調理用器具の輸入手続き:日本

質問

調理用器具の輸入手続きについて教えてください。

回答

食品に触れる調理器具を販売目的で輸入する場合、食品衛生法に基づき、食品輸入と同様の手続きが必要です。また、製品によっては販売に際して家庭用品品質表示法、電気用品安全法等による適切な表示、安全基準の遵守が必要です。

I. 食品衛生法

  1. 規格基準
    食品衛生法第16条に「有毒な、若しくは有害な物質が含まれ、若しくは付着して人の健康を損なうおそれがある器具若しくは容器包装又は食品若しくは添加物に接触してこれらに有害な影響を与えることにより人の健康を損なうおそれがある器具若しくは容器包装は、これを販売し、販売の用に供するために製造し、若しくは輸入し、又は営業上使用してはならない」と規定されています。食品に触れる「器具」は、食品添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが定められ、金属等原材料一般のほか、材質別(ガラス製、陶磁器、ホーロー、合成樹脂など)にそれぞれ試験法と含有基準値の定めがあります。この基準に適合しないものは調理器具用途では輸入できません。
  2. 輸入手続き
    販売目的で食品類(器具を含む)を輸入する場合、厚生労働省検疫所食品等輸入届出受付窓口に「食品等輸入届出書」と必要書類(原材料、成分または製造工程等に関する説明書、衛生証明書(必要に応じて)、試験成績書(必要に応じて))を届け出ます。審査の結果、規格基準や安全性の確認が必要と判断されたものは検査が実施されます。審査・検査で同法上問題がなければ、税関への輸入申告時に通関書類とともに検疫所から発行される「食品等輸入届出済証」を提出します。不適格と判断されたものは積み戻し・廃棄等の措置を取ります。 2018年6月13日に食品衛生法等の一部を改正する法律が公布され、食品用器具・包装容器について安全性を評価した物質のみ使用可能とするポジティブリスト制度を導入することとなりました。施行期日は、公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日としています。

II. 家庭用品品質表示法

消費者が日常使用する家庭用品を対象に、商品の品質について事業者が表示すべき事項や表示方法を家庭用品品質表示法外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで定めています。対象品目を一般消費者向けに販売する場合、国内に営業拠点のある輸入業者や販売業者等が表示者となり、消費者にわかりやすい日本語で表示することが必要です。家庭用調理器具で同法の対象となる品目例は以下のとおりで、それぞれ個別表示義務事項の定めがあります。

  1. 合成樹脂加工品品質表示規程外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    食事用・食卓用・台所用の器具(例:洗いおけ、ざる、まな板など)
  2. 雑貨工業品品質表示規程外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    合成ゴム製のまな板、漆、またはカシュー樹脂塗料を塗った食事用・食卓用・台所用の器具(木製、合成樹脂製のもの)、強化ガラス製器具、ほうけい酸ガラス製またはガラスセラミックス製器具、なべ(アルミニウム製、鉄製ホーロー引き、ステンレス鋼製、銅製のものに限り、容量が10リットル以下のもの)、湯沸かし(同左)
  3. 電気機械器具品質表示規程外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
    ジャー炊飯器、電気ジューサー・電気ミキサー、電気ポット、電気ロースター、電子レンジ、電気ホットプレート、電気コーヒー沸かし器

III. 消費生活用製品安全法

  1. 消費生活用製品の安全規則(PSCマーク制度)
    消費者の生命・身体に対して特に危害を及ぼすおそれが多い製品については、消費生活用製品安全法で定めた技術上の基準に適合した旨のPSCマーク外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを貼付しなければ販売できません。規制対象品目の中には、自己確認が義務づけられている特定製品と第三者機関の検査が義務付けられている特別特定製品があります。調理器具では「家庭用の圧力なべおよび圧力がま」が「特別特定製品」に指定されています。
  2. 製品事故情報報告・公表制度
    製品の製造・輸入事業者は、その製品に重大製品事故が発生した場合、事故発生を知った日から10日以内に国に報告しなければなりません。外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます国は重大な危害の発生および拡大を防止するため必要と認められるときは、その概要を公表します。製造物責任法(PL法)への対応も別途必要です。
  3. SGマーク(Safe Goodsマーク)制度(任意)
    消費生活用製品安全法に基づいて設立された一般財団法人製品安全協会が認定するSGマークは、安全な製品としての必要基準を定め、この基準に適合していると認められた製品に付けられる任意マークです。調理用品は、7品目(家庭用の圧力なべ・圧力がま、金属板製なべ、アルミニウム板製なべ、クッキングヒータ用調理器具、油こし器、家庭用氷かき器、かん切り)が対象品目となっています。

IV. 電気用品安全法

電気ポットやジューサーなどの電気調理器具は、電気用品安全法で定める「特定電気用品」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますまたは「特定電気用品以外の電気用品」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに該当します。同法にしたがった輸入手続き、規格基準適合検査、表示、報告等が義務付けられています。

V. 不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)/業界規約

同法に基づき、過大な景品付き販売や、消費者に誤認されるおそれのある誇大・虚偽表示などは禁止されています。家電製品には同法に基づき、全国家庭電気製品公正取引協議会による以下の業界規約があります。製造・輸入業者は、事業者名および住所、品名、仕様、取扱上の注意、修理事項、保証期間等の表示が義務付けられています。

  1. 家庭電気製品業における景品類の提供の制限等に関する公正競争規約外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
  2. 家庭電気製品製造業における表示に関する公正競争規約外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
  3. 家庭電気製品小売業における表示に関する公正競争規約外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

VI. その他の規制

  1. 工業標準化法(JISマーク)(任意)
    JISマークは、工業標準化法に基づき主務大臣が制定する日本の鉱工業製品に関する国家規格です。品質を規格として定め、製品がその規格に適合していることを証明する「JISマーク」を製品に表示できます。「家庭用ガス調理機器」や「業務用多目的調理なべ」などにJIS規格があります。
  2. エネルギー使用の合理化に関する法律(省エネ法)
    「ガス調理機器」は省エネ法の対象機器となっており、省エネ性能の向上やエネルギー消費効率に関する表示などが義務付けられています。
  3. 資源の有効な利用の促進に関する法律(資源有効利用促進法)
    ガス機器は同法で以下に該当し、輸入販売業者にも自主回収・再資源化への取り組みが求められています。
    1. 指定省資源化製品
      原材料などの使用の合理化、長期間の使用の促進、その他の使用済み物品などの発生の抑制に取り組むことが求められる製品
    2. 指定再利用促進製品
      再生資源または再生部品の利用促進に取り組むことが求められる製品
  4. 労働安全衛生法/ボイラー及び圧力容器安全規則
    工業用や営業用に使用される大型圧力なべは、同法の「圧力容器」に該当し、都道府県労働基準監督局の検査等で安全基準に適合したものでなければ使用、譲渡等が制限されます。圧力容器の区分については同法施行令第一条を参照してください。

関係機関

税関外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
厚生労働省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
経済産業省:
(家庭用品)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
(消費生活用製品安全法)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
(電気用品)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
消費者庁:
家庭用品品質表示法外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
一般財団法人 製品安全協会(SGマーク)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
日本工業標準調査会(JIS規格)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
一般社団法人 日本ボイラ協会外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

関係法令

食品衛生法外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

参考資料

ジェトロ制度・規格関連法規「食品衛生法に基づく食品・食品添加物等の規格基準(抄)2010年度版」PDFファイル(2.96MB)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ貿易・投資相談Q&A:
「食品衛生法:日本」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
「食品等輸入届出書の概要と提出先・提出方法等:日本」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

調査時点:2013年11月
最終更新:2018年11月

記事番号: M-010965

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