台湾との経済協力協定に調印、2014年に発効へ

(台湾、ニュージーランド)

オークランド事務所

2013年07月12日

在台北ニュージーランド商工弁事処と在ウェリントン台北経済文化代表処の両代表は7月10日、経済協力協定に調印した。2014年に発効の見込みで、発効後直ちにニュージーランドから台湾への輸出に関し70%の品目の関税が撤廃され、2018年までに98.7%の関税が撤廃される。

<発効に伴い台湾への輸出品目の7割が関税撤廃>
ニュージーランドと台湾(台澎金馬個別関税領域)との間で締結された経済協力協定(ANZTEC)は、WTO協定に基づく自由貿易協定(FTA)に投資、政府調達などを加えたもので、実質的に包括的経済連携協定に相当する。双方は外交関係がないため、在台北ニュージーランド商工弁事処(New Zealand Commerce and Industry Office)と在ウェリントン台北経済文化代表処(Taipei Economic and Cultural Office)の両代表によって、ウェリントンのビクトリア大学で調印が行われた。双方の議会の承認を経て、2014年に発効する見込み。

ニュージーランドは既に一部品目(関税率の例:衣料品10%、電動機5%)を除いて輸入関税を撤廃しているが、ANZTEC発効と同時に全て撤廃される。ニュージーランドから台湾への輸出に関しては、発効と同時に約70%、2018年までに98.7%の品目の関税が撤廃される。ただし、コメおよび関連品目は関税撤廃品目から除外された。なお、液体ミルクと鹿角については当面、関税割当を維持し、割当量は順次拡大される。発効後12年を経過すると関税割当も撤廃され、全て無税となる。

2012年のニュージーランドから台湾への輸出は、8億2,842万ニュージーランド・ドル(NZドル、1NZドル=約78円)で、輸出先全体の11番目だった。主な輸出品目は、乳製品、肉、果物など。また、2012年の台湾からの輸入は7億8,241万NZドルで、輸入先全体としては16番目だった。主な輸入品目は、鉱物燃料、電気機器、機械、鉄鋼などだ。現在はニュージーランドの主な輸出品目である肉類、魚、果物に約20%の関税がかかっているが、牛肉は2年後、ラム肉は4年後、キウイフルーツは3年後に関税が撤廃される。ニュージーランド食肉協会(MIA)やニュージーランド魚介類協会は、関税撤廃による輸出量の拡大を期待している。

<先住民同士の交流も>
ティム・グローサー貿易相は、7月10日の政府ウェブサイトBeehiveで同協定の調印に対して歓迎の意を表し、貿易のみならず留学生交流、映画産業などのサービス貿易や労働、環境、航空協定なども含めた包括的な両国間の協力拡大は、ニュージーランドに大きな恩恵をもたらす、としている。同協定は貿易、投資項目に加え、人の移動、政府調達、貿易と労働・貿易と環境、オープンスカイ(航空協定)のほか、先住民同士の文化・経済交流の章も含んでいる。ニュージーランドの先住民マオリは、ポリネシアから来たと伝えられているが、マオリと台湾の先住民とはDNAが似ていることが分かっており、マオリのルーツは台湾とする説もあるという。

なおニュージーランドは、2008年10月に中国とのFTA、2011年1月には香港との経済緊密化協定を発効させている。

(原田直美)

(ニュージーランド・台湾)

ビジネス短信 51df5d1403e80