税関からの保税運送の一括承認:日本

質問

商品の性質上、港頭地区よりインランド・デポ(内陸蔵置場)まで、保税運送することになります。この場合、その都度、税関から保税運送の承認を取らなければならないのでしょうか。

回答

保税運送の承認は税関から一括承認を取れば、その都度取る必要はありません。税関長は、運送の状況その他事情を勘案して取締り上支障がないと認めるときは、業務の合理化および迅速化のため、1年の範囲内で1ヵ月ごとに発送される外国貨物の運送について一括して承認することができます(関税法第63条第1項、同法施行令第53条の2第1項)。インランド・デポとは、内陸部に設けられた保税蔵置場(他所蔵置の許可を受けた場所を含む)のことです。

  1. 保税運送
    保税運送とは、国内の保税地域相互間に限り、外国貨物のまま(関税、消費税の支払いを留保したまま)で運送することをいい、国内貨物との混同を避けるため、移動には税関長へ申告し、その承認が必要となっています。この保税運送手続きは、税関に「外国貨物運送申告書(目録兼用)」(税関様式C-4000)3通を提出し、運送期間を指定した保税運送の承認を得ます。運送する際には、承認を受けた運送目録を発送元の税関に提示し、発送の確認を受けます。運送先に到達した時には、その運送目録を到着地の税関に提示し到着の確認を受け、1カ月以内にその目録を最初に保税運送の承認を受けた税関に提出します。
  2. 包括保税運送制度
    1. 申告および承認
      税関長は、申告があった保税運送につき、運送の状況など取締り上支障が無いときには、1年以内の期間を指定して、その期間内に発送される外国貨物の運送について、一括して保税運送の承認をすることができます。
    2. 担保および検査
      税関長は必要な場合には担保の提供を求め、貨物の検査をすることができます。
    3. 発送の確認と封印
      指定期間内に発送した外国貨物にかかる運送目録を、1カ月ごとに、一括して税関に提示し、発送の確認を受けなければなりません。税関長は、必要に応じ貨物に封印をすることができます。
    4. 到着および確認
      1カ月ごとに、その期間内に到着した外国貨物の運送目録について、到着保税地域税関長の確認を、一括して受けることができます。
    5. 到着確認済みの運送目録の提出
      到着確認を受けたときには、その運送目録について、1カ月以内に、保税運送を承認した税関長(発送地の税関長)に提出しなければなりません。なお、承認税関と到着確認税関の税関署の長が同一の場合には、その運送目録の承認税関長への提出は必要ありません。
  3. 特定保税運送の場合(AEO運送者制度)

    認定通関業者(輸出入業務が適正かつ確実に遂行できるとして税関長の認定を受けた者)または国際運送貨物取扱業者であって、あらかじめいずれかの税関長の承認を受けた者(特定保税運送者)であれば、税関長が指定した保税地域間内でNACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)によって行われている保税地域相互間の外国貨物の運送(特定保税運送)については、上記Iの保税運送の承認は必要なく、保税運送そのものが認められています(関税法63条の2)。従って、認定通関業者や国際運送貨物取扱業者で特定保税運送者である者を起用すれば、あるいは自ら特定保税運送者になれば、保税運送の承認を受ける必要はありません。ただし、運送目録は発送時の確認税関、および到着地の税関へ提示し確認を受けて、その後1カ月以内に承認を受けた税関長へ提出します(施行令53条の3)。

    なお、特定保税運送者の承認を受けるには一定の要件(関税法63条の4)が必要であり、また、一定の要件(同法63条の7)に該当するに至った場合にはその承認は失効します。

関係機関

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(社)日本通関業連合会外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

関係法令

関税法、関税法施行令

参考資料・情報

税関:
特定保税運送制度外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
認定通関業者制度の概要及びメリット(カスタムスアンサー)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

調査時点:2014/11
最終更新:2017/12

記事番号: A-020119

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