バヌアツで、”フォーラム・アイランド・カントリー”として知られる。

”フォーラム・アイランド・カントリー”の産物・製品とみなされるには、次の原産カテゴリーの1つを満たす必要がある。

  1. 商品は全体が獲得物:”フォーラム・アイランド・カントリー”の自然産物、および同自然産物から作られた商品。
  2. 一部製造された商品:原産カテゴリーを満たし、次の2つの条件を満たすこと。
    1. 商品の最終製造工程が”フォーラム・アイランド・カントリー”で行なわれること。
    2. 商品に関連して認められる製造者の経費が、最終製品の工場・作業経費の半分以上を占めること。

”フォーラム・アイランド・カントリー”は、認められる材料であれば、ニュージーランドおよびグループ内のどの国の材料でも経費として認められる。
オーストラリアの認められる材料を使用してもよいが、その場合、少なくとも材料の25%が”フォーラム・アイランド・カントリー”の内容物でなければならない。
特定の衣服には45%ルールが課せられる。この規定は特定の関税見出し、関税副見出し、関税品目にのみ適用される。
予期せぬ状況下では、50%ルールに対し2%の許容率が適用されて48%要求となるが、ニュージーランド税関の長官による特別な許可が必要である。

SPARTECAの下では、直行輸送の要求はないが、“フォーラム・アイランド・カントリー”から直接ニュージーランドへ輸送されない商品は、“フォーラム・アイランド・カントリー”以外の国で更なる加工を受けてはならない。

  • ニュージーランド法規サイト:1996年税関・物品施行規則(Customs and Excise Regulations 1996外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)フォーラム・アイランド・カントリーの記載は第44~51条。

関連法

1988年関税法、1996年税関・物品税規則。

詳細は現行関税率文書(Working Tariff Document外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)参照。

関税に関連する主要な事項・情報を当該ウェブページから入手できる。現行関税文書(Working Tariff Document)も含む。

関税以外の諸税

物品・サービス税(GST)、物品税(酒税、たばこ税、燃料税)、HPA課徴金、アンチダンピング税、HERL課徴金、温室効果ガス課徴金、輸入取引手数料、輸入貨物取引手数料。

物品・サービス税(Goods and Service Tax:GST)

税率は15%。輸入品の場合、通関時に、運賃・保険料込み価額(CIF)に関税額を加算した額に対し課税。
なお、物品・サービス税の詳細は「税制」の項を参照。

  • 税関:関税と物品・サービス税(Duty and GST外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

酒税、たばこ税、燃料税

品目によって異なり、しばしば改訂されるので、関連法規または次の税関ウェブサイトで最新版を確認のこと。次の税金にもGSTが加算されている。

  1. 酒税:アルコール度数(体積ベース)によって異なる。アルコール度数1.15%以上の酒類が課税対象となり、例えば1.15%以上2.5%未満の場合は製品1リットル当たり0.49855NZドル、アルコール度数2.5%以上5%未満の場合、アルコール分1リットル当たり33.241NZドル(2022年7月1日発効)。
  2. たばこ税:紙たばこの場合、1,000本当たり(たばこ含有量が0.8キログラム未満の場合)1,098.37NZドル(2022年1月1日発効)。
  3. 自動車用燃料税:燃料の種類によって異なる。ガソリンの場合、1リットル当たり45.024セント+鉛1グラム当たり8セント(2022年3月17日発効)。
    ディーゼル車の利用者は、別途道路使用料(RUC)を支払う必要がある。
  4. 地方地域自動車燃料税(オークランド地域):2018年7月1日以降、オークランドはインフラ整備財源として、ガソリン、ディーゼル、バイオ燃料に対し1リットル当たり10セント+15%GSTを導入。

健康促進庁(The Health Promotion Agency:HPA)課徴金

前身は酒類審議会(Alcoholic and Liquor Advisory Council)課徴金で、ビール、ワインなどの酒類について輸入時にサーチャージ料を課金。品目、アルコール度数によって異なる。

1リットル当たりのサーチャージ率(2022年6月30日~)
分類 アルコール度数 サーチャージ料
A類 アルコール1.15%超 2.5%まで 0.5594セント
B類 アルコール2.5%超 6%まで 1.6282セント
C類 アルコール6%超 9%まで 2,9833セント
D類 アルコール9%超 14%まで 3.7291セント
E類 アルコール14%超 23%まで 6.3343セント
F類 アルコール23%超 14.4172セント

アンチダンピング税、相殺関税(Anti-dumping and Countervailing Duties

次の場合、原産国価格との差額分または総コストとの差額分が、アンチダンピング税として賦課される。

  1. 輸出価格が原産国の輸出時における国内価格を下回る場合
  2. 輸入価格が当該品目の総コストを下回る場合
  3. ニュージーランドの国益を損なう恐れのある場合

重工業研究協会課徴金(Heavy Engineering Research Association Levy:HERL)

鉄鋼、アルミニウム、銅卑金属製品を含む鋼板や溶接消耗品については、製品タイプにより輸入通関時に1キロ当たり最高0.10NZドル、または1トン当たり最高20NZドルが徴収される。

温室効果ガス課徴金

ハイドロフルオロカーボン(HFCs)、パーフルオロカーボン(PFCs)を含む冷蔵庫、エアコン等を輸入する際に課税される。品目によって税率は異なる。

輸入取扱手数料(Import Entry Transaction Fee:IETF)

33.03NZドル(GST込み)の輸入取扱手数料(IETF)が、すべての製品の輸入通関ならびに輸入申告に対し、通関ごとに徴収される。

IETFが課せられる輸入通関ごとに、第一次産業省(MPI)の輸入バイオセキュリティリスク検査費用も徴収され、IETFと同時に税関に支払う。

内国貨物取扱手数料(Inward Cargo Transaction Fee

電子貨物情報申告(ECI)1回当たり、航空貨物の場合77.00/89.84NZドル(GST込み)、船舶貨物の場合520.00/606.66NZドル(GST込み)(2021年7月1日~2023年9月30日まで/2023年10月1日~)。

その他

日本からの個人使用の自動車等の輸入。

外国からの移住者、または海外に21カ月以上居住した人が帰国時に、特例条件をすべて満たす場合、個人使用の自動車、ボート、飛行機の輸入関税は、特例で関税とGSTを支払う必要がない。
ただし、関税を免除された自動車、ボート、飛行機を輸入した日から2年以内に売却、または処分する場合には、本来支払うべき関税を支払う旨を書面で提出する必要がある。

特例に関する詳細は現行関税文書(Working Tariff Document外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)参照。