税制

最終更新日:2024年01月12日

法人税

法人税に相当するものとして、企業利潤税がある(20%)。

企業利潤税

日本の法人税に相当する企業利潤税は、国税基本法第25章に規定されている。一般の税率は20%で、うち2%(2017年~2030年は3%)が連邦政府予算、18%(2017年~2030年は17%)が地方政府予算に割り当てられる。
地方政府予算に割り当てられる税率について、国税基本法に定められた場合(特別経済区、特別経済地域、優先的発展区域、地域投資案件など)、地方政府は軽減することができる。なお、2019年1月1日までは地方政府が国税基本法の定めによらず(2017年までは13.5%、2017~2022年は12.5%が下限)税率の軽減ができたが、これら2019年1月1日までに導入された軽減税率は最長2025年1月1日まで有効。課税額の計算は、原則として、一定の収入から一定の支出を差し引いて行われる。

配当金、利子などへの課税

配当金や証券取引、および納税者が外国組織である場合では、一般の税率に加えて特別の税率が適用される。納税者には、ロシア組織(ロシア国内法に基づき設立された外資企業も含む)、ロシア国内において恒久的施設(PE)を有する外国組織、ロシア国内において恒久的施設を有しないがロシア国内の源泉から所得を取得する外国組織、という3種類がある。ロシア国内において外国組織が定期的に事業を行う事務所・事業所などは、一般に恒久的施設とみなされる。なお、恒久的施設がなくても特定の条件に該当する外国企業は、源泉徴収課税を受けることがある。適用税率は、条件によって異なる。

例えば、ロシア国内にある不動産の売却、ロシア国内にある不動産が資産の50%を構成するロシア会社の株式・持分、あるいはこの株式・持分を原資産とする金融派生商品の売却に際しては、20%の税率が適用される。ロシア法人が発行した社債などの利子(ただし、国債・自治体債の金利については、発行期日や満期によって、15%、9%、0%のいずれかの税率が適用される)や剰余財産分配配当金、ロシア国内において使用される知的財産物の使用料には、20%の税率が適用される。

外国組織がロシア企業から配当金を取得した場合には、15%の税率が適用される。ロシア法人およびロシア居住者(個人)がロシア企業または外国企業から配当金を取得した場合には、13%の税率が適用される。ただし、配当金の支払人がロシア企業の場合、支払企業が他から受領した配当金の総額などによって税額が調整される。配当金を受領するロシア企業が、配当金を支払う企業の資本金のうち50%を超える持分を連続して365日間にわたり保有した場合には、企業利潤税は課せられない。ただし、一定の国(主にタックスヘイブン)の企業は対象外となる。

二国間租税条約

2017年9月7日に締結され、2018年10月10日より発効した日ロ租税条約(所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国政府とロシア連邦政府との間の条約)は、2023年8月8日付大統領令第585号により、ほとんどの内容の効力が停止された。

日ロ租税条約の停止により、利子、配当およびロイヤルティーの日本側への支払いについてロシアの法令において定められていた税率により源泉徴収を行うこととされ、また、航空、海上輸送に関する軽減税率も撤回された。

その他税制

連邦税、地方税など、合計14の税金がある。主なものは、付加価値税(20%)、個人所得税(13%および15%)、資産税(最大2.2%)で、また、従来の統一社会税に代わる社会保険料が存在する。

ロシアには、国税基本法に定められる連邦税、地方税、市町村税がある。連邦税のうち、付加価値税、物品税、企業利潤税、個人所得税、地下資源利用税、水道使用税、野生生物・水産生物資源使用税、印紙税等があり、地方税には、法人資産税、輸送税、賭博税、市町村税には、土地税、個人資産税、小売税がある。主要な税金の概要は、次に述べるとおり。なお、現在ロシアでは、知的財産から発生する一定の収益を除き、相続は課税対象とならない。

付加価値税(国税基本法第21章)

国税基本法が特に定める場合を除き、ロシアへの商品輸入、ロシア国内における商品の売買、その他の譲渡ならびに役務・サービスの提供には付加価値税が課税され、基本税率は20%である。
ただし、食品や子供用品、一部医療機器を含む一定の商品、役務、サービスに関しては、10%の低減税率が課せられ、商品の輸出には通常0%の税率が適用されている。
また、必要不可欠な医療機器や医療サービス、教育サービス、銀行サービス等の付加価値税は免除されている。

納税義務者は、ロシアで付加価値税の対象となる取引を行った法人および個人である。ただし、ロシアで税務登記を行っていない外国法人が、ロシア法人に役務(サービス)を提供して付加価値税の納税義務を負った場合、役務(サービス)の購入者であるロシア法人には、付加価値税部分を源泉して納税する義務がある。

社会保険料制度(旧統一社会税)

2010年1月、統一社会税の制度が廃止され、新制度として社会保険料制度が導入された。旧統一社会税同様、支払人は雇用者であり、保険料の金額は、原則として給与の額を基準に計算される。

2023年1月1日より、年金基金、社会保険基金、連邦強制医療保険基金の総合保険料は給与の30%となったが、一定の場合には優遇措置が適用されることもある。ただし、2022年11月25日付連邦政府決定第2143号に従い、2023年1月1日からは前記の保険料について、年間給与の基準額を191万7,000ルーブルとし、これを超える給与分には15.1%の保険料が課せられる。2023年より年金基金と社会保険基金が合併し、年金・社会保険基金(社会基金)が設立された。保険料は、税務当局により管理される。

物品税(国税基本法第24章)

物品税は、石油製品、エチルアルコール、アルコール飲料、たばこ類、乗用車などを商品として、その売却(輸出を含む)に際して課税され、従量税率が適用されている。

法人資産税(国税基本法第30章)

法人資産税は、ロシア法人、ならびに恒久的施設を通じてロシア国内において営業活動を行い、かつ(あるいは)ロシア国内(大陸棚および排他的水域を含む)にある不動産(ただし土地は対象外)を固定資産として有する外国組織納税者とし、その固定資産の額に対して課税される。税率は連邦構成体法により制定されるが、2.2%を上回ってはならない。

特別課税制度

ロシア税制には前述の各税金の適用について、一般的に適用される税制度に加え、いくつかの「特別課税制度」が設定されている。具体的には、主に中小企業を対象とする簡易税制、さらには大規模な地下資源開発プロジェクト実施のために整備された生産物分与制度に関する特別税制等がある。

簡易税制(国税基本法第26.2章)

簡易税制とは、一定の規模の企業(従業員100人以下、年間の売上高1億1,250万ルーブル以下、固定資産価格1億5,000万ルーブル以下、その他の要件を満たす企業のみ。銀行業務、保険業務等を営む企業、25%超の株式または持分を有する出資者を持つ会社等を除く)および自営業者が、企業利潤税(自営業者の場合、個人所得税)、付加価値税(ただし、輸入する場合を除く)、社会保険料(年金納付金の分を除く)の代わりとして、統一税の適用を申請する制度である。この場合、適格者は「総収入方式(控除なし。税率6%)」または「純収入方式(総収入から特定の支出が控除される。一般的な税率は15%であるが、各連邦構成体は納税者のカテゴリーによって5~15%の範囲内で個別税率を設定することができる)」のいずれかを選び、税務当局にその旨を申請する。

生産物分与制度

生産物分与制度は、1995年12月30日付連邦法第225-FZ号「生産物分与協定(PSA)について」(PSA法)に基づく特別制度であり、特別税制でもある。国が投資家に対し、一定の鉱区において鉱物を探鉱、試掘・採掘する排他的権利を付与し、採取物(生産物)が投資家と国の間で分与される制度である。同法でグランドファーザー条項(新規則制定後もそれ以前の既得権を認める)を規定し、投資家の税負担を軽減する措置を講じることによって、最近まで資源開発プロジェクトに外資を誘致する手段とみなされていた制度である。

生産物分与制度に従って実施されるプロジェクトに関しては、投資家と国との間の生産物の分与に際し、「従来分与方式」または「直接分与方式」のいずれかが適用される。
「従来分与方式」では、総生産物の総量からプロジェクトのコストの補填に充当する補償生産物と有用鉱産物採取税の納税に当てられた生産物を控除し、残りの生産物を国と投資家の間で分与する。この場合、投資家に帰属する生産物について企業利潤税が課税される。また、付加価値税、物品税、その他の税金がかかるが、ほとんどが還付されることとされている(ただし、有用鉱産物採取税、企業利潤税は還付されない)。

「直接分与方式」は、開発のコストを控除せず、総生産物の総量を国と投資家の間で分与する生産物分与制度の方式。この場合、税金はほとんど免除される。しかし、2003年の改正により、手続きおよび要件が複雑になった。

IT産業向けの税制優遇策

2021年1月1日より、コンピューターソフトやデータベースの開発・販売、その他サービスを行うロシア国内のIT業者および電子部品や電子機器の開発を行うロシア国内のIT業者について税制優遇措置が導入された(2020年7月31日付連邦法265-FZ号「国税基本法第2部の改正について」)。具体的には、法人税率は、連邦政府予算に割り当てられる部分の3%とし、地方政府予算の部分が免税される。また、社会保険料について年金基金は給与の6%、社会保険基金は1.5%、連邦強制医療保険基金は0.1%といった軽減税率が導入された。なお、コンピューターソフトやデータベースの知的財産権の譲渡にかかる付加価値税が原則免税される。

超過利潤税

2023年8月4日付第414-FZ号連邦法「超過利潤税について」に従い、原則、2021~2022年の平均利益が2018~2019年の平均利益を超えた部分について、税率を10%として課税される(ただし、2024年1月12日現在、同税は1回限りの徴収とされる)。また、石油・ガス・石炭の採掘などに従事する企業、その他一部の企業は対象外であり、2021~2022年の平均利益が10億ルーブル以下である企業も非課税とされている。