原産地表示:米国

質問

米国の原産地表示について教えてください。

回答

米国では米国に輸入される外国原産品に対し、当該物品またはその容器の目立つ場所に原産地(国)を英語で表示することを義務付けています。

I. 米国における原産地表示

米国における原産地表示は、「1930年関税法304条」および改正等(米国連邦規則集19CFR134条Country of Origin Marking外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に規定されています。すなわち、原産地(国)とは、「物品の製造、生産または生成を行った国(country of manufacture, production, or growth)」と定義し、米国に輸入される外国原産品に対し、最終購買者(ultimate purchaser)のために、当該物品またはその容器の目立つ場所に原産地(国)を英語でできる限り読みやすく、消えないように、恒久的に残るかたちで表示することを義務付けています(NAFTA締約国の製品は、NAFTAの規則によりフランス語、スペイン語でも可)。原産国の表示は“Made in Japan”、“Product of Japan”のように表示し、A国原産の部品を最終的にB国で組み立てる場合には、“Assembled in B from components of A”のように表示します。

  1. 輸入通関時の規則
    輸入者は通関申告書類に、他の輸入関連情報とともに輸入品の原産地を記入することが義務付けられています。2010年1月26日以降完全実施されている「10+2ルール」Importer Security Filing and Additional Carrier Requirement外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにより、海上コンテナで輸入される貨物は、外国港で船積みされる24時間前までに米国税関・国境警備局 (Customs and Border Protection: CBP)に対し申告します。原産地を偽った表示あるいは誤認のおそれのある不適切な表示は、適正表示への修正を行う必要があり、修正を行わない場合は、連邦規則集19CFR134.2に基づき貨物評価価値の10%が追徴されます。応じない場合は、CBPの監督の下、外国への積み戻しあるいは廃棄処分が行われます。
    原産地表示が免除される条件として、表示をつけることが不可能な物品、無加工の物品、商用ではなく輸入者の個人的利用を目的として輸入される物品など、いくつかの例外が19CFR134.32外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますおよび33J-List:表示規則除外リスト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに記載されています。
  2. NAFTAの原産地規則
    原産地表示は、関税賦課の判断に用いられるのみならず、消費者の輸入物品の原産地(国)に対するイメージや信頼性の評価などにもつながります。NAFTAの原産地規則は、同協定の第4章にあり、同章の第401条の中で原産品について次のように定義しています。
    1. 一国または複数の締約国の域内で完全に調達または生産された物品
    2. 物品の生産が一国または複数の締約国の域内ですべて行われた結果、その物品の生産に使用された各非原産材料の関税分類が、附属書(Annex)401の規定に従って変更された場合、あるいは、関税分類の変更が必要ない場合でも、同附属書が規定する要件、およびこの章(第4章)の他の要件すべてを満たした場合
    3. 附属書401を満たした原産材料のみを使用して一国または複数の締約国の域内で完全に生産された物品
    4. HS第61から63類に分類される物品を除いて、一国または複数の締約国の域内で完全に生産される物品であるが、当該物品の生産に使用される部品・材料として分類される一つ以上の非原産材料の関税分類が以下の理由により変更されないもの
      1. 組立前のあるいは分解された状態の物品が締約国の域内に輸入されたが、HSの解釈に係る総則2(a)項に基づき組み立てられた物品として分類された場合。
      2. 物品に対する見出しが物品自体と部品の両方を明確に説明しており、さらに副見出しに分割されていない場合。あるいは物品に対する副見出しが物品自体と部品の両方を明確に説明しており、第402 条に従って定められた物品の域内原産割合が少なくても取引価額方式で60%、純費用方式で50%あり、かつ、この章(第4章)の他の適用要件を満たしている場合。

II. 輸出通関時の規制

米国からの輸出の場合は、特段の原産地表示基準はありません。輸入相手国の制度に基づき表示します。

III. 国内流通の場合の規制

2002年および2008年の農業法に基づき、米国農務省(USDA)は、これまで対象外だった牛肉、豚肉、ラム肉、ヤギ肉、鶏肉などの部分肉ならび腐り易い農業製品(野菜、果実)、魚介類、落花生およびマカダミアナッツなど一部食品についても、「原産地(国)表示」(Country-of-Origin Labeling: COOL)を小売店に義務付けています。
なお、米国食品医薬品局(FDA)の規制下にある食品は、連邦食品医薬品化粧品法(Federal Food, Drug, and Cosmetic Act)では原産地表示を求めていませんが、Section 403(a) (1)および21 CFR 101.18により、虚偽や誤解をまねくラベル表示を禁止しています。

関係機関

米国国土安全保障省税関・国境警備局外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国農務省(USDA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国食品医薬品局(FDA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

関係法令

米国連邦規則集「19CFR」134条(COUNTRY OF ORIGIN MARKING)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

参考資料・情報

J-LIST:表示規則除外リストPDFファイル(190KB)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
NAFTA原産地規則外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

調査時点:2014年11月
最終更新:2018年12月

記事番号: A-091107

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